いま食べたい“うどん”が分かる『百名店』

日本人の心をつかんで離さないうどんには、全国津々浦々、麺や出汁に地域の特色があるため、「結局美味しいお店はどこ?」という疑問を抱くことも多いはず。

 

そこで、全国のうどん店の中で食べログユーザーから高い評価を集める100店を選出した、『食べログ うどん 百名店』を食べログから発表しました!

 

今回はうどん激戦区に注目し、うどんライターの井上こんさんにその魅力について解説していただきました。

実は「うどん激戦区」な、あの街。

全国津々浦々2万軒以上あるといわれるうどん店から、選りすぐりの100軒を集めた『食べログ うどん 百名店』。あるとき、一つ一つのお店を「ずいぶんご無沙汰しているなぁ。大将お元気かしら」なんて懐かしく眺めていて、お!となりました。

 

東京にある20軒のうち5軒がある“区”に集中していたのです。それも意外や意外、学問と歴史の街、文京区に。渋谷や新宿のような繁華街でもなく、家賃が安いわけでもない文京区になぜ。これに気づいて以来、うどんを食べに行ってはご主人らに疑問をぶつけずにはいられないのですが、みなさん「言われてみればたしかに」と首をかしげるばかり。う~む。

 

真相の解明は今後の課題として、今回は『百名店』に名を連ねる文京区の5軒をご紹介します。

1.「味噌煮込罠」

写真:井上こん

 

名古屋生まれじゃなくたって無性にすすりたくなる、味噌煮込みうどん。野太い男麺に、八丁味噌の芳香。ぐつぐつと煮えたぎる鍋が運ばれてきた瞬間なんて、思わず「冬ばんざ~い!」なんて叫びたくなるほど。

 

本郷三丁目の「味噌煮込罠(みそにこみん)」は、東京では珍しい味噌煮込みうどん専門店。歯にしっかりアプローチしてくる麺もさることながら、八丁味噌独特の酸味とコク、節類のうまみ、すべてのバランスが取れただしは一口ごとに感服しきり。麺を平らげた後はサービスのご飯を混ぜて、“即席味噌おじや”をいただきます。また、オーソドックスからキムチやトマトを使ったものまで、味噌煮込みという土俵でユニークな技を見せてくれるご主人の遊び心にもきゅん!

 

 

ほかにもこんなお店が。

2.「根津 釜竹」

写真:外山温子

 

前回、「うどん居酒屋」に注目した記事でもご紹介した「根津 釜竹」が店を構えているのも、やはり文京区です。

 

大阪「釜竹」(※現在は閉店)で修業を積んだ息子さんが営む、和モダンなうどん居酒屋。日本庭園に心を癒やされながら、のん兵衛垂涎の日本酒と肴、そして絶品の手打ちうどんが楽しめます。蔵だった造りを活かした席は、腰を据えて飲みたい方におすすめ。

 

関連記事「トレンドは「うどん居酒屋」!唎酒師が職人のうどんの名店の魅力に迫る

 

3.「釜あげうどん はつとみ」

写真:井上こん

 

江戸川橋駅からすぐ。くにゅんとツイストの効いた細麺は、宮崎で必ず名が挙がる「重乃井」の系譜店であることの証明。店名にもあるとおり、麺自身の美味しさを知れる釜揚げうどんが有名ですが、あえて推したいのがかけうどん系。隠し味に椎茸を使った琥珀色のだしはほろ甘く、余韻たっぷりで知らず頬が緩んでしまいます。

 

 

4.「讃岐饂飩 根の津」

写真:井上こん

 

根津駅にほど近い住宅街に建ち、こぢんまりと落ち着いた空間。多加水、長期熟成で大切に“育てられた”麺は伸びよし、押し返しよし。東京でも指折りの讃岐うどんのお店の一つです。無垢なだしからも丁寧な仕事ぶりがうかがえます。

 

5.「こくわがた」

出典:みゅうささん

 

“かけうどん340円”。「早い、安い、ウマい」の三拍子がそろうところは、さすが1日1000人が訪れる立ち食い界のモンスター店「おにやんま」出身! しっかりと“腰が入った”麺は、本当にこのお値段でいいのかしらと思ってしまうほど実直で真っ当。これまで“チョリソー天”や“ししゃも天”など、出身店同様、週替わりで登場する個性派天ぷらを楽しみにするファンも。

 

ハシゴするなら、文京区に決まり!

今回ご紹介した5軒に限らず、実力店が徒歩圏内にひしめく文京区。1軒だけで終わらせるなんてもったいない。まさに“ハシゴうどん”にうってつけの街なのです。