「食べログ 焼肉 百名店 2018」に見る、平成を沸かせた名店たち!

食べログで評価の高い名店を全国各地から集めた「食べログ 百名店」に、この冬新たなジャンルとして食べログ 焼肉 百名店 2018が加わりました。

 

その発表にあたり、食べログマガジンで「肉、最前線!」を連載中のライター小寺慶子さんが、焼肉とホルモンを愛してやまない方々に“注目店”を聞いていく対談を開催! 一人目はフードライターの小石原はるかさんが登場します。

偏愛×肉食。ふたりが熱くなった焼肉は?

偏愛系フードライターで大の肉好きとしても知られる小石原はるかさん(写真左)と、週3で焼肉店に足を運ぶ肉食ライターの小寺慶子さん(写真右)が、空前絶後の焼肉人気について熱いトークを展開!(写真:食べログマガジン編集部)

 

ここ数年で著しい進化を遂げた日本の焼肉。個性豊かな店が次々と生まれ、日本の焼肉業界は群雄割拠の時代へと突入しました。

 

平成を沸かせた店から「食べログ 焼肉 百名店 2018」に見るトレンドまで、愛があふれる焼肉・ホルモン談義をお届けします。

いま焼肉好きが注目するキーワードは“食べログ映え”に“タレ焼肉”

タレで個性を発揮!が、来る?

小石原「今年1年を振り返ってみると、去年ほど新しい動きはなかったように見えるけれど、それでも焼肉人気の根強さは感じますね」

 

小寺「ひとり焼肉、プロ焼き、塊焼き…。毎年、何かしらのキーワードがありますよね」

 

小石原「潮流でいうなら、来年以降はタレ焼肉の時代が来るのではと思っています。実際、今年の9月以降からタレ焼肉のお店がどんどん増えている印象。塩もいいけど、いまの焼肉店は付加価値と個性の時代だから。そういう意味でもタレ焼肉は増えると思います」

思わず「行った」と言いたくなる店

SATOブリアン にごう/出典:ぴーたんたんさん

小寺「確かに食べログ 焼肉 百名店の100軒を見ると、老舗も新興系もキャラが濃い店が多いですね。上位の大半を占めているのは、ここに行くことこそがステイタスというイメージのある店。SATOブリアン然り、USHIGORO S.然り、蕃 YORONIKUも。SNS常連組はやはり強い。焼肉だけでなくサイドメニューが充実していたり、プレゼンテーションも凝っていたりしますよね。日本の焼肉店の発展を語るうえで、欠かせないお店でもあると思います」

 

小石原「いわゆる“食べログ映え”の店ですね」

 

いつだってストイックな職人技に惹かれる!

小石原「私はとにかくホルモンが美味しい店推しなのでスタミナ苑炭火焼 ゆうじは永遠に好きです」

 

小寺「私もはじめてスタミナ苑に行ったとき、ホルモンの盛りつけがナスカの地上絵かと思うくらい美しくて感動しました」

スタミナ苑/写真:東京ホルモンズさん

 

小石原「焼肉に限らず、ストイックな職人がいる店が好きなんです。焼肉ってよく最終調理を料理人がしない唯一のジャンルって言われるけど、だからこそテーブルに肉が運ばれるまでの工程が重要だと思うんですよね。ホルモンは目利き、下処理、包丁の入れ方が問われる分、ごまかしが一切利かない。だからホルモンが素晴らしいお店に惹かれるんです。スタミナ苑とゆうじは、まさにその筆頭格ですね」

昔ながらの昭和焼肉が再ブレイクの予感!?

ルールが厳しい店でも、臆せず挑戦すべし

焼肉 静龍苑/出典:やっぱりモツが好きさん

 

小寺「昔ながらの焼肉店が世の中に敬遠されていた時代もあったけれど、私は逆にそういう店に惹かれます。家族経営のアットホームさがあって、でも仕事はきちんとしている。焼肉 静龍苑も定期的に行きたくなる店のひとつです。ずっと取材拒否を貫かれていたみたいだけど、メディア全盛時代に口コミだけでここまでランキングを伸ばしているのはすごい。ここの牛タンも盛りの美しさが圧巻。私、盛りつけフェチかもしれないです(笑)」

 

小石原「焼肉 静龍苑、牛タンは最初のオーダーだけという決まりがあるよね。ルールのある焼肉店を好まない人もいるけど、私は嫌いじゃないです。焼肉くにもとなんて、帽子はダメ、店内待ち合わせはダメとかいろいろNG事項があるけど、自分たちも最高の肉を出すからベストな状態で食べに来てください、という、ある意味決意表明みたいなものじゃないですか。別館と新館でビールの銘柄を変えているのは接待も意識してのことなのかなとか、いろいろ考えさせられますね(笑)」

