〈福岡のソウルフード〉
観光地としても有名な、福岡県太宰府市にある太宰府天満宮。福岡県民なら合格祈願や観光で、一度は訪れた馴染みある場所ではないでしょうか。そんな太宰府天満宮の名物と言えば「梅ヶ枝餅」です。サクッふわっとした餅生地に、とろっとなめらかなあんこがたっぷり! 今回は、そんな福岡のソウルフード「梅ヶ枝餅」の魅力をご紹介します。
教えてくれたのは
せせなおこ
福岡出身。あんこが大好きな和菓子女子。和菓子を好きになったきっかけはおばあちゃんと作ったおはぎ。小さな和菓子に日本の文化や歴史が反映されていることに魅力を感じ、和菓子を発信すべくライターやコーディネーターとして活動中。和菓子メディア「せせ日和」も運営。https://sesebiyori.com/
梅ヶ枝餅(うめがえもち)ってどんなお餅?
梅ヶ枝餅は、餅生地であんこを包み焼き上げたとてもシンプルな焼き餅。その誕生は、なんと平安時代にまでさかのぼります。太宰府天満宮に祀られている菅原道真は、当時太宰府に左遷され、罪人のような生活を強いられていました。その時、近くでお餅を売っていた老婆が梅の枝にお餅をつけて差し入れたのがきっかけで「梅ヶ枝餅」が誕生したと言われています(詳細については諸説あり)。
太宰府天満宮の境内、そして参道で梅ヶ枝餅を販売しているお店は20軒以上! すべての店舗が梅ヶ枝餅協同組合に加盟しているので、どこで購入しても値段は130円(2021年10月現在)と同じです。現在では太宰府の名物としてはもちろんのこと、福岡を代表する銘菓になりました。
そんな梅ヶ枝餅、“焼いただけのお餅”と侮ることなかれ。お餅の食感、焼き加減、あんこ、それぞれのお店の味を楽しむことができます。
中央に梅の焼印がついた梅ヶ枝餅は、4個分の型に入れて焼いていきます。機械化されたお店も増えましたが、昔ながらの手焼きのお店もあり、焼き方で梅ヶ枝餅を選んでみるのもいいかもしれません。ちなみに私は、パリッとしっかり焼いてある梅ヶ枝餅が好みです。
月に一度しか食べられない特別な梅ヶ枝餅
太宰府天満宮に初詣で行っていた時は、種類の違う梅ヶ枝餅があることを知らなかったのですが、テレビの放送で毎月17日・25日だけ食べることのできる梅ヶ枝餅があることを知りました。これは福岡県民でもなかなか知らない情報です!
種類の違う梅ヶ枝餅は2種類あり、一つ目は毎月25日に食べることができる「よもぎの梅ヶ枝餅」です。お餅によもぎが練り込まれていて、緑色をしています。25日というのは、菅原道真公の誕生日(845年6月25日)と命日(903年3月25日)にちなんでいます。
二つ目は毎月17日に食べることができる「古代米の梅ヶ枝餅」です。古代米で作られている生地は紫色をしていて、普通の白い梅ヶ枝餅よりも雑穀感が増した強い穀物の風味が特徴です。
もともとは、太宰府天満宮の隣にある九州国立博物館の開館10周年を記念して作られた梅ヶ枝餅でしたが、評判が良かったことから、販売が始まった2015年11月17日にちなんで、毎月17日に販売されるようになったんだそう。
この2種類の梅ヶ枝餅は月に一度、ほとんどのお店で販売されています。17日、25日を忘れずにチェックして食べに行ってみてください!