川井 潤さんが「応援したい」と通っている日本料理店とは?

〈食べログ3.5以下のうまい店〉

巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー!

食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。

食べログでは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。

点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。

そこで、グルメなあの人にお願いして、本当は教えたくない、とっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。今回は、伝説の番組「料理の鉄人」でブレーンを務めた川井 潤さんが、名店の味を引き継いだ注目の日本料理店を教えてくれた。

教えてくれる人

川井 潤
料理の鉄人ブレーン(1993年~99年)。(株)博報堂DYメディアパートナーズを退職後、現在は食品メーカー、新聞社、IT関連企業、テレビ制作会社等のアドバイザーを務める。ここ数年は、地域や食のため、料理人の地位向上のために、日本のみならず海外でも活動中。食べログフォロワー数No.1レビュアー(2021年11月現在)。

表現の幅は拡大の一途「日本料理 若林」

食べログフォロワー数1位の川井さんが教えてくれたのが、東京・外苑前の「日本料理若林」。「(ミシュランガイド東京で)7年連続三つ星を獲得していた『青山えさき』が八ヶ岳に移転後、その副料理長を務めていた若林さんが、東京・外苑前でその味も受け継ぎつつ、そば打ちなどのチャレンジもしていて応援したいから」と推している。

食べログでの点数は3.32だが、はたしてその知られざる魅力とは?

※点数は2021年11月時点のものです。

東京・外苑前駅から徒歩5分ほど、外苑西通りの脇へ進むと静かに明かりを灯している行灯が見えてくる。案内されるように2階へ進むと現れるのが「日本料理若林」だ。

若林浩次さん

柔和な雰囲気で迎えてくれるのが、こちらの店主・若林浩次さん。日本料理の名店「青山えさき」で副料理長を務めていた方で、川井さんも期待を寄せている料理人だ。

高校を卒業して料理の道を歩みだし、静岡や神奈川の旅館で10年ほど和食を学んだ若林さん。その後、青山えさきで7年勤めたことで、料理に対し「自分をもっと表現して良いんだ!」と気づかされ、今の若林さんの礎が築かれたという。

店内はテーブル席4卓と個室1室を備えた、穏やかで居心地の良い雰囲気

そんななかで、青山えさきが八ヶ岳へ移転。これを機会に、2017年11月、日本料理若林をオープンした。伝統的な日本料理を究めながら、フレンチなど他ジャンルの手法や食材を取り入れた料理は、着実にファンを集めている。

しかし、常連が根付き始めた矢先、新型コロナウイルスが流行。せっかく伸びていた客足が遠のいてしまう。

だが、若林さんも諦めない! なんと“そば打ち”を習得するという行動に出たのだ。驚きの挑戦に、なぜかと伺うと「コロナが落ち着いてお客様が戻ってきたら、レベルが上がったところを見てほしいから」だそう。

「いつまでも初心でいられるので」と続ける屈託のない表情と飽くなき向上心に、推薦者の川井さんが応援したくなるのも納得であった。

一皿目から〆まで驚きが満載! 川井さんイチオシの4品

8〜9品ほどで構成される月替わりのディナーコースは、13,200円と14,850円の2種を用意。今回は、取材時のコース内容を中心に、川井さんがおすすめする「北海道きんきの煮付け」「季節のお野菜」「旬の摺流し」「〆の料理」の4品をご紹介しよう。

白米にワンバンさせたい! 「北海道きんきの煮付け」

えさきの看板料理だったきんきの煮付けがこちらでも味わえる

醤油・みりん・酒・砂糖による基本に忠実なタレでふっくらと煮た北海道産のきんき。コースの中の一品として成立させるため、あえて濃く煮詰めず、さらりと洗練された味付けにしている。

 

川井 潤さん

えさき時代からのシグネチャー料理。甘い醤油タレがたっぷり染み込んだきんき、添えられた牛蒡が、一度食べたら舌の記憶に残る。

お米も厳選! この日は群馬産コシヒカリ「水月夜」

川井さんおすすめの食べ方は、甘いタレをまとったきんきを白米の上でワンバウンドさせてから頬張ること。白米は通常用意していないので、気になる方は予約の際にご連絡を!

 

川井 潤さん

白いご飯をお願いして、たっぷりタレの染み込んだきんきをご飯にバウンドさせて食べると至福の時間。