ここが違うよ!! 博多皿うどん
皿うどんといえば、パリパリの揚げ麺に中華あんがトロリとかかる「長崎式」の皿うどんを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし福岡の皿うどんは、作り方、麺、見た目も長崎とは違います。「博多式」の皿うどんは、いわゆる“汁なしチャンポン”のような一品。やや太い麺が特徴で、具材は野菜、豚肉、蒲鉾や天ぷら(揚げた練り物)、店によっては魚介が入ることも。「博多皿うどん」発祥の店から、人気店、老舗の穴場までをご紹介します!
1. 明治37年創業、博多皿うどん発祥の店|福新楼
「博多皿うどん」を語る上でハズせないのが、福岡で最初の中華料理店「福新楼」です。「博多皿うどん」は、昭和初期に二代目の張兆順氏の手によって誕生。当時は中華麺の製麺所が長崎にしかなく、麺は汽車便で福岡に取り寄せていたのだとか。輸送には時間がかかり、加水率の高い太麺は日持ちしない……。そこで、届いた麺が傷まないように焼き固め、スープで煮込み、戻して使っていたことから「博多皿うどん」が生まれました。
当時はエビやイカが入っておらず、海産物が原料の蒲鉾や天ぷらなどが主な具材だったそう。現在「福建炒麺・博多皿うどん」1,320円として提供されているメニューは、考案当時の調理法や具材を用いた復刻の味です。博多の老舗「西門蒲鉾本店」の紅白蒲鉾と角天、豚肉、キャベツ、モヤシなどの野菜を炒め、自慢のスープを加えてひと煮立ち。そこへ焼き固めた麺を投入し、スープがなくなるまで麺を煮込んだら完成です。
余談ですが、1914(大正3)年、福岡で初めてモヤシ作りに成功したのも同店。第一次世界大戦勃発後、日英同盟時代には中洲にドイツ人捕虜収容所ができ、ドイツの人々へチャンポンを差し入れに行ったこともあるのだとか。東中洲で創業して礎を築き、天神で長く愛され、現在は今泉に店を構える老舗。歴史の詰まった一皿をご賞味あれ。