【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#77】「カレーショップ」
すっかりカレーの街として知られるようになった下北沢エリアにおいて、ネオスタンダードカレーを標榜し、見た目はシンプルなカレーライスに加えて様々な箸休めが添えられるという形でマニアに支持されていた知る人ぞ知る名店「カレーショップ」が長野県松本市に移転したのをご存じでしょうか?
実は僕も知らなかったのですが、松本の方から「最近東京から来た人がカレーのお店始めたんですがとてもおいしいですよ!」という情報を得たのです。しかしその時点では東京のどのお店かも定かではなく、どこにも詳細が出ておりませんでした。そのため、教えてもらった住所だけを頼りに行ってきました。
たどりついてみると「CURRY SHOP」の小さな看板が店頭に。これってもしかしてあのカレーショップ?と興奮しながら店内に入ってみれば、シンプルながら細部や調度品にこだわりを感じる店内。マスターのお顔を見て確信。やはりあのカレーショップです。何とうれしい再会!
カレーの種類は6種類。それぞれ単体で完成された味なのであいがけはしないスタイルです。「ビーフ」1,500円をメインに、サイドメニューの「チキンピクルス」500円と「卵のアチャール」150円もいただきました。
セミドライで牛肉がゴロゴロと存在感あるグレイビー。見るからにおいしそう。たくさんありすぎて箸休めにならない箸休めは、それぞれ小瓶に入っているのを取り出すスタイルに変化していました。
まずビーフカレーを。ほろ苦さのあるカレー。ブラックペッパーが利いていて全体の味を程良く引き締めています。肉のうま味を引き立たせるスパイス感。基本的にはインドカレーの手法でありながら、欧風的な雰囲気も感じる個性あるスタイルであり、おいしい。
途中から様々な箸休めを加えると見た目的にも華やかになり、味的にも爽やかな酸味や刺激的な辛味が加わって味の輪郭がはっきりし、おいしさも満足感も跳ね上がります。
チキンピクルスも卵のアチャールもカレーの付け合わせとしても良いのですが、これをつまみにお酒を飲みたくなるような味。実はこちらのお店、カレーショップとしては昼のみ、夜は「tacos&mezcal bar『ixcalli』」としてメキシコ料理とインド料理をつまみにメスカル(メキシコ産の蒸留酒)を飲めるお店に変わるのだそう。しかも予約限定で南インドのミールスまであるというのだから気になりすぎます! また松本へ行く理由ができました。
マスターは多くを語らない方であり、こちらのお店もどうやら意図的に自分からは情報を出さないようにしているそうです。だからこそどこを探しても情報が無かったのでしょう。ならばこの記事も出さない方が良いのではと思われるかもしれませんが、メニューに「写真撮影SNSへの投稿はご自由に」とありますし、記事にしたい旨を伝えて許可を得ています。つまりマスターは気難しいわけではなく己の美学を貫くタイプなのでしょう。近しい方から聞いた情報によると、インド料理や欧風カレーなど様々なカレーを作ってきた経験があり、だからこそ気軽に作れるスパイスカレーではなく、手間暇かけまくって単品で満足できるカレーライスを作っているとのこと。それがこのカレーであり、数多くある箸休めとして形になっているのでしょう。6種類あるカレーもそれぞれベースから違うので通って食べ比べつつ、自分の好みを探すのも楽しいでしょう。
東京のカレー激戦区下北沢エリアでも異彩を放ち、抜きん出たおいしさだったお店が長野県は松本で味わえるというのは、長野の方にとっては朗報です。余談ですが、下北沢名物で大人気だったカレーパンの「アンゼリカ」も松本に移転したので、はしごするのもおすすめ。下北カレーを愛する方にとっては下北の名店が2店舗も松本に移転したとなれば、それを楽しむ為に行くのも良いでしょう。
松本、とても良いところですよ。そしてカレーショップ、とても良いお店なのです。
※価格はすべて税抜