京のおやつは何にする? Vol.7

京都のことを知りたい! もっと楽しく巡りたい! そんな京都好きな方にお届けする、心ときめく京都の旅とおやつのお話。

 

案内人は、京都在住の和菓子ライフデザイナーの小倉 夢桜-Yume-さんです。

目の覚めるような鮮やかな色彩に染まる、4月の京都

本格的な桜シーズンを迎えている京都市内。これからの時季は、遅咲きの八重紅枝垂桜が咲きます。4月中旬頃には、新緑、そして様々な数多くの花たちが、間もなく迎える初夏に向けて京都を彩ります。

 

散策するのが気持ちいいこの時季。京都を散策して、新緑や花たちに癒やされに出かけてみてはいかがでしょうか。

風にたなびくヤマブキに、心癒やされる

ヤマブキ

例年、4月中旬から下旬にかけて見頃を迎えるヤマブキ。

 

阪急電鉄・嵐山線の松尾大社駅を下車してすぐに鎮座する松尾大社(まつのおたいしゃ)は、酒造りの神として全国の酒造関係者からの信仰を集めていることで有名です。

松尾大社

その神社境内には、約3,000株のヤマブキが植えられており、関西一のヤマブキの名所として知られています。

 

見頃を迎えるこれからの時季、例年多くの参拝者が訪れます。細い茎の先に咲く八重のヤマブキが、風にたなびきながら境内を山吹色に染める光景は圧巻です。

「京菓子司 松楽」

京菓子司 松楽

その松尾大社近くに、松尾大社御用達のお店「京菓子司 松楽」があります。

 

1968年(昭和43年)に創業したこちらは、現在は2代目のご主人が暖簾を守っています。台風の被害に遭ったため、今まで営業していた場所からすぐ近くのところに、昨年8月リニューアルオープンしました。

店内

素材をご主人自らが、見て、食べて、納得したものだけを使用して作ったお菓子が店内に並びます。真新しい雰囲気の店内は、清潔感に溢れており、気持ちよく買い物をすることができます。

大社酒まん

大社酒まん(6個入り636円、9個入り954円、15個入り1,589円)

酒造りの神である松尾大社からいただいた御神酒を使用して作る「大社酒まん」。とても御利益がありそうなお菓子ですね。お酒の香りと味を存分に楽しめる小ぶりのお饅頭に、ついつい手が出てしまうことでしょう。

奥嵯峨

奥嵯峨(6個入り636円、10個入り1,058円、15個入り1,589円)

「奥嵯峨」という趣のある菓銘がついている、蓬(よもぎ)餅は京ブランド認定のお菓子。餅粉に国産の蓬を練り込んで作った餅生地で餡を包み、きな粉をまぶし仕上げています。

 

どこか懐かしい日本を感じる蓬の香りが口の中で広がります。きな粉はこのお菓子の為に特別にブレンドしたものを使用しており、「このきな粉でなければ。」というほどお菓子にとって重要な素材。香り高いきな粉が、お菓子を上品に仕上げています。

京おはぎ

京おはぎ(各243円)

色とりどりの「京おはぎ」。大納言粒餡、きな粉、黒こし餡といったお馴染みのおはぎと、つくね芋餡、カボチャ餡、えんどう豆餡などの他店ではあまり見かけることがない珍しいおはぎ全12種類が店頭に並びます。

 

どの商品も栗を蓬ご飯で包んでいるのが、こちらのお店のおはぎの特徴。あっさりとした甘みの中に素材の風味を感じることができる、とても贅沢なおはぎです。数量限定商品ですので、お買い求めの際にはお早めに行くことをおすすめします。

イートインスペース

店内には、ちょっとしたイートインスペースがありますので、歩き疲れた際に立ち寄って、おはぎを食べて身体を休めるのもいいかもしれませんね。

 

真っ赤なキリシマツツジは、目を奪われるような美しさ

京都南西に位置する長岡京市は、平安京に都が遷る前、10年間にわたり都が置かれていました。このエリアには歴史遺産が数多く点在しており、気候がいい時季にのんびりと散策をしていただきたいエリアです。

長岡天満宮

阪急電鉄・京都線 長岡天神駅周辺には、この時季に訪れていただきたい社寺があります。駅から徒歩20分ほどには、もうすぐ見頃を迎える牡丹の名所の古刹(こさつ)、乙訓寺(おとくにでら)があります。

 

さらにもう一つ、駅から徒歩10分ほどの場所に、日頃は地元住民の憩いの場として親しまれている長岡天満宮が鎮座しています。こちらでは、例年4月下旬からゴールデンウィークにかけて、八条ヶ池中堤を身の丈以上のキリシマツツジが真っ赤に彩ります。その光景はまさに圧巻。一目見ようと多くの参拝者が訪れます。

竹の径(みち)

ここ京都南西の西山山系は、古くより多くの竹林が整備されており、乙訓の里と呼ばれ、竹の子の産地として全国的に有名です。

 

その竹の子にちなんだ長岡京市のお土産として有名なお菓子があります。

菓子処 喜久春

菓子処 喜久春

長岡天神駅より徒歩約5分。地元に愛され続けて40年の「菓子処 喜久春」が店を構えています。長岡天満宮とも縁があるこちらのお店は現在、先代の長女と次男がお店を受け継ぎ暖簾を守っています。

竹の子最中

竹の子最中(各175円)

創業当時から現在まで、長岡京市の名産となるお菓子を、という思いで作ってこられたのが「竹の子最中」。京都産の竹の子を氷砂糖で煮た甘露煮と餡が、可愛らしい姿の最中種(最中の皮)に入った最中です。

 

餡には、甘さ控えめの「丹波大納言」「白小豆」「京ゆず」の3種類があり、それぞれの風味と竹の子のシャキッとした食感を楽しむことができます。味はもちろんのこと、100%もち米で作られた最中種の香りも楽しんでいただけるお菓子です。

紅白猫まんじゅう

紅白猫まんじゅう(2個入970円)

猫好きの方なら思わず欲しくなりそうなお菓子「紅白猫まんじゅう」。和菓子をもっと親しんでもらえれば、という思いから生まれたお菓子です。

 

昔から慶事に欠かせない紅白饅頭。紅白の猫を笑顔にして喜びを表現しています。見た目は可愛らしくとも、お菓子作りには妥協はありません。

 

高品質の小豆である丹波大納言を使用して作った餡。紅い猫には、栗をつぶ餡と白餡で包んだ二重餡が。白猫には、栗をこし餡と白餡で包んだ二重餡が入っています。こちらのお菓子で笑顔が溢れるひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。

季節の上生菓子

写真左上から時計回りに、上生菓子の「牡丹」「つつじ」「竹の子」(各290円)

長岡京市の四季を感じる上生菓子も常時販売をされています。これからの時季は見頃を迎える、「牡丹」「つつじ」、そして、旬の「竹の子」の意匠が販売されます。

 

散策帰りにお土産としてお買い求めになってみてはいかがでしょうか。

 

 

※価格はすべて税込

 

写真・文:小倉 夢桜-Yume-