地中海ならではの風土を感じる、ひと手間かけた自家製クスクスに舌鼓
「実はこのクスクスも自家製なんですよ」と胸を張る森さん。クスクスとは北アフリカ発祥の料理で、お米よりも小さい粒状のパスタの一種だ。専用の小麦粉に水を加え20分以上こねるとこのような状態になる。粒状になったクスクスを玉ネギやシナモンと共に2時間ほど蒸して完成するという、非常に手間がかかった一品なのだ。
山本さん
ターメリック、カルダモンなどのスパイスと赤ワイン、トマトペーストなどで煮込んだラム肉は、ホロホロと柔らか。煮込んだソースがクスクスとよくからみ、プチプチしたクスクスを噛みしめるたびに旨みが引き立ちます。食べ応えあるボリューム感もうれしいですね。
ジューシー感がたまらないメインディッシュの肉料理
前菜などに魚介が提供されることが多いので、コースのメインは肉料理を主役に据える。この日は写真手前からサルシッチャ(ソーセージ)、牛肉スライスを団子状にしたブラチョーラ、レモンの葉で牛肉の団子を挟んでグリルしたポルペッティの3品。
山本さん
粗挽きの豚肉を使ったサルシッチャは、イノシシバージョンで提供されることもあります。肉々しい食感がたまりません。また、レモンの葉で挟まれた牛肉のポルペッテは、シチリアの精肉店でもお総菜として人気のおかず。肉団子の中にはレモンの皮も入って、ほのかな爽やかさが広がります。
軽い食感と優しい甘さが新鮮なデザートで締める
これまで口にしたことのないような手の込んだシチリア料理を満喫したら、最後も本場で親しまれているデザートをいただこう。提供されたデザートは、花のような形の生地に、自家製リコッタチーズを挟んだバーチ ディ パンテレリア。
山本さん
見た目もかわいいデザートは、生地がサックサクで中からとろりと優しい甘さのリコッタチーズが現れます。楽しい食感とコクのある味わいが実に秀逸です。
窓越しに庭の木々を眺められるロケーションで、ゆったりと本格シチリア料理を楽しめるバッバルーチ。これまでの一般的なイタリアンとは異なる味わいから、ひと手間もふた手間もかける森さんの料理への愛情がうかがえた。
「将来的にはオーベルジュのような宿泊施設も併設したい」と意欲的に展望を語る森さん。今後、こちらのお店がどのように成長していくかも、楽しみの一つになりそうだ。