大規模な再開発にともない、しばらくこの地を離れていた大人たちから再びの注目を集める街・渋谷。だけど、いざ来てみたら食事処に迷ってしまうというケースもしばしば。そんな、“シブヤお久しぶり組”の迷える大人たちのため、「食べログ グルメ著名人」で渋谷区初のCEO(Chief Eat Officer)を務める小宮山雄飛さんに渋谷の新&定番グルメスポットを両方教えてもらっちゃおう! というこの連載。

[定番]編12回目となる今回は、手作りのフレッシュなチーズを楽しめる「渋谷チーズスタンド」をご案内します。

【大人の渋谷メシ・定番編】第12回「渋谷チーズスタンド」

渋谷区観光大使である僕が、自信を持って渋谷の名産品として推薦できるのが「渋谷チーズスタンド」のチーズ。店名自体にSHIBUYAの文字があるように、正真正銘渋谷で毎日手作りしているフレッシュなチーズですから、これぞ渋谷名産品と言えるでしょう。

店先には真っ白な牛のオブジェが飾られ、外壁も白を基調としていて、渋谷らしいオシャレな外観。最近はグルメなお店が集まる地域としてすっかり定着した「奥渋」エリアですが、こちらのお店はその先駆け的な存在。

チーズはすべてその日搾乳された牛乳を職人がその日のうちに手作りしたメイドイン渋谷。せっかくのフレッシュチーズなので、まずはシンプルなメニューから食べるのがおすすめ。ということで「出来立てモッツァレラ&リコッタ」を注文。

「出来立てモッツァレラ&リコッタ」660円

やってきたチーズは、純白! そう。お店の前の白い牛も、白い外壁も、すべてこの純白のチーズへの導入部だったのです。

お店に入る前に気持ちをまっさらな状態にして、できたてのチーズを楽しむ。これぞチーズスタンドのお作法! 邪念は入る前に捨てておきましょう(笑)。

お好みでオリーブオイルと塩、蜂蜜をかけていただきます。フレッシュチーズならではのシンプルな楽しみ方。

ナイフを入れるとミルクがジュワッととろけ出すのがフレッシュなモッツァレラの証。

口に含むと牛乳の優しい香りがふわっとして、噛めばほどよい繊維質の歯応えと共に乳成分のまろやかな旨味が口中に広がる、まさに至福の瞬間です。味付けが塩とオリーブオイルだけだからこそ、そのおいしさが明確に感じられます。

一方リコッタは、ホエイ(乳清)を煮詰めているため、しっとり系の食感が魅力。蜂蜜をかけて食べれば、リコッタ自体の甘さと相まってまるで上質なスイーツのよう。これは女子が絶対喜ぶやつだ!(男子でも喜んでいますが)

そして、僕がこちらのお店で初めて食べて驚いたのがブッラータ。

「たっぷりトマトとブッラータ オレガノ添え」1,720円

ブッラータとは、生クリームと繊維状にカットしたモッツァレラを、フレッシュなモッツァレラの生地で巾着状に包んだもの。「たっぷりトマトとブッラータ オレガノ添え」は、そんなブッラータの魅力をダイレクトに味わえる一皿。

上部をきゅっと結ばれた見た目の可愛さも素敵ですが、ナイフを入れると中から生クリームがじゅわっと溢れ出てきて、初めて食べたときは「まだまだ知らないチーズが世の中にはあるんだ!」とビックリしたものです。

チーズそのものの旨味・酸味に、トマトの酸味・甘み、さらにオレガノの香りが口の中ですべて合わさり、極上の味に! メニュー的には〈サラダ〉の欄にありますが、これはもうメイン料理と言ってもいい満足感です。

すっかりチーズを満喫したところで、最後の締めはピザ。

「プロシュートルッコラ」1,150円

「プロシュートルッコラ」は生地にグラハム粉を使っていて、クリスピーな食感が特徴。

クリスピーで薄めの生地にモッツァレラチーズ・ルッコラ・生ハムの組み合わせは、口当たりが実に軽く、あれこれチーズを食べた後でも、1枚ぺろりと食べられてしまいます。

チーズに始まりチーズに終わる、これぞチーズスタンドの醍醐味!

写真左から、スモークカチョカヴァッロ(約130g)1,200円、「出来立てモッツァレラ(100g)」600円、「東京ブッラータ (150g)」1,080円

そして最後はお土産用にブッラータ、モッツァレラ、カチョカヴァッロを購入。

カチョカヴァッロは幅1cmほどに切ってフライパンで焼くと、外は香ばしく中はとろりと溶けてワインのツマミにも最高!

お店で存分にチーズを食べた後に、家でもチーズを楽しめる。渋谷のチーズ文化発信の地へ、皆さんもぜひ!

※価格はすべて税込

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。

※本記事は取材日(2021年4月8日)時点の情報をもとに作成しています。

取材・文:小宮山雄飛

撮影:GENIUS AT WORK