食材へのこだわりは異様!? 自慢のビストロメニュー
寿司×フレンチという斬新な組み合わせに最初は少々戸惑うものの、何をどのタイミングで食べるかにルールはなく、もちろん自由に楽しんでOK。とはいえ、やはりここはよりスマートに多くのメニューを堪能したいということで、米川さんのおすすめの食べ進め方に沿って、代表メニューをご紹介。
「食前酒とともに、まずオーダーしたいのが、鮮度自慢の魚介を使った前菜です」。この日は、米川さんがオーダーした白ビール「ヒューガルデン」に合わせて、特製のブルーチーズソースで仕上げた「オマール海老のポシェ」。ブルターニュ産のブルーチーズと生クリームを合わせたまろやかなソースは、削ったレモンの皮を添えることで後味爽やかな味わいに。
米川
今日はオマール海老が食べたいけど、前菜でいくか、アヒージョにするか、握りにするか? なんてわがままな相談にも、ドリンクとの相性を考えつつ応えてくれます。そんなハイレベルなホスピタリティと、要望に応えられる技量をもつ職人がいることが、高い満足感に繋がります。
「禅にきたらこれは外せない」というのが、名物の生ハム。スペインのベロラドという村で育てられたイベリコ豚を使い、通常2年とされる熟成期間の倍、4年かけて熟成させた、カサルバ社の生ハム“ハモン・イベリコ・デ・ベジョータ”は、塩気が柔らかく脂の旨味が格別。スペインの三つ星レストランでも採用されているとか。
米川
手でつまんでもベトつかずサラサラなのは、良質なオレイン酸が豊富な証。また、テーブルの目前でオーナーシェフの西尾さんが軽快な口調の解説とともに生ハムを切り出してくれるパフォーマンスも必見です。
メイン料理は、オープン当初からの人気メニュー「マグロのテールステーキ」を。1本買いしているマグロのテール(尾の身)をフライパンで焼き上げた後、豆豉味噌やマデラ酒、バターやワインなどを使ったコクのあるソースで調味した創作フレンチ。
米川
黒胡椒やガーリックのスパイシーさとソースの奥深さを感じたあと、噛み締めるほどに堪能できるマグロの旨味。肉のようなホロホロ食感もたまらない。この味と食べ応えで880円というのは本当に良心的。1本から1個しか取れない希少部位だけに、1組1皿限定というのも納得です。
しっとりレアに焼き上げたフランス鴨(バルバリー種)を、葡萄の果実を煮詰めたヴィンコットソースと黒胡椒、マルトセック(タピオカ由来のマルトデキストリン)と合わせてパウダー状にしたオリーブオイルでいただく上品な味わいのひと皿。さりげなくあしらわれた菜の花やビオラ(食用花)も、南足柄でとれた無農薬のものというこだわりぶり。
米川
普段は和食一辺倒の僕が、ここではフレンチをおいしく堪能できるのは、一見重厚感がありそうな料理も爽やかな味に仕上げられているから。肉料理でも、もったりした重さを一切感じない。このあたりも幅広く愛される理由と言えるでしょう。
もちろん寿司も、素材へのこだわりがたっぷり
「オーナーシェフ西尾さんの変態ぶり(笑)を象徴するメニュー」と、米川さんが教えてくれたのは、そのボリューム感と贅沢すぎる素材にダブルで驚く「強烈メタボ巻き」。フォアグラとウニ、イクラを裏巻きにし、とびっこと黒トリュフ、金箔をトッピングした、この上なくゴージャスなロール寿司。
米川
元々すごいボリューム感でしたが、僕が以前食べた時よりも、さらにパワーアップしていますね。ここまでやる店はなかなかないでしょう? ネット上で“変態回転寿司”と言われている理由は、こういうところ(笑)。それでいて、ちゃんとそれぞれの素材の味を感じられつつおいしくまとまっていて、酒のつまみにもピッタリなんです。
インパクトのあるメニューが続いたが、寿司へのこだわりも熱量は同じ。110円から1,045円まで10種類のお皿で提供され、地元小田原をはじめ、全国から選りすぐりのネタを、熟練の職人が握っている。本日味わうカワハギと太刀魚は、どちらも小田原産で、当日朝の競りで仕入れたもの。さらに、寿司飯にもこだわりが。山形県の契約農家から届く天日干し米を使用し、赤酢をブレンドした合わせ酢は、季節により配合を変えているそう。
米川
ビストロメニューの斬新さに目が行きがちですが、小田原漁港に近い立地だけに、寿司ネタの鮮度も抜群。地元の方が寿司を食べに来るというのも、グルメ回転寿司としてその味が評価されているからこそ。