定食王が今日も行く! Vol.30

銀むつの旨味が炸裂!自宅の居間のようなカウンター食堂

駅から徒歩30秒、昭和28年から続く

自由が丘デパートの隠れ家食堂

 

自由が丘というとセレブなイメージが強いが、東急東横線が開通するまでは、竹やぶだった土地だ。自由が丘学園の名前を受け継ぎ、その地名、駅名が改名され、文化人や芸能人が住居を構える高級志向なエリアとなった。1933年に創業した「モンブラン」は未だに健在で、日本で初めてモンブランを提供した店として知られる。

昔仕事でお世話になった方のお宅に伺う帰りに、久々に自由が丘デパートの「麹の定食屋 ごはん」を訪れた。自由が丘デパートは駅から徒歩30秒のところにあり、昭和28年に自由が丘で初めての鉄筋ビル施設として誕生したランドマークだ。その2階と3階には当時から営業を続ける寿司屋やスナックなどもあり、駅前ながらかなりのディープスポットになっている。その中で言えば「麹の定食屋 ごはん」は比較的新しく、創業は塩麹ブーム後半の2014年頃。ホームページを見ると自由が丘で30年近く続く老舗回転寿司の系列らしい。

 

店内に入ると8席しかないカウンターに、割烹着を着た女将と時間帯によっては娘さんが出迎えてくれる。店内の中央には壁掛け式のテレビがあり、客が少ない時間帯は女将さんがニュースを見ながら、「これひどい話よね」なんて会話が始まることもある。

肉、魚、野菜まで旨味が溢れる!

癒やされるカウンターのぼっち飯

 

ランチメニューは7種類。すべて塩麹、味噌麹、しょうゆ麹を使い、素材の旨味を凝縮させたおかずが満載だ。多くのメニューは税込980円とアンダー1,000円なのもうれしい。麹を使った料理だからこそ、銀ダラや豚バラなど素材自体の味が淡白なものの方が、その旨味が増すと思う。

これが銀だらのみそ麹焼き定食だ。

銀だらはふっくらと焼き上がっており、魚の脂と味噌麹の甘みがコラボレーションして、口の中で旨味がジュワジュワ染み出てくる。淡白な銀だらがご飯のお供に大変身している。

 

ちなみに先日のランチでは赤豚の塩麹ステーキがあり。身が引き締まってうまいと評判の赤毛の豚を塩麹に漬けたことで、より濃厚な旨味を身につけ、白飯と最強に合う! 同じ豚でも醤油麹、味噌麹のメニューもあるのでその味わいの違いも楽しんでほしい。

 

醤油から納豆、ドリンクまで

麹菌三昧の定食でパワーアップ!?

 

この定食の凄さはメインだけでなく、その小鉢にある。一見茶碗蒸しのように見える自家製豆腐。大豆の旨味を濃厚に感じる上、自家製のしょうゆ麹をかけていただくことで、異なる大豆の旨味成分が口の中で出会う。生き別れた大豆の旨味兄弟の感動の再会だ!

 定食にはついてこないが、追加の小鉢として納豆麹を注文。これにもしょうゆ麹をかけることで、また生き別れた大豆の旨味たちが口の中で感動の再会を果たす。

黒酢とリンゴのドリンクなど、麹を使ったソフトドリンクも揃えており、美容と健康を気にする年齢のサラリーマンやOLにはうれしいかぎりだ。

夜は定食はないが、メイン料理とごはんセットを組み合わせることで、定食気分を味わうことができる。レンコンやトマト、お新香まで麹を使ったメニューが勢ぞろいなので、どれを食べても満足感を味わえる。

 

自由が丘デパートが東横線の線路沿いにあるため、店内にいると電車の音が聞こえる。電車の音をBGMに、店内のテレビの音とちょっとしたテレビのニュースの感想を交わしながら、実家でご飯を食べているような気分を味わえるこぢんまりとした雰囲気がとても心地よい。実家の居間が恋しくなったら、ぜひ訪れてみてほしい。