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「フルーツサンド」620円
ショーケースを覗いて、まず目を引くのが「フルーツサンド」だ。ボリュームが半端ない。下の段のショートケーキと大きさを比べてほしい。
たっぷりの生クリームに中に、超大ぶりのいちごの断面。ビジュアルにやられて、即購入決定!
ボリュームにひるまずにかぶりつくと、奥にも大ぶりのいちごが待ち構えていた。食パン、生クリーム、いちごと構成はいたってシンプルなのだが、淡白な味わいの食パンと甘さを抑えたミルキーな生クリームが、いちごの味わいを存分に引き立てている。
フルーツサンドのいちごには「紅ほっぺ」を使うことが多いという。こちらの紅ほっぺは、酸味と甘みのバランスが良く、何よりジューシー。口の中でいちごの果汁と生クリームが混じり合い、いちごみるく状態に。大満足のいちごサンドだ。
「ショートケーキ」520円
次は、いちごスイーツの代表「ショートケーキ」を実食!
ミルキーでコクのある生クリームときめ細かくしっとりとしたスポンジが、完熟して果汁があふれんばかりのジューシーで旨味のたっぷりと詰まったいちごを、見事に受け止めている。
生クリームの乳脂肪分も高めで骨太な印象だが、生クリームもスポンジも主張し過ぎず、いちごの味わいを引き立てるよう計算されており、後味はすっきり。食べ終わってみれば、爽やかな印象で、また食べたくなってしまう。
この日のショートケーキに使われていたいちごの品種は「よつぼし」だったが、 パティスリーでは、ケーキやタルトを作る際、農園で栽培している異なる品種のいちごを毎日ローテーションさせて使っているとのことで、毎回異なった味わいを楽しめるのもうれしい。
「いちごのタルト」570円
真っ赤に輝くいちごがたくさんのせられたビジュアルを見ているだけで顔がほころんでしまう。アーモンドを使ったタルト生地はしっかりと焼き込まれて、外側は香ばしくザックリと、中はしっとりと仕上げられている。こちらの上にカスタードクリームを絞り、いちごをのせて、生クリームを絞り、さらに上からいちごをもう一つ。とても贅沢ないちごのタルトだ。
いちごの甘酸っぱさとタルトの香ばしさの「味わいのコントラスト」、柔らかくジューシーないちごの果肉とザックリとしたタルトの「食感のコントラスト」が楽しめる逸品だ。
「チーズケーキ」570円
チーズケーキは、底がクッキー生地、その上にベイクドチーズケーキをのせた二重構造。上には、いちごがたっぷり。この日のいちごは「紅ほっぺ」。やや塩味を利かせた、まったりとコクのあるチーズケーキとジューシーで甘酸っぱい紅ほっぺが絶妙なハーモニーを奏でる。これからの季節は紅茶やシャンパンを合わせるのが良いだろうが、寒い時期には赤ワインを合わせてじっくりと楽しむのも良さそうだ。
さらに、焼き菓子も見逃せない。
「3日かけて作る いちごのマドレーヌ」280円、「3日かけて作る いちごのフィナンシェ」280円、「3日かけて作る いちごのバターサンド」320円
こちらのマドレーヌに使用される自家製の「糖漬けいちご」は非常に丁寧に作られる。まずは砂糖とレモン汁を合わせたものをいちごにまぶして、水分を出す。さらにそれを24時間乾燥させて味わいを凝縮し、マドレーヌ生地にのせて焼き上げる。出来上がったマドレーヌは、いちごの風味が香り立ち、ふんわり軽やかで、優しい味わい。こちらのお店では、糖漬けを作る際に副産物として生まれたいちごシロップも無駄にしない。瓶詰めにして販売するほか、夏場はかき氷用シロップとして活用する。
フィナンシェの材料にも手がかけられている。規格外のいちごを薄くスライスし、48時間低温乾燥して旨味を凝縮、パウダー状に。これをフィナンシェ生地に練り込み、自家製いちごジャムを上から絞って焼き上げる。出来上がったフィナンシェは、外はカリッと中はしっとり。生地がやや赤みがかっていて、いちごの香りが豊かで、奥深い味わいだ。
バターサンドは、フィナンシェの生地に用いるいちごパウダーをバタークリームに練り込み、マドレーヌにのせる糖漬けいちごをクリームの真ん中に入れて、薄焼きのクッキーで挟んだもの。いわばフィナンシェとマドレーヌのいいとこ取り。口の中で、ほろっとした食感のクッキーとともに、香り豊かで、いちごの味わいが凝縮された、柔らかで優しい口当たりのバタークリームが溶け合い、至福の時を過ごすことができる。
農園を始めた頃は、規格外のいちごの処理に悩んでいた安藤氏。スイーツコンサルタントのパティシエとも連携し、2022年よりパティスリーを併設。さまざまなスイーツに活用することで、今では廃棄するいちごは、ほぼゼロに。SDGsにも沿った、環境に優しい農園だ。
こちらの農園パティスリーでは、いちごのシーズン以外も「もものショートケーキ」「ブルーベリーのチーズケーキ」「ぶどうのタルト」など、近隣地域で収穫されるフルーツを使ったスイーツを販売。一年中、目が離せない農園となっている。都心部からも近いので、機会を見つけて訪ねてみてはどうだろうか。
※価格はすべて税込