コナモングルメ特集【エピソード1:お好み焼き編】

お祭りやホームパーティーなど、夏は皆でワイワイとお好み焼きやたこ焼きをつつき合うシーズン! そんな時、テキパキと焼き上げてくれる関西出身の人がいるととっても頼りになりますが、どうしてお好み焼きやたこ焼きなどの粉もの料理=関西というイメージが強いのでしょうか? そこで、“コナモン”という言葉を定着させたコナモンの女王こと、日本コナモン協会 会長の熊谷真菜さんに、関西とコナモンの関係性、さらにオススメのコナモン料理店を教えてもらいました。

熊谷真菜(くまがい まな) 日本コナモン協会会長、食文化研究家。1961年兵庫県生まれ。1993年に、10年間に及ぶ調査をまとめた初の研究書『たこやき』(リブロポート刊、のちに講談社文庫)でデビュー。2003年5月7日、コナモンの日に日本コナモン協会を設立。「コナモン」という言葉を全国に定着させた。主な著作は『大阪たこ焼33ヵ所めぐり』(西日本出版社)、『ふりかけ-日本の食と思想』(学陽書房)、『楽しくつくろう たこ焼き いろいろレシピ』(雄鶏社)『「粉もん」庶民の食文化』(朝日新聞社)、『てっぱん屋台』(KKベストセラーズ)など。 

 

 

――どうして関西でコナモン料理が普及したのでしょうか?

 

 

大坂城築城の頃、「砂場」と呼ばれる資材置き場に、うどん・そばが並んでいたんです。これが話題になって、働いている人たちの間で「砂場行こかー?」っていうのが「美味しいもん食べようか?」の代名詞みたいになっていき、お店が繁盛していったんですね。昔は“小麦粉の分量が多い=ええもん”と考えられていて、蕎麦よりうどんの方が高級な物とされていたんでしょうね。そして、その屋号が「虎ノ門砂場」とか、「室町砂場」に受け継がれるわけです。

 

 

――始まりは、麺類だったのですね。

 

 

さらに、「だし文化」というのが関係しているんです。江戸時代の頃に大阪に昆布が運ばれてくるのですが、昆布を水に漬けておくだけでえらい旨みが出るんですね。しかも大阪は軟水なので、しっかりと旨みを引き出せるわけです。中でも大阪人は“真昆布”が一番で、何故かというと、鯖やうるめいわしなどの色んな節を受け止める力があるといわれているんです。「コナモンはダシが命」って言うてるんですけど、大阪人って結構濃い味が好きなので、だしもしっかり煮出すんですね。そこで、大阪でおだしたっぷりのうどんが生まれたんです。例えば、たこ焼きもお好み焼きも、ソースを塗るとはいえ、生地を混ぜる時はだしで混ぜるわけです。そのだしが全てをまとめる役目をしているので、やはりコナモンにはだしが重要と言えますね。

 

 

――お好み焼きはどのようにして関西で広まったのですか?

 

 

明治頃になると舶来品が日本に入ってくるようになるんですが、本格的な洋食屋は高くて、普通の人はあまり行けなかったんですね。そこで、メリケン粉を薄くのばした生地に、当時まだ高かったキャベツを入れてソースを塗った「洋食焼き」というのが生まれるんです。そして戦後になると、広島では中華そばものせようということで、どんどん具材をのせていったものを「重ね焼き」というんです。大阪でも「そば洋食」と呼ばれ、好まれた時期があったんです。

 

 

――海外への憧れからお好み焼きの原型となるものが生まれたわけですね。

 

 

「お好み焼き」という名前の由来についても私なりの考えがあって……TVとかでも言い切っちゃっているんですけど(笑)。昔の男女がデートに使っていた甘味処で、甘い物だけだと男の人のウケが良くないから、洋食焼きを出す店が増えていくようになったんですね。そうすると各テーブルにお店の人が来て焼いてくれるから、その間にイチャイチャできないと。「それやったら自分らで焼くから。好きなもん入れて、好きに焼くから、おばちゃんもういいよ!」みたいなね(笑)。そういった経緯から、“お好み焼き”っていう名前が生まれたのではないかと考えているんです。ちょっと色っぽいでしょ?(笑)

 

 

なんと素敵なお好み焼きの名前の由来についてのお話を伺ったところで、そろそろお腹が空いてきた皆さんに、大阪に行ったら必食のお好み焼き屋をご紹介します。

 

日本コナモン協会 会長のお墨付き!大阪で必食のお好み焼き屋3選

ねぎ焼きといえばココ。「福太郎(ふくたろう)」

出典:Mハルさん

 

【コナモン協会会長のオススメポイント】「大阪の有名店。特に『すじねぎ焼き』『豚のねぎ焼き』など、ねぎ焼き系のお好み焼きが人気です」

 

・夜遅くまで営業しているため、「お酒を飲んだ後のシメに一枚」と立ち寄る人も多く、夜中も行列ができる人気店。東京で食べたいという人は、東京ソラマチ店へ行ってみるのもオススメです。

・東京で食べたいという人は、東京ソラマチ店へ行ってみるのもオススメです。

とろける山芋焼きにうっとり「美津の (みづの) 」

出典:Azzurriさん

 

【コナモン協会会長のオススメポイント】「昭和20年創業の老舗。チェーン展開せずに1店舗のみ、独自のスタイルを守って進化を続けるお店です」

 

・大阪で生まれた“ホンマもんのお好み焼き”を食べることができる貴重なお店のひとつである同店。山芋100%で作る「山芋焼」はリピーター続出の不動の人気ナンバー1メニューです。

マヨ画も魅力の老舗店「おかる」

出典:ミヤマヤさん

 

【コナモン協会会長のオススメポイント】「こちらも昭和21年創業の老舗。女将さんが切り盛りする“いいお店”です」

 

・お好み焼きをコテで押さえつけ、蓋をして焼くという独自の作り方を確立した歴史あるお店。お好み焼きの上にマヨネーズで“マヨ画”を描いてくれるなど、女将さんの心遣いにほっこりする、居心地の良さが人気の秘訣です。

コナモングルメ特集第二弾は「うどん」!

第二弾では粉もんグルメ・麺の部代表「うどん」を特集します。讃岐うどんと大阪うどんのハイブリッド種「大阪さぬきうどん」とは? 次回更新まで、しばし待たれよ!