素材と向き合い、常に“自分らしさ”を考える料理
ランチはカジュアルといえども「心馬」の料理の基本は変わらない。親子丼の旨みの要となる一番だしは日々、営業の前に丁寧にひいている。
だしに使うのはマグロ節とカツオ節、昆布。それぞれ素材の状態を日々見極めて、調整しながら、出汁をひくという。心掛けているのは「出し過ぎないこと」。欲張って、旨みを出しすぎた一番だしは、味わいが粗くなるのだそう。調味料や食材との調和を乱さず、旨みで料理を支える。この極上のだしが親子丼の品の良いおいしさを支えている。
「日本料理の技術を基本として、型にはまることなく、自分だったらこの素材をどう料理するのだろうかということを大切にしています」と語る大塚さん。
例えば、夜のコースで供される鯛の頭を使った春巻き。いったいどんな料理なのか尋ねると「鯛の頭はおいしいですよね。でも食べづらい。そこで身をほぐし、アラで出汁をとり、あんにして春巻きに仕立てました」と大塚さん。その答えに、素材を前に、いかにおいしく、喜んで食べてもらうにはどうしたらいいのかを真摯に考える姿が思い浮かぶ。
常に自分らしさを忘れない「心馬」の料理の魅力を、ぜひランチの「親子丼御膳」を通して堪能してみてほしい。