オフィス複合型商業施設が次々と建設されるなど、大規模な再開発が進行中の東京・渋谷。数々の有名企業によるオフィス移転の動きも活発に見られ、しばらく渋谷から離れていた大人たちからも再びの注目を集めています。だけど……久しぶりの土地に足を踏み入れると、「ゴハンを食べる場所が見つからない」「一人でも入れるランチスポットが分からない」と、街を彷徨うケースもしばしば。そんな、“シブヤお久しぶり組”の迷える大人たちのため、渋谷区観光大使を務める小宮山雄飛さんに渋谷の新旧グルメスポットを教えてもらおう! というこの連載。記念すべき新店紹介編第1回は、今年6月にオープンした、一品勝負のカレー専門店をご案内します。

教えてくれる人

小宮山雄飛

1973年原宿生まれ原宿育ち。ホフディランのVo&Key。音楽界のグルメ番長の異名を持つ。特にカレー好きとして知られ、著書に「カレー粉・スパイスではじめる 旨い! 家カレー」(朝日新聞出版)「簡単!ヘルシー!まいにちカレー」(主婦と生活社)などがある。2018年に日本初のレモンライス専門店「Lemon Rice TOKYO」を渋谷にオープン。渋谷区の観光大使も務める。

【大人の渋谷メシ・[新]編】第1回「ポークビンダルー食べる副大統領」

 

みなさんこんにちは、小宮山雄飛です。僕は地元渋谷区の観光大使をやらせてもらっているのですが、多くの人から「渋谷ってどこで食事したらいいんですか?」と質問されるんです。学生時代は渋谷で遊んでいた経験があっても、社会人になってなかなか渋谷に行かない、行ってもどこで食べていいか分からない、という大人が結構いるようです。そこで、渋谷区観光大使としてそんな渋谷の迷える大人たちに新・旧のグルメスポットをご紹介していく連載をスタートしました。

 

第1回は、まず【新】の方。今年6月にオープンしたばかりの、ポークビンダルー専門店「ポークビンダルー食べる 副大統領」。

ポークビンダルーとはインドのゴア地方名物の、お酢をたっぷり使った酸っぱいカレー。かなりのカレー好きじゃないと知らない、そんなピンポイントなメニュー1本で勝負というのが実に潔くて、なんかワクワクするじゃないですか。

店内はカウンター席のみ。席に着きしばらくすると、店主の多田さんがポークビンダルーを振舞ってくれる。

ポークビンダルー1品しかないから、そもそもメニューがない。お店に入ってカウンターに座ると、お店の人が何も聞かずにポークビンダルーを作り始める、こんな面白いお店日本中でもここだけでしょう。

「ポークビンダルー」1,000円(税込)。糖質が気になる人のため、ライスをカリフラワーに変更できるのも嬉しい。

カレーソースは酸味がありながらも、甘みと辛味のバランスが良く、豚肉のコクもあり、インド料理なのにどことなく欧風カレーの雰囲気もあるのは、ポークビンダルーがもともとