【2019年のグルメトレンドを振り返る・前編】「タピオカ」「台湾」「香港」「日本人シェフ中華」ブームから感じるアジアの熱

皆さんは今年一年、どんな新しい料理と出会いましたか? 明るく楽しい話題ばかりだったグルメ業界。食のトレンドを振り返りつつ、おいしい思い出に浸ってみてはいかがでしょう。前・中・後編の3回に分けて、いざプレイバック!

【トレンドその1】黒糖入りタピオカ専門店が続々オープン「タピオカ」

あだ名が食べログです( ̄∇ ̄)
出典:あだ名が食べログです( ̄∇ ̄)さん

今や世界的なムーブメントとなっているタピオカドリンク。2019年は、本場台湾で流行していた黒糖入りタピオカの人気が日本にも飛び火。6月14日オープンの「珍煮丹 マグネットバイ渋谷109店」など、台湾を代表する黒糖入りタピオカ専門店が続々と日本に上陸し、またたく間に行列店となりました。

 

写真:食べログマガジン編集部

なかでも大きな話題となったのは、台湾の黒糖入りタピオカブームを牽引している専門店「タイガーシュガー」9月28日に原宿店、10月5日に新宿1号店、10月18日に心斎橋店がオープン。自家製黒糖シロップのクオリティの高さだけでなく、その行列の長さにもびっくり。全国各地に増え続けるタピオカドリンク店。ブームを越超えて、日常的な飲み物として、このまま定着するのでしょうか!?

 

【トレンドその2】台湾料理の概念をアップデートしてくれるレストランが日本上陸「台湾グルメ」

「東京豆漿生活」の「豆漿」/撮影:大谷次郎

タピオカドリンクだけに留まらない台湾ブーム。例えば、2月18日にオープンした「東京豆漿生活」は、台湾式の朝食が楽しめることで一躍有名店に。看板メニューは店名にもなっている温かな豆乳スープ「豆漿(ドウジャン)」。搾りたて豆乳ならではの優しい味で、目覚めたばかりの胃にぴったり。お店の影響から、自家製の豆漿づくりに挑戦する人も増えているとか。

 

「フジ コミュニケーション」の「魯肉飯(ルーローハン)」/撮影:松村宇洋

いっぽう3月28日オープンの「フジ コミュニケーション」は台湾式カフェ飯が大好評。「魯肉飯(ルーローハン)」「葱油鶏飯(ソンユーチーハン)」「排骨飯(パイコーハン)」と3種のローカル丼が揃い、ランチでは名物の水餃子とセットで楽しめます。

 

「富錦樹台菜香檳(フージンツリー)」の「松花蒼蠅頭 花ニラと豚ひき肉とピータン 豆鼓のピリ辛炒め」/写真:お店から

そして9月27日に日本上陸を果たしたのが、台湾料理のイメージを変えたとまで言われる「富錦樹台菜香檳 (フージンツリー)」。B級グルメだった定番料理を再構築し、油控えめのヘルシーで優しい味わいに。シャンパンと相性の良い洗練された料理の数々は、日本でも多くのファンを獲得しています。

 

【トレンドその3】世界で愛される点心専門店もやってきた!「香港グルメ」

台湾料理の勢いに負けず劣らず、名店が増えている香港料理。ミシュランガイド香港・マカオで星を獲得している点心専門店「添好運(ティムホーワン)」もそのひとつ。2018年オープンの日比谷店に続き、2019年5月24日に新宿サザンテラス店をオープンさせています。

「添好運(ティムホーワン)」の「海老とニラの蒸し餃子」/撮影:食べログマガジン編集部

星付きレストランといえば身構えてしまうものですが、こちらのお店の価格帯は1品が400〜600円程度と非常に庶民的。新宿サザンテラス店では、11月から全メニューがテイクアウトできるようにもなりました。ミシュランが認めた点心は、手土産にも喜ばれそう。

 

「サウスラボ 南方」の「南方潮州魚生(南方風潮州カルパッチョ)」/撮影:玉川博之

また6月4日、錦糸町にオープンした「サウスラボ 南方」は、現在の香港以上に香港らしいレストランと評判。それもそのはず、店のプロデューサーは香港通として著名な写真家である菊地和男氏。香港出身のベテランシェフを招き、香港らしく様々な国の要素を取り入れ、ボーダーレスな料理を生み出しています。

 

【トレンドその4】「日本人シェフ中華」

相変わらず新境地を開拓し続けているのが、日本人シェフによる中華料理。4月13日には、人気店「中国菜 膳楽房」の榛澤知弥シェフが、徒歩7分ほどの近所に姉妹店「中国菜 智林」をオープン。

「中国菜 智林」の「雲南百薬の炒め物」/撮影:上田佳代子

古いレシピ本などから知識を集め、新しい中華を探求中。千葉の契約農家から直送の中国野菜なども活かしており、滋味深くもお酒にぴったりの味わいが、ゆったり楽しめると評判です。

 

ウェイク
「シノワ 」季節のコースの一皿   出典:ウェイクさん

日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」でグランプリを受賞し、上海で活躍していた篠原裕幸シェフが日本に帰還したのも大きなニュース。11月16日、白金台に「シノワ (ShinoiS)」をオープンさせました。六本木の名店「海鮮名菜 香宮」で若くして料理長を勤め上げ、本場の中国各地でも多彩な食文化を吸収した篠原シェフ。その集大成として、まったく新しい中華料理を築き上げています。

 

 

2019年、台湾や中国に関わるグルメニュースが豊富だった背景には、それぞれの国からの訪日観光客急増も少なからず影響があるはず。2020年はより多くの国々から観光客が訪れるオリンピックイヤーだけに、さらなる食文化の発展の兆しを感じます。

 

文:佐藤潮