【ポーランド菓子】例えるならリッチな揚げドーナツ? 日本では珍しいポンチキを味わえる「ポンチキヤ」
ポーランド共和国は、北はバルト海に面する東欧の国。ショパンの故国として有名だが、18世紀、3度にわたり分割された末、消滅させられた歴史を持つ。その後変遷を経て、1952年にポーランド人民共和国として国家主権を回復したが、共産党による一党独裁体制で、長らくソ連に従属する衛星国であった。1989年の選挙で非共産党政権が成立し、現在のポーランド共和国となる。首都はワルシャワ。
スイーツ的には、旧ソ連圏に属する。チーズケーキの発祥の地のひとつとも考えられている。ポーランドにも、中欧から東欧にかけてみられるケシの実を使った「マコヴィエツ」や、旧ソ連圏で見られるリンゴのケーキ「シャルロトカ」などもあるが、今回はワルシャワの街を歩いていてよく見かける「ポンチキ」の専門店をご紹介。
こちらは、京王線柴崎駅近くにあるポンチキ専門店。店主の坂元さんは大学でポーランド語を学び、留学。現地でポンチキに出合った。帰国後パン屋で修業し、発酵について学び、2014年より、都内各所でポンチキの移動販売を開始。2018年6月にこちらにお店をオープンされた。
ポンチキとは、わかりやすく言えばジャム入りの丸い揚げドーナツであるが、一般的なドーナツに比べ、たまご、砂糖、油脂、牛乳などを加えたリッチな生地となっている。また伝統的に生地に少量の蒸留酒を加え、揚げる際にそのアルコールを蒸発させることで、揚げ油が生地の奥まで浸潤することを防ぐ製法がとられる。中には、色々なジャムやクリームが注入されるが、「バラのジャム」が伝統的なものとされる。
インテリアショップのようなオシャレな外観のお店。内部はピンクで温かみのある空間。コロナ禍の影響でイートインができないのが残念だ。
ショーケースには伝統的な薔薇ジャムほか、ラズベリーや濃チョコレートなど、フィリングの異なるポンチキが並ぶ。
こんがりと濃い目の揚げ色がついた生地は、ふんわりとしているが、しっかりと密度が高く弾力がある。生地自体はあっさりとしており、表面に塗られたグレーズ(糖衣)の甘さとのバランスがよい。薔薇ジャムはやや酸味があり、食後は口内が薔薇の香りで満たされる。
こちらのお店では、日により異なるが、ポンチキ以外のケーキにも出合える。
セルニックは、ポーランドの伝統的なベイクドチーズケーキ。本来は、トファルグという白チーズに卵、砂糖、バター、小麦粉などで作られ、レーズンやオレンジピールなどを加えることもある。ほとんどの場合角型で、上に生地で格子模様をつけたものが多くみられる。
こちらのお店では、底にクッキー生地を敷き、トファルグの代わりにカッテージチーズを使用し、やや酸味の利いたあっさりとした淡白な味わいに仕上げられている。
チョコレートケーキは、ポーランドでも人気のケーキのひとつ。こちらのチョコレートケーキは、甘さ控えめで非常に軽やか。別添えでつけられたラズベリーソースが本格的な味わいで、ケーキに酸味と旨味を加えてくれる。
※価格はすべて税込