世界一のパン職人の新たなチャレンジ

世界最高峰とうたわれるパンの世界大会「モンディアル・デュ・パン」。その大会で日本人初の総合優勝を果たしたのが、九品仏にある人気ベーカリー「Comme’N TOKYO(コム・ン トウキョウ)」を立ち上げた大澤秀一さんだ。

お馴染みの「コム・ン」のロゴが目印

一躍「コム・ン トウキョウ」を人気店とした大澤シェフが、2店舗目としてグルテンフリー専門店「Comme’N GLUTEN FREE(コム・ン グルテンフリー)」を2022年5月5日にオープンした。

小麦に含まれるグルテンは、パン作りに欠かせない要素。そのグルテンを含まないパンを作ることは大澤シェフにとっても大きな挑戦だ。いったいどんな店なのだろうか。興味津々で訪れてみた。

パンは常時20種類ぐらい並ぶ予定

東急大井町線「九品仏」駅すぐ近く、「コム・ン トウキョウ」の向かいに店舗がある。店内はこぢんまりとしており、2~3人入ればいっぱいになってしまうぐらいの広さだ。

店を入ってすぐに、カラフルな具材が並んだサンドウィッチなどのオーダーカウンターがあり、その横にはこんがり焼き上がったパンが置かれている。小さいスペースながら奥までぎっしり並べられた光景はパン好きにはウキウキする眺めだ。

選ぶ楽しさにときめく! 自分好みに作れるカスタムサンドウィッチ

シンプルなデザインの店舗

グルテンは、マヨネーズやケチャップなどの調味料や、ソーセージなどの加工食品にも含まれていることがあるのだそう。このため、「コム・ン グルテンフリー」ではパン以外の食材もグルテンフリーのものを選び、調味料も手作りするなどして完全グルテンフリーを実現。ここでは、小麦アレルギーを持っていたり、グルテンを摂取すると体が不調になったりする人も安心してパンを選ぶことができる。

左から「グルテンフリーたまごサンド」702円(税込)、「グルテンフリーサンドウィッチ」1,296円(税込)、「グルテンフリーホットドッグ」918円(税込)

この“選ぶ楽しみ”が「コム・ン グルテンフリー」の大切なキーワード。その思いを体験できるシグニチャーメニューが、パンから具材、ソースまでとことんカスタマイズできるサンドウィッチやホットドッグだ。組み合わせは1万通りもあるというから驚く。

ベースは「たまごサンド」「サンドウィッチ」「ホットドッグ」の3種類。さっそく「サンドウィッチ」をオーダーしてみた。

左から時計回りにホットドッグ用の「豆乳コッペ」「トルティーヤ」、たまごサンド用の「六穀ブレッド」「パン・ド・ミプレーン」、サンドウィッチ用の「玄米パン」 「六穀ブレッド」「黒米パン」「パンドミ プレーン 」

まずはパン生地選びから。「パン・ド・ミプレーン」「六穀ブレッド」「黒米パン」「玄米パン」の4種類がある。

お馴染みのパンに近づけるためにさまざまな粉を取り寄せ、試行錯誤を繰り返したのだそう。「パンドミは米粉に片栗粉やライススターチなどをブレンドして、サックリした軽い食感を目指しました。小麦で作るパンに近い食感が出るようにしています」と大澤シェフは語る。

パンにはシェフおすすめの「黒米パン」をチョイス。黒米の粒々感が楽しめ、ほんのり紫色のビジュアルが美しい。

色とりどりにショーケースに並んだデリが食欲をそそる

パンに塗るソースには、サワークリームを混ぜてさっぱりした味わいの自家製マヨネーズを選んだ。次は、挟む野菜とメイン具材をそれぞれ2品ずつ選んでいく。野菜メニューとしてレタスやスライストマトといった生野菜の他にキャロットラペのようなデリがあり、メイン具材にはポテトサラダやマリネしたサーモンなどが用意されている。

ソースをパンに塗り、野菜2品、メイン2品をどんどん重ねていく

何にしようかと迷ってしまったら、スタッフと相談。

「ポテトサラダはインカのめざめを使い、ザワークラウトも少し混ぜて、柔らかいパンに合うしっかりとした食感のサラダです。ニンジンのラペにはディルを利かせているんですよ」「その組み合わせ、いいですね」などと相談しながら次々と具材を決めていく。他のどこにもない自分だけのサンドウィッチができあがっていくのは、ワクワクする体験だ。

カラフルなビジュアルにうっとり。ボリューム満点でお腹も大満足のサンドウィッチだ

できあがったのがこちら。「黒米パン」に自家製マヨネーズ、キャロットラペとキャベツラペ、ポテトサラダ、サーモンを挟んだもの。

具材は素材の味を生かした優しい味付けのものばかり。ときおり顔をのぞかせるハーブやスパイスがアクセントになっている。「黒米パン」は米の粒々した食感が楽しく、パンとしての主張が強すぎないため、具材を包み込むような優しい食べ心地だ。

「たまごサンド」のラインアップ。卵を使ったデリや野菜、具材を選んでいく

この他、那須御養卵を使用した「たまごサンド」や、ボリューミーなグルテンフリーのソーセージを使った「ホットドッグ」もある。

「たまごサンド」はパンのサイズが小ぶりで、軽食や子どものランチにぴったり。卵は甘みがあり濃厚な味わいが特徴で、少しオレンジがかった黄身の色が鮮やかだ。

「ホットドッグ」のラインアップ。ジンジャーやコリアンダーを利かせた自家製ケチャップがおすすめだ

「ホットドッグ」用のパンには、サクッと軽快な食感の「豆乳コッペ」と「玄米粉のトルティーヤ」が用意されている。こちらもソースや挟む具材のバリエーションで、自分好みの「ホットドッグ」を作ることができる。

食べながら、次はどの組み合わせにしようかと想像してしまう。豊かなバリエーションで、選ぶ楽しみがどんどん広がっていく。