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店主出身の宇和島の魚介をふんだんに使用!
水産高校時代に出会った先生や先輩を通して瀬戸内の魚を手に入れられることも強みだ。開業前には宇和島に向かい、生産者と会って仕入れ先を決めた。近いところにいる相手だから処理に関するお願いごとも言いやすい。
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「東京に店を出す」と話すとみんなが応援してくれて、いい魚も優先的に送ってくれる。宇和島産を中心に、手にするのは鯛に鯵、ブリ、穴子、ハタ、クエ、太刀魚、牡蠣etc. 深夜に水揚げされたものが早朝のセリに出て13時には店に届く。季節の移り変わりを魚から知ることができて、島の周りを回遊する鯛は年中味が安定している。
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大石さん
最近は魚というとローカルガストロノミーが強くて、ここのように東京で地元の味を伝えるお店を新鮮に感じましたし、存在意義の大きさも実感しました。生産者さんも食べに来るそうなので、処理に関しても意思疎通している。お椀もお造りもその日入った魚次第。何が届いたのかなというワクワク感もあります!
手の届く価格設定がありがたい。食べ慣れた大人の心を満たすコースとは?
コースは10品程度で16,500円と値付けが高騰する東京の和食のなかでは抑えめ。「少しでもハードルを低くしたいのでこの金額で」と、当分は変更しない予定だ。
「瀬戸内の魚を楽しむための和食店」とのテーマ通り、魚が多いのがうれしい。魚料理が約7品続き、肉料理が出されたあとに炊き込みご飯。意外なのが、ご飯が終わると魚が入った汁ものが出されること。池田さん曰く「四国の人はよくお酒を飲むので最後に汁をよく飲むんです」と、そこも地元を意識している。
心温まる料理に冒頭から心をつかまれる
「鯵のレアカツ」にのるのは淡路島の新玉ねぎと有機にんじんを一度揚げてペーストにした南蛮ソース。鯵の滑らかなレア食感と衣のサクサク感がたまらない。柚子の皮と大葉が爽やかなアクセントとなっている。
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「穴子の白焼き 梅餡がけ」は瀬戸内の穴子を皮目が香ばしい白焼きにして、梅が利いた煎り酒の餡をしいている。ほろっと崩れる穴子に餡がよくからみ、心地よい酸味が身味とよく合う。九条ネギと穂紫蘇の色合いが美しく、餡と穴子の香りを繋げる存在にもなっている。
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色鮮やかな「豆と太刀魚のお椀」は、蒸し焼きにした太刀魚と一寸豆のすり流しを合わせた。
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大石さん
豆の青い香りと太刀魚の旨味が重なって相性のよさを実感します。太刀魚を崩したあとのすり流しの味に変化を感じられる繊細なお料理。食感の柔らかいお魚なので汁とすり流しとを同時に口に含んだ時に一体感がありますね。
いろいろなジャンルの技法を取り入れた料理が客を驚かせる!
和食が調理方法のベースにありつつ、時にフレンチを感じるソースを合わせたり、中華の火入れや香辛料を取り入れたりすることもある。
もうひとつ池田さんならではの特徴が、宇和島産の柑橘を活用することだ。柑橘の酸味、苦味、爽やかな香りが加わることで魚や肉が未知のおいしさに。特に柑橘のソースの使い方が絶妙で、ガストロノミーのひと皿のように感じる瞬間もある。
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大石さん
宇和町のはなが牛をこちらで初めていただいたのですが、赤身と脂身のバランスがよくておいしいお肉でした。お肉のリッチさにブラッドオレンジの果実感が合わさると、より贅沢な食べ心地になります!
贅沢すぎる〆のご飯で満足度が加速する
〆は常に炊き込みご飯で22,000円のコースで予約すると「真鯛の炊き込みごはん」となる。
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炊き上がったばかりの土鍋の蓋を開けると、鯛骨の出汁と鰹昆布出汁で炊いた米がふわりと香る。まずは胡麻出汁醤油に漬けた鯛の身、オリジナルの土佐醤油に漬けた美豊卵、ウニ、薬味をのせ、2杯目はお茶漬け。お腹も心も満たされるのは言わずもがなだ。
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大石さん
白いご飯に鯛の切り身をのせる宇和島式と、中に入れて炊き込む松山式が混ざった鯛ご飯で、ウニが入っているのは東京の料理らしい。ここでしか食べられない鯛ご飯ですね。鯛の切身は皮と身の間のおいしさにしみじみします。
ここで味わえるのは、食べ終わると瀬戸内に行きたくなるコース料理。地元を活性化すべく、東京でその味と魅力を広める仕事は、池田さんにとって天職だろう。ちょっとした旅にも似た時間を、神楽坂で過ごしてみては?