新しいパンのおいしさを発見! グルテンフリーのパン

コーンパンを製作中。生地で具材を包み込めないため、具材は生地の上にのせている

「健康を考えてというよりも、パンが食べたいのにグルテンがあると食べられない。そんな人たちにもパンを楽しんでほしいと、できるだけ普通のパンに味や食感を近づけています」と語る大澤シェフ。

パンのラインアップにもクリームパンやあんぱん、ブリオッシュなど定番メニューがそろっている。

「クリームパン」324円(税込)

グルテンのない米粉ならではの苦労がある。例えば「クリームパン」。通常のパン生地のように生地でクリームを包み込むということができない。そのため、型に生地を絞り出し、その上にクリーム、さらに上に生地と重ねて成型している。

少し平たい生地は端の部分がこんがり焼けてカリッとし、中はフカフカの柔らかさ。トロリとコクのあるカスタードクリームがたっぷり入り、シンプルで誰からも愛される味わいだ。

「ブリオッシュ・ナチュール」 270円 (税込)

小麦で作るブリオッシュにかなり似た味わいが実現できたという「ブリオッシュ」。バターと卵たっぷりのリッチな生地をよりおいしく味わうには、ラップをふわっとかけて電子レンジで温めるのがおすすめ。

グルテンは電子レンジで温めるとしまって硬くなるのだそう。けれど、グルテンフリーのパンならその心配はない。買った翌日の朝食に電子レンジで温めて食べれば、焼きたてのバターの風味が蘇る。

まだまだ広がるグルテンフリーのパンの世界

大澤秀一シェフ。ベーカリーを営む両親の元で育ち、神戸のカリスマパン職人、西川功晃氏に師事する

「日本人にもおいしいと思えるパンを作る」。世界で認められた一流の技術を持ち、常に食べる人に寄り添うパン作りに愚直に取り組んできた大澤シェフ。その大澤シェフが「コム・ン グルテンフリー」を作るきっかけになったのが、「コム・ン トウキョウ」のスタッフだった佐藤優奈さんだ。

佐藤優奈さん。料理専門学校卒業後、「コム・ン トウキョウ」でパンの修業を積む。現在、スーシェフを務める

パン職人になるべく、日々研鑽を積んできた佐藤さんだが、小麦を多く使用する環境の中で小麦アレルギーを発症。大好きなパン作りをあきらめざるを得なくなってしまった。

その佐藤さんと共に、グルテンフリーのパン作りを始めた大澤シェフ。そこには佐藤さんのようにパンが好きだけど、パンをあきらめざるを得ない人たちにも食べられるパンを作りたいという思いがある。

大澤さんと佐藤さん、2人が見せてくれるパンの新しい楽しみ。まだ始まったばかりだが、その未来に期待したい。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

※営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、最新の情報はお店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

取材・文・撮影:小田中雅子