〈食べログ3.5以下のうまい店〉

巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー! 食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。

食べログでは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。

点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので「3.5以下のうまい店」にこそ注目し、今のうちにと楽しんでいる人も多いらしい。

そこで、グルメなあの人にお願いして、まだまだ知られていないとっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。今回は、美食家としても知られる放送作家、塩沢航さんがお気に入りだと話すフレンチ・ベトナミーズをご紹介。

教えてくれる人

塩沢航
小山薫堂事務所「N35」の放送作家。1975年生まれ。師匠・小山薫堂の一番弟子にして、師匠譲りのグルメ作家としておなじみ。主な担当番組は「アナザースカイ」「オモウマい店」「有吉くんの正直さんぽ」など。「パレ・ド・Z」「リモートシェフ」など食にまつわるコンテンツも多数担当している。

人気エリアの住宅街入り口に爽やかな店舗

人気店ひしめく学芸大学駅は、注目の新店も次々とオープンしていつも活気にあふれている。そんな賑やかな駅周辺から目黒方面へ徒歩3分、鷹番通りの向こう側に位置するのが「スタンドバインミー」だ。ちょうど住宅街と接するエリアにあり、街の雰囲気もほどよく落ち着いているのがいい。

ミントグリーンの壁と木の建具のクラッシックな雰囲気

店内はナチュラルなテイストでセンス良く統一され、まるでパリにあるベトナム料理店のようだ。ミントグリーンの壁と無造作に置かれたちょっとしたアジアの小物がベトナムをイメージさせる。長く伸びたカウンターも木の自然なカーブが優しく、リラックスしてワインを楽しめそうだ。

カウンターは8席、奥に4人掛けテーブルがひとつある

店主の白井瑛里さんは、ナチュラルワインとフレンチの人気店出身。当時、何気なく誘われて行った旅行でベトナムにハマってしまったのだという。

「ベトナム料理はおいしいのに、化学調味料がたくさん使われていて食べていると体が疲れてしまって。せっかくヘルシーな料理なのにそれではもったいないなと思ったんです」と白井さん。それなら自分で化学調味料を使わないベトナム料理を作れないだろうか……そんな思いで有機野菜やオーガニックな食材を使った、ナチュラルワインと楽しむベトナム料理店が誕生した。

ワインのラインアップも秀逸で、白井さんが好きなフランスの生産者にこだわったものをそろえている。料理はフレンチの技法をベースにしているので、ベトナムの伝統的な料理に寄り添いながらもナチュラルワインとの相性もばっちりだ。

オーナーの白井瑛里さん
 

塩沢さん

こちらはナチュラルワインを愛してやまない友人が見つけてきた店です。素材を生かしつつ、ハーブとオイルで華やかに仕立てるベトナム料理は、ワインにピッタリ。 ベトナム本国で愛されている料理ではなく、パリで移民たちに愛されてきたベトナム料理。パリというフィルターがかかっているのがまたいい。クセが強くないので、食べ慣れていない人でも楽しめます。

ここでしか味わうことのできない、素材にこだわった料理の数々

塩沢さんが「どれもこれもおいしい」と評すメニューの中から、訪れるたびに注文するという必食メニューを4品ご紹介。

これがイチオシ! 「トロトロ国産牛すじ肉のフォーボーガン “生”米麺国産牛すじフォー

国産米のフォーは生麺なのでつるりと滑らか、かむと少しモチッとして味わい深い。トロトロに煮込まれた牛すじはコラーゲンたっぷりでとろりと濃厚だ。スープは牛コツスープと10時間かけてとった鶏ガラスープを合わせているのでこってりし過ぎず、豊かな風味を感じさせる。

「“生”米麺国産牛すじフォー」1,120円(麺200g)
 

塩沢さん

どれもこれもおいしいこの店で、必ず注文するのがこちらです。鶏のフォーもありますが、シメのもう一品、カレーを鶏にするので、必然的にこちらは牛すじを選択。濃すぎず、薄すぎず。過不足なしの味。後半、ごまをたっぷりかけて味変するのも忘れずに。

塩沢さんイチオシの食べ方もぜひ試してみたい

「最近はお米の普及活動にも力を入れていきたいと思っているんです」と笑う白井さん。そのきっかけはフォーに使う麺にあったという。

現地からは乾麺しか仕入れができず、食べている間に麺が伸びてふにゃふにゃになってしまうことから探して着いたのが新潟で作る国産米のフォー。その製麺所は“お米をもっと食べてほしい”という願いからフォーを作っているといい、そんな心意気に共感した白井さんも、お米の消費を増やしたいと考えるようになった。そこで少し先だがスープとセットでフォーの販売も予定している。

夏にぴったりの「トロ茄子のグリル 特製ピリ辛ネギ油がけ」

こちらはベトナムの食堂では定番という茄子の料理。グリルした焼き茄子は少しスモーキーな香りをまとっている。ひんやりとよく冷やして、ピリッとしたねぎだれをかけてあるので、よく冷えたビールや白ワインと合わせたい。

「トロ茄子のグリル 特製ピリ辛ネギ油がけ」910円
 

塩沢さん

口へ運ぶと、香ばしさと香味野菜の香りが広がり食欲をそそる、夏にぴったりの冷菜。この一皿をビールで流し込めば、汗もひきます。