京のおやつは何にする? Vol.6
京都のことを知りたい! もっと楽しく巡りたい! そんな京都好きな方にお届けする、心ときめく京都の旅とおやつのお話。
案内人は、京都在住の和菓子ライフデザイナーの小倉 夢桜-Yume-さんです。
桜の満開が待ち遠しい、3月の京都

いよいよ桜のシーズンが近づいてきた京都市内。この時期は、紅葉シーズンと共に多くの観光客がここ京都を訪れます。
東京方面から新幹線を利用して京都へ向かうと、京都駅到着寸前に右手には鴨川と桜並木がみなさんを出迎えてくれます。

数多くの桜を京都らしい景観と共に楽しむことができるのが、京都の桜の魅力です。
「ゆったりと静かに眺められたら……」と思われている方は、比較的のんびりと過ごすことができる京都伏見方面へと出かけてみてはいかがでしょう。

伏見といえば、真っ先に出てくるのが伏見稲荷ではないでしょうか。
その伏見稲荷より南へ京都線 桃山御陵前駅、または京阪本線 伏見桃山駅で下車。徒歩圏内には風情ある町並みが残り、多くの酒蔵が立ち並んでいて、様々な地酒が販売されています。
日本酒好きの方にとっては、とても魅力的なエリアでしょう。

このエリアには、伏見城築城で建築資材を運ぶためにつくられた宇治川派流が流れており、川沿いには桜並木が続き、京都市南部随一のお花見スポットとなっています。

この宇治川派流を遊覧する十石舟(じっこくぶね)と三十石船(さんじっこくぶね)。桜が満開となる頃、桜のトンネルの中を遊覧して絶景を目にしながら、伏見の町並みを満喫することができます。

そして、町の風景に溶け込むように立つ「寺田屋」。
寺田屋は、滞在中の坂本龍馬が伏見奉行所の幕府役人に襲撃されたことで有名な場所で、坂本龍馬ファンにとっては欠かせないところとなっています。現在の建物は、鳥羽伏見の戦いで焼失後に再建されたものです。
この寺田屋より歩いてすぐ、油掛通と竹田街道の交差点の北東に、「電気鉄道事業発祥の地」という石碑があります。

明治28年(1895年)に、ここ下油掛(後の京橋)と七条(現在の京都駅前)の間を結んだ、日本最初の電気鉄道が開通しました。
その石碑の横で営む和菓子店「伏見駿河屋」。
桜並木を満喫したら、甘い和菓子で舌鼓
「伏見駿河屋」

天明元年(1781年)に総本家駿河屋より分家開業しました。

その当時、京都と大阪を水運で結ぶ拠点として栄えた伏見港が近くにありました。
こちらのお店は、紀州徳川家が伏見港を利用する際の乗船お休み処として創業しました。
6種類の羊羹

伏見といえば、寒天発祥の地。こちらのお店のおすすめは、もちろんその寒天を使用した羊羹です。
伝統を受け継いだ竿ものの羊羹を食べやすく小さくし、電気鉄道事業発祥の地にちなんで電気鉄道の小窓より当時の京都伏見の風景が見えるパッケージにしたものが販売されています。
「煉羊羹」「夜の梅」「茶羊羹」「酒羊羹」「栗羊羹」「桃羊羹」の6種類の中から、お好きなものを3種類選んでパッケージにすることができ、気軽なお土産に最適なお菓子です。※単品のみの購入も可能
季節の上生菓子

また、季節にちなんだ上生菓子も常時販売されています。

今年のお花見は、のんびりできる伏見界隈で過ごしてみてはいかがでしょうか。
※価格はすべて税抜
季節のお菓子で、“京都の春”をお土産に
「亀屋良長」
「ちょっと今回は伏見まで行くのが難しい」という方は、市内中心部で春を感じるお菓子を購入して持ち帰るのはいかがでしょう。
棹菓子「いちご摘み」

苺を中心にみかん、白桃を入れて見た目にも賑やかに春らしいイメージを心がけたという、「亀屋良長」の「いちご摘み」は見た目にもとても可愛げ。
ホワイトチョコレート入りの羊羹の上に苺入りの餅羊羹と錦玉羹を重ねた棹菓子です。もっちりとした食感の中に、アクセントとなるピスタチオの食感。酸味が強い紅ほっぺという品種の苺と、羊羹の甘さが絶妙です。
お干菓子の詰め合わせ「暦」シリーズ
その時々の季節に合わせたお干菓子の詰め合わせ「暦(こよみ)」シリーズが一年を通じて販売されています。
ポップな包装の中に、季節を詰めたような小箱。ご当主の奥様のアイデアによって、テキスタイルデザインで有名なSOU・SOUデザインのメッセージカードが添えられています。
手土産として、幸せを手渡してみてはいかがでしょうか。手にした瞬間に間違いなく思わず笑みがこぼれることでしょう。

今の時季は、桜の木型を使用して作られたお干菓子「花見月」。桜のお干菓子と「ゆかり」と呼ばれる金平糖のようなものの詰め合わせです。和三盆糖入りのお干菓子は、まろやかな甘みと口どけがいいのが特徴です。
店舗まで足を運ぶことができない方は、京都駅のデパート・JR京都伊勢丹内でも購入できます。
※価格はすべて税抜
写真・文:小倉 夢桜-Yume-