 

小寺「ルールといえば、昔はあそこの女将は焼きや礼儀に厳しいみたいな名物ママがいる店って多かった気がします。いまはあまり聞かなくなりましたね」

 

小石原「肉を焦がそうものなら、ものすごい形相で飛んで来たりね(笑)。百名店ではないけれど、渋谷の髙麗亭も大好きな店です。ママのホスピタリティが素晴らしくて、肉を焼いてくれたり、眼鏡まで拭いてくれたり(笑)至れり尽くせり。いい意味でクセが強い昭和焼肉にハマる人が増えるかもしれませんね」

プロ焼き、老舗の進化、3K、遠征焼肉etc…。焼肉談義はまだまだ続く

自分で焼かない焼肉店も続々

焼肉 大貫/出典:えこだねこさん

 

小寺「焼きといえば、最近は客が肉を焼かないプロ焼きのお店も出てきましたね」

 

小石原「新宿の焼肉 大貫とか。焼肉不毛地帯といわれるエリアに新風を吹き込んだ店として話題になりました。タン好きにはたまらない店だと思います」

 

小寺「お店の方が焼いてくださってお皿に置いてくれるんだけど、1分待ってって言われるんですよね。目の前に肉があるのに食べられないジレンマ(笑)。けど、その1分で肉汁がぐわーっと滞留するから、もううっとりするくらい美味しい」

老舗の底力を肌で感じる

正泰苑 総本店/出典:やっぱりモツが好きさん

 

小石原「小寺さんは今年初めて行って、感動した店はあった?」

 

小寺「恥ずかしながら、初めて正泰苑 総本店に行ったんです。人生を巻き戻したくなるくらい、いままで来なかったことを後悔する店でした」

 

小石原「昔からある老舗焼肉。いいですね」

 

小寺「創業は古いんですけど、代替わりした店主がけっこうチャレンジャーで。600時間熟成タンとか黄身ダレで食べる焼きすきとか、お肉のメニューも豊富。レモンサワーもかき氷も美味しくて、某わくわくメルヘンランド超えのエンタメ感でした(笑)」

下町は開拓のしがいアリ!

亀戸ホルモン/出典:komug710さん

 

小石原「私が総武線の3Kと呼んでいるエリアもまだまだ開拓しがいがありそうです。亀戸ホルモンは有名だけど、錦糸町も焼肉激戦区ですし」

 

小寺「総武線の3Kは小石原さんが生み出したヒットワードですよね。亀戸、錦糸町、小岩。確かにまだ見ぬ名店がたくさんある気がします」

東京じゃ出合えない、ご当地ならではの味に感動!

一升びん/出典:にーさん717さん

 

小石原「焼肉好きは基本的にフットワーク軽い人が多いから。スタミナ苑だって、やっぱり場所的には行きづらいけど、あの詣でる感じがまたいいんですよね。なにかと話題の三重の一升びんにも行ってきたけど、やっぱり遠征焼肉はテンションがあがります」

ホルモン千葉/出典:なにわのくろっくすさん

 

小寺「その土地の色があって、こんな部位を出すんだとか、タレの味が東京とは全然違うとか発見がある。京都の肉料理 荒川も大好きです。“さらし”の焼肉店って東京ではめずらしいから、店主がお肉を目の前で切っているのをカウンター越しに見るのが楽しい」

 

小石原「今後、東京に進出する地方店がもっと増えるといいなと思っています。ホルモン千葉も京都からのお店ですが、タレ焼肉が人気ですよね。土地と人とのよい化学反応が起きることで、もっと日本の焼肉文化が発展したら嬉しいです」

 

次回は、和牛LOVERなあの方が登場! ご期待ください。

食べログ 焼肉 百名店 2018

 

PROFILE

小石原はるか(こいしはら・はるか)

1972年東京生まれ。一度ハマると歯止めの利かないマニアックな気質と比較的頑強な胃袋で、これまでにスターバックス、さぬきうどん、料理人、ホルモン、発酵食品などにどっぷりとハマってきた、人呼んで“偏愛系ライター”。著書に「東京最高のレストラン2019」(共著・ぴあ刊)、「自分史上最多ごはん」(マガジンハウス刊)など。

小寺慶子(こでら・けいこ)

肉を糧に生きる肉食ライターとして、さまざまなレストラン誌、カルチャー誌などで執筆。増加し続ける体重に歯止めをかけるべく、昨年から某トレーニングジムで筋活&食事制限を開始。-18kgを達成するも、現在順調にリバウンド中。

 

取材・文:小寺慶子