でっかいナンにつけて食べる、ギーラーン地方の卵とじ

ミルザガセミ1,100円。最長部分で40cmはあろう巨大ナン付き

料理の話に戻りますと、イランなど中東料理で多いのが「ペースト」。ひよこ豆のペースト「フムス」がよく知られていますね。こちらのお店もペースト料理が豊富で、特にイランのギーランという地方の郷土料理「ミルザガセミ」がおすすめです。焼きナスとトマトとニンニクをペーストにしてさらに卵でとじたもの。ナンにつけて食べるのですが、ナンがデカすぎるのでペース配分が難しいですね(笑)。

味濃いめなのでビールが進む

焼いたナスの香ばしさって反則ですよね。さらにそこにニンニクがガッツリ利いて、トマトの酸味がまたアクセントに。ギー(油)たっぷりの熱々ナンにも合いますが、塩気強めなのでライスにのせても合うそうです。あ〜これ家で作ってみたい。

まさかの「ピザ」がめちゃくちゃ絶品だった

イランっぽい料理は他にありますか?と聞いたら「ピザ!」と言われたので却下しようと思いましたら「イランのピザは日本と違うよ!」「どう違うんでしょう」「とにかく違うよ!」と回答が得られなそうだったので作っていただきました。これは今回、私も初めて食べます。

フチがクリスピーでカリッカリ。カロリーなんて気にするな!ですね

見た目はアメリカンなピザと一緒ですね。しかし、食べてみると「むおお!」となります。味としてはトマトソース&チーズといった普通のピザ的なのですが、私が普段食べているピザより格段に旨い。生地も分厚い!

その秘密は具にありました。生地の上にはキャバブと同じ、スパイスが利いたビーフミンチがたっぷり敷かれ、オリーブの実、パプリカ、マッシュルーム、そしてモッツァレラとゴーダチーズが250gも。生地はパンのようにカリッ、ふわっとしていて、それでいて密度が高くモッチモチ。驚くほど具が入っています。こんなにマッシュルームの層が厚いピザは初めて食べました。

最厚部分3cmはありそうな極厚ピザ、1,800円は安い

最初は「ペルシャ料理なのにピザ〜!?」と懐疑的でしたが、今までこれを頼まなかった自分を恥じます。聞くとピザの発祥は中東という説も……。これからは、イランはピザ旨いよ!とドヤ顔して語りたいです。

実は、レシピ本まで手掛ける実力派料理人

ところでアラシさん、とてもフランクで一見お調子者なのかと思いましたが(すみません)、よくよく話すとめちゃくちゃ真面目でストイックな料理人です。なんと14歳からテヘランのレストランで働き、国際調理師の免許まで取得。知人が日本でペルシャ料理店を開き、手伝って欲しいとのオファーを受けて来日。東京の有名店などを経て、自国の料理のおいしさを伝えたい一心で「アラシのキッチン」を開かれたそうです。

「千夜一夜のおもてなし ダリアのペルシャ料理」

実はこのレシピ本「千夜一夜のおもてなし ダリアのペルシャ料理」の監修も手掛けたというアラシさん。お店でも、席でお客さんを盛り上げる傍ら、厨房に入って超真剣な眼差しで腕を振るっています。

東山丸太町の交差点すぐ、ドラッグストアの2階にあります

京都に来たら和食という方も多いかもしれませんが、京都こそ国際色豊かなインターナショナルシティ。あえてペルシャ料理ってのもツウっぽくていいですね!

※価格は税込。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認ください。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

撮影:三國賢一
文:猫田しげる、食べログマガジン編集部