食べた瞬間思わず「これ、うまいで!」と電話するほど感動した新作パン
「1年ほど前に登場した新作パンです。山岸さんがこれを買った時、すぐに『これ、うまいで!』と電話がかかってきたのには驚きました(笑)」とエピソードを振り返る楠田さん。一見するとおにぎりのような形状をしたフランスパンながら、ガブリと口にすると……?
中から現れたのは、熟成ビーフカレーパンにも使用されていた北海道産ジャガイモ「きたあかり」がほぼ半分! その脇には分厚いベーコンがぎっしり。ガーリックの味と香りも食欲をますます刺激する。
山岸さん
あまりのおいしさに、食べてすぐに電話したほどです(笑)。まずフランスパンの生地が絶妙。自家製発酵種を使用し、しっかり噛み応えがありながら、サックリと噛み切れるバランスの良さ。そして大胆なジャガイモのホクホク感とベーコンの塩味と旨味。さらにガーリックの程良い刺激が波状攻撃を仕掛けてくるのです!
惚れた味をとことん追求する職人の心意気を感じるチーズフランス
最後に紹介するのは「じゃがベーコンフランス」と同じフランスパンの生地に、レッドチェダー、プロセス、ソフトという3種類のチーズを使用した「3種のチーズフランス」だ。「チーズだけでなく、このパンは砂糖にこだわっています」と楠田さん。
実はチーズには砂糖をまぶし、ほのかな甘さを演出しているという。楠田さん曰く「20年以上前に訪れた鹿児島県喜界島だけで製造されている粗糖のおいしさに感動して、それをわざわざ取り寄せて使っているのです」。
山岸さん
こちらもフランスパンの絶妙なバランスは言わずもがな。それよりチーズを味わってみてビックリ。ほのかな塩味のあとに優しい甘さが広がるのです。サトウキビが原料の喜界島産粗糖だからこそできる、奥深い味わいをぜひ楽しんでください!
ワンランク上の材料を使いつつ、さらに一手間加えたこだわりを感じさせるパンの数々。それでいて高級ではなく、毎日通える一般的な価格帯で販売しているのは、まさに楠田さんの努力の積み重ねにほかならない。
三宮からは電車とバスを乗り継ぎ、ようやく辿り着く厳しい立地条件。しかし地元の人はもとより、遠方からもわざわざ足を運ぶという人気の理由は、価格だけでなく、そのパンを一度口にすれば分かるはずだ。