定食王が今日も行く!

パリパリの皮まで食べたい!代田橋「しゃけ小島」の鮭定食

 

CMディレクターらが立ち上げた

こだわりの隠れ家でいただく究極の鮭定食

 

以前の記事で、「人生最後に食べたいもの」について言及したが、今回のお店「しゃけ小島」は、CMディレクター、演出家であるオーナーの小島淳平さんが、自分が乗っていた船が沈没し死にかけた経験から、人生最後に食べたい「鮭」を追求して友人二人と立ち上げたお店。代田橋のめんそーれ大都市場内にあり、北海道釧路産の時鮭や新鮮な素材をふんだんにつかった鮭の専門店だ。

 

出典:森のたぬたぬさん

 

店主はオーナーのひとりでもあるファッションデザイナーの小林雄一さん。看板の行灯はアートディレクターの森本千絵さんが手がけ、店員さんは白衣に蝶ネクタイというスタイリッシュな出で立ちだ。クリエイターたちの美意識が細部まで溢れた映画のセットのような店内には、日本一とも言われる鮭定食にたどり着くまでの素敵なプロローグを演出してくれる。

 

鮭には白鮭、紅鮭、銀鮭などさまざまあり、捕獲時期によって、「時鮭」(時知らず)、秋鮭と呼ばれる。ざっくり言えば「時鮭」は秋以外に北海道近郊の海で捕れる鮭のことだ。オホーツク海近辺で、春から夏にかけて捕獲される旬の時知らずのため、時知らずと呼ばれる。鮭は秋に捕獲するイメージが強いが、産卵の為に川を上りはじめた鮭より、海でとれた時鮭(時知らず)のほうが、脂がのっていて、味が濃厚だと言われている。

 

究極の鮭は身も脂もうまいが、

皮にこそ、その真髄あり!

 

しゃけ小島で絶対に食べたいのが、上しゃけ定食(1,550円)。分厚くて、ふっくらと焼き上げられた鮭は箸で切ると、断面からも脂がじゅわっと溢れ出す。塩に頼らず、鮭本来の脂身の甘さや、ふっくらとした食感、とにかく上品な味がとにかく絶品! 日本一の鮭定と言われるのも納得の旨さだ。

 

そしてとどめは鮭の皮! 鮭の皮は食べる食べないで議論がわかれるが、この店の鮭は、パリッと焼いた皮が人気である。歴史的にも、鮭の皮を愛した武将は多く、前田利家は「鮭の皮なら一里でも食べられる」と言い、水戸黄門は「鮭の皮の厚みが一寸あればいいのに」と言うほど、鮭の皮を愛したという。

 

鮭は貝塚などから骨が発見されており、太古から食されていた魚だ。大衆的な魚の代表になっているが、江戸幕府が北海道アイヌ族との交易の中に鮭を義務付けたことで武将たちが好んで食べるようになり、明治時代から養殖が始まったという。実際に一般的に食べられるようになったのは、昭和に入って高度経済成長期になってからだと言われる。それまでは嗜好品だったようだ。

 

 

鮭を肴に酒がすすむ!

隣の「しゃけスタンド」で立ち飲みも

 

上しゃけ定食に並び人気なのが、溢れんばかりのいくらがのった「焼鮭いくら丼」だ。新鮮でぷちぷちとしたいくらが口の中で弾ける。そのほかにメニューには鮭の胃袋の塩辛「ちゅう」、「鮭トバ」、「鮭トバソフト」、鮭の腎臓を熟成した「めふん」、鮭頭部の「氷頭の酢漬け」、「鮭のチャンジャ」など酒が進む鮭メニューが勢揃いだ。ポテトサラダやこんにゃくの辛煮、ハムカツなど、脇を固める居酒屋メニューもかなりクオリティが高い。

 

深夜0時ラストオーダーなので、深夜でも、酒を片手にうまい鮭定食が食べられるのもうれしい。冬になると鮭のアラを使った粕汁も登場する。東北の銘柄を中心に、厳選された焼酎・日本酒も豊富に揃うため、しっぽり酒と鮭を楽しみたい。

 

ちなみに、隣には姉妹店の立ち飲み屋「しゃけスタンド」がある。これらの居酒屋メニューのほか、なんと驚きの「しゃけカレー」が食べられる。ぜひ、どちらの店も試してみてほしい。