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「食べログ 焼肉 百名店 2018」平成を彩った“和牛が旨い名店”!
食べログで評価の高い名店を全国各地から集めた「食べログ 百名店」に、昨年の冬に新たなジャンルとして「食べログ 焼肉 百名店 2018」が発表!
そこで食べログマガジンの人気連載「肉、最前線!」を執筆中のライター小寺慶子さんが、何よりも焼肉とホルモンが大好き!という方々に各々の注目店を聞いていく“焼肉トーク”をお届け。第2回にご登場いただくのは、溢れんばかりの和牛愛を綴った『肉バカ。No Meat No Life.を実践する男が語る和牛の至福』の著者、小池克臣さんです。自他共に認める“肉バカ”のお二人がじっくりと語り合いました。(第1回はこちら!)
“和牛愛”なくして、焼肉を語るべからず!
肉ライター小寺慶子さんの今回の対談のお相手は、横浜の魚屋の長男として生まれるも、家業を継がずに肉を焼く日々を送る、小池克臣さん。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、さらには和牛そのものの生産過程や加工、熟成まで踏み込んで研究を続ける肉の求道者です。著書に『肉バカ。No Meat No Life.を実践する男が語る和牛の至福 』(集英社刊)。公式ブログ「No Meat, No Life.」。
No Meat No Lifeを実践する和牛マニアが、“平成焼肉”を語り尽くす!
小寺慶子(以下小寺):平成も残すところあとわずかになりましたが、やはり日本の食肉事情は平成の間に大きく変わりましたよね。
小池克臣(以下小池):そうですね。僕は和牛推しの観点から、ずっと日本の焼肉を見つめてきたのですが、やっぱり「よろにく」のようなお店が出たことで、焼肉のイメージは激変しました。
小寺:小池さんは初めて自身のお金で食べた「叙々苑」でその特別感に心を打たれたと聞きました。私も叙々苑の牛タンを初めて食べたときは一生、これしか食べられなくていいと思いました(笑)。あとあのサラダがあればいいと。後々、レモンだれでタンを食べるのは叙々苑から始まったというエピソードを知ったときは感動しましたね。
小池:「食べログ 焼肉 百名店 2018」には様々な人気店がランクインされていますが、やっぱり「よろにく」、「炭焼 金竜山」は強い。行くたびに焼肉は至高の料理であると実感しますね。
よろにく(出典:サプレマシーさん)
小寺:「よろにく」のザブトンのすき焼き風トリュフがけとか、ヒレカツにはもう至福という言葉しか出ない。「炭火焼肉 なかはら」も三ノ輪時代に初めて行ったときは衝撃を受けました。こんなタン、見たことない!って。
小池:なかはらのオーナー・中原さんの「もっと小豆色の肉を切りたい」という言葉がずっと忘れられなくて。どれだけ進化してもし足りないというか、高みのさらにその上を行くという姿勢に感服します。タンも一切冷凍をしてない黒毛和牛のものだけを使い続けている。幻のタンはあの味といい食感といい、唯一無二の存在です。
炭火焼肉 なかはら(出典:サプレマシーさん)
小寺:中原さんのもとで修業した方のお店「炭火焼肉 ふちおか」も好きです。店主のお人柄もとても良くて、これまで経堂は学生向けのお店が多い印象だったのですが、ああいう良店があると街がより成熟する気がします。目と鼻の先にある取材NGの「明月館」も“ザ・昭和焼肉”な雰囲気が好きなんですが、それとは対極の良さが「ふちおか」にあると思います。
ふちおか(写真:お店から)
“焼いてくれる焼肉店”が話題!最高のタンが食べられる店とは?
小池:タンで忘れちゃいけないのが新宿の「焼肉 大貫」。焼いてくれる焼肉店というコンセプトも新しかった。スタッフが焼いてくれて、タンの場合は皿の上にのせてからちょっと待つじゃないですか。あの時間がもうもどかしくて(笑)。
焼肉 大貫(出典:代々木乃助ククルさん)
小寺:まさにおあずけ状態ですよね(笑)。スタッフは日夜、焼きを研究していると聞きました。最高の素材を一番良い状態で食べさせてくれるのが、プロ焼きの良さですね。私、焼肉のときはいっさい白米を食べないんですが、「大貫」は別。お米も本当に美味しいんです。
小池:それまで“プロ焼き”の店ってあまりなかったですよね。そういう意味でも焼肉が本当に多様化したと思います。コロンブスの卵的な発想の店がすごく増えました。そもそも本当にすばらしい焼肉店って、肉を心から愛していてすべてを知り尽くした職人がいるわけですから、アイディアが湯水のように湧くのは必然ですよね。
“肉バカ”が週に何度も足を運ぶ“非常識なほど旨い”焼肉店
小池:都心からは少し離れているけど、どこにあろうと何度でも行きたくなる店ってありますよね。いまどきネットでなんでも調べられるけれど、それでも隠れた名店はまだまだある。僕にとってはそれが「焼肉しみず」です。
小寺:実は私は行ったことがないのですが、小池さんしかオーダーできない特別コースがあると聞きました。
小池:そうなんですよ(笑)。だからいろんな人に「食べたい!」とお願いされて毎回一緒に行くので、もう本当にお世話になっています。
小寺:知る人ぞ知る穴場店が百名店にランクインしたのは、おそらく小池さんの本の影響力も大きいかと。やはりイチオシはタンですか?
小池:牛一頭から5切れしか取れないタンももちろんすばらしいのですが、サガリやハラミもめちゃくちゃ旨いし、正肉も本当にレベルが高いです。タンが完璧な状態に焼けたときはすごくテンションが上がります。
焼肉しみず(出典:ウェイクさん)
小寺:百名店入りはしていないのですが、「金楽 浅草店」のハラミが好きで。よく一人でふらっと行って昼から焼いています(笑)。上手に焼けると確かにアドレナリンが出ますよね。炭の置き方まで考えられていて、家族経営の温かさがあって、浅草界隈の焼肉店の中でも特に好きなお店です。
金楽 浅草店(出典:カレーマン@koking_nowさん)
小池:一人焼肉という言葉をよく聞くようになったのも平成になってからですね。カウンターがあったりして、一人でも入りやすいお店が増えました。
小寺:いろいろな意味で間口が広がりましたよね。一人でもデートでも、カジュアルでもご褒美にも、というように気分やシーンで好きなお店に行けるようになったと思います。
和牛マニアが予想!2019年ブレイク必至の新店はここ
小池:今年、個人的に絶対ブレイクするだろうなと思っているのが西麻布の「誇味山」。「ら・ぼうふ」を一躍人気店にした込山秀規さんの新店です。
ら・ぼうふ(写真:お店から)
小寺:えっ!! それは耳より情報ですね! それにしても西麻布って焼肉店の宝庫だなぁ。「西麻布けんしろう」に「焼肉ステーキ あつし」に「焼肉 うしごろ 西麻布本店」に……。「誇味山」ができることで、ますます聖地化が進みそう。私がそろそろブレイクしてもおかしくないと思うのが、世田谷の上町にある「岩﨑ホルモン」です。豚ホルモン専門の焼肉店で、とにかく仕事が丁寧。ひと皿ずつ出されるホルモンには神々しいオーラさえ感じます。和牛マニアの小池さんにもぜひ、おすすめしたいお店です。
岩﨑ホルモン(出典:toridonjazzさん)
小池:そうやって新たな発見があるとうれしいですよね。「No Meat No Life」を実践する和牛好きとして、これからも楽しく真剣に“肉バカ”道を邁進していきたいと思います。
撮影:森山祐子(小池さん・小寺さん)
取材・文:小寺慶子