お菓子の歴史を語らせたら右に出るものはいない! といっても過言ではない、お菓子の歴史研究家・猫井登先生が、現在のトレンドを追いつつ、そのスイーツについて歴史を教えてくれちゃうという、一度で二度おいしいこの連載。今回は夏季特別編として、この夏食べたい「ひんやりスイーツ」特集を4回に分けてお届け。今回は、圧倒的かつ涼しげなビジュアルが人々を魅了してやまない「パフェ」のおすすめ店を紹介します。

【猫井登のスイーツ探訪・夏季特別編】ひんやりスイーツ特集Part2「パフェ」

そもそも、「パフェ」とは一体何だろうか? 結論から言うと、日本の「パフェ」という語は、フランス語で「完璧な」を意味する「パルフェ(parfait)」を英語風に発音したものが語源であるといわれている。

では、フランスの「パルフェ」とは、いかなるものか? パルフェとは、パータボンブ(卵黄に熱したシロップを加えて撹拌したもの)と、同じくらいの硬さに泡立てた生クリームを混ぜ合わせ、型に入れて冷やし固めたものである。要は、アイスクリームのようなものだ。重すぎず、軽すぎず、極めて優れた逸品ということで、パルフェという名が付けられたという。

これにアメリカの「サンデー」や日本で生まれた「プリン・ア・ラ・モード」などの要素が加わり、日本で見られるようなパフェになったと考えられる。 詳しくは、「6/28パフェの日緊急企画!完全なるスイーツ“パフェ”徹底解剖〈序〉篇」を参照。

お目当ては旬の桃をふんだんに使用した夏季限定パフェ「ザ パレス ラウンジ」

皇居の大手門の前に立つパレスホテルの前身は、GHQ (連合国軍総司令部)の命令により、旧帝室林野局 (林野庁の前身)の施設を改築し、バイヤー専用の国有国営のホテルとして開業した「ホテルテート」であった。

1960年「株式会社パレスホテル」が設立され、パレスホテルとして建て替えられる。1961年、初めてオフィスビルを併設したパレスホテルは、最新設備を備えた近代的ホテルとして誕生。それから50年余。新しい時代にふさわしいホテルとするため休館。2012年5月17日、「パレスホテル東京」として生まれ変わった。

「ザ パレス ラウンジ」は、ホテルのメインエントランスを入って奥にある。屋外のテラス席も備えた広々とした空間では、スイーツや軽食を楽しむことができる。

こちらで今おすすめのパフェが、旬の桃を使った「白桃・黄桃 2種の桃パフェ」3,390円! 

「白桃・黄桃 2種の桃パフェ」

扇形にスライスした2種類の桃を器いっぱいに盛り付け、アイスクリームを配した作品は、湖を優雅に泳ぐ白鳥をイメージしているのだとか。

軟らかな桃の果肉の下には、爽やかな味わいのカルピス風味のソルベ、とろとろ食感の桃ゼリーと生クリーム。さらにその下には、穏やかな味わいのフランボワーズソースと食感にアクセントを加えるコーンフレーク。ちなみにパフェに飾られた白鳥は、ラングドシャという極薄焼きのクッキーの一種。

夏の昼下がり、外に広がる緑を眺めつつ優雅なデコレーションのパフェを食して、ゆったりとした時間を過ごしてみてはどうだろうか。

※価格は税・サービス料込

薔薇の飴細工が美しい豪華パフェを召し上がれ「コーヒーパーラー ヒルトップ」

JR中央・総武線御茶ノ水駅から明大通りを神保町方面へ歩いていくと、途中「山の上ホテル」の看板がある。こちらを右折し、坂を登ることしばし。木々に囲まれたホテルの建物が見えてくる。

山の上ホテルは、1954年に開業した老舗ホテル。かつて出版社が多数あった神田に近いことから、作家が滞在することが多く、川端康成、三島由紀夫、池波正太郎、伊集院静などの定宿として知られ「文化人のホテル」との異名を持つ。「コーヒーパーラー ヒルトップ」は、こちらのホテルのB1Fにあるコーヒーラウンジだ。

「薔薇とライチのパフェ」

こちらで今おすすめのパフェが 「薔薇とライチのパフェ」2,178円。

薔薇の精緻な飴細工が目を引く、豪華なパフェ。薔薇の下には、ほのかに薔薇が香るクリーム、爽やかな甘みのあるライチのシャーベット、フランボワーズのシャーベット。これに濃厚なベリーのコンフィチュール、旨味のあるカスタードクリーム、食感にアクセントを与えるサクサクのクランブルと続き、上から下へと味わいが徐々に濃くなるように緻密な計算がなされている。

こちらのパフェは数量限定で、平日は15台程度、週末でも20台弱。訪ねる際は、電話等でご確認を。

このほかにも、バナナとココナッツの夏らしいシャーベットが印象的な「トロピカルパフェ」、香り高い京都宇治抹茶を使用した「抹茶パフェ」なども揃っている。

ホテル1Fにある「ホテルショップ ヒルトップ」では、ケーキのテイクアウトも可能。お帰りの際は、こちらにも是非お立ち寄りを!

※価格は税・サービス料込

さて、ここまでイートインのお店を紹介してきたが、ご家庭でゆったりとパフェを楽しみたいという方々のために、パフェのテイクアウトが可能なお店も紹介したい。

テイクアウトで気軽におうちパフェが楽しめる「京橋千疋屋 小田急新宿本館B2フルーツショップ」

「京橋千疋屋」は、1881年誕生の老舗果物店。小田急新宿本館には、6Fにフルーツパーラーがあり、こちらではもちろんパフェのイートインが可能だが、今回ご紹介するのはB2Fにあるフルーツショップ! こちらではお店自慢の季節のフルーツを使ったパフェがテイクアウト可能だ。B2Fには京橋千疋屋のケーキショップもあるが、パフェは少し離れたフルーツショップの方にあるので、間違えないようご注意を!

写真左から「プリンパフェ」972円、「マスクメロンパフェ」1,080円、「フルーツパフェ」864円

定番の「プリンパフェ」「マスクメロンパフェ」「フルーツパフェ」のほか「マンゴーパフェ」など、季節限定のパフェを販売。旬のフルーツを使ったパフェを自宅で楽しめるのがうれしい。

「プリンパフェ」の下には、生クリーム・カスタードとスポンジ、「マスクメロンパフェ」の下にはメロンゼリーとヨーグルトムース、「フルーツパフェ」の下にはヨーグルトムースとトロピカルゼリーがあり、それぞれ爽やかな味わいを楽しめる。

※価格はすべて税込

今回はホテルのパフェからテイクアウトのパフェまで、3つの注目店を紹介しました。次回は、この夏注目の「アイス」特集です。お楽しみに!

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。

※本記事は取材日(2021年8月8日)時点の情報をもとに作成しています。

撮影・文:猫井登