実力派料理長の、想像以上にあたたかな「おもてなし」

「オールキッチンメイド」にこだわり抜き、一つ一つ丁寧に仕込む。

その華やかな経歴や卓越した技術からはどこか意外に感じるほど、Chow料理長は気さくな人柄をしている。リクエストがあれば耳を傾け極力叶え、手間暇をかけても手作り、出来たての料理にこだわる。それは、アラカルトにある「香港焼きそば」(2人前程度1,380円)のエピソードでもわかる。手間がかかるため開店当初はメニューになかったが、現地の味を知る人からのリクエストに応じて提供したところ、香港通たちに「これこれ!」と大変喜ばれてレギュラー入りを果たした。今や人気料理の一つとなっている。

そのほか「広東式 酢豚(黒酢金木犀タレ別添)」(1,650円)も人気。タレを別添えにするのは広東の昔ながらの食べ方で、最後の一口までパリパリした食感が続く。この酢豚は、Chow料理長の「お母さんの味」なのだそう。香港焼きそば同様、懐かしさやあたたかさを感じる料理と言える。

昼も夜も、一人でも何人でも歓迎してくれる

カウンター6席、テーブル席22席。どんなシーンでも心地よく過ごせる空間。

少人数の女子会やデートでの利用が多い中、カウンター席では男性客の「おひとり様」も増えている。誰かと楽しみたい時も一人になりたい時も、「いいものを食べたい」時も少し飲みたい時も、テイクアウトで手早く済ませたい時も気軽に立ち寄れる、懐深い場所なのだ。

お昼時は、近隣のオフィスから来店する人やお弁当を買っていく人も多い一方で、昼飲みを楽しむ人もいる。叉焼、焼売蒸し団子、日替わり魚介料理などをメインとするランチセットは、広東風健美粥、白米、十五穀米から一つを選べ、日替わりスープに漬物、豆乳のミネラル塩杏仁豆腐も付いて1,200円から。この杏仁豆腐は甘味と塩気のバランスが絶妙で、うっとりと目を閉じてしまうほど奥行きのある味わいだ。午後のティータイムには、お菓子とお茶のセットも考案中とのこと。今後の展開も楽しみだ。

大切な人を連れて行きたい、確かな店

白い扉と、開放的な窓が目印。

最後に一つ。ここで働く方々が活き活きとして、魅力的であったことを記しておきたい。マスク越しにも分かる笑顔での接客が素晴らしいというだけでなく、キッチンとフロアの信頼関係も感じられた。会食が貴重な機会となった今「大切な人を連れて行くなら、こんなお店がいい」と素直に思える店だろう。ぜひ一度、足を運んでみてほしい。

【本日のお会計】
■食事
・香港魚介のスペシャルセット 3,200円
■ドリンク
・ロゼワイン グラス 780円
・10年甕出し紹興酒 グラス 750円
合計 4,730円

※価格はすべて税込。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。
※営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、最新の情報はお店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

取材・文:アクツアユム(UP SPICE)
撮影:松村宇洋(UP SPICE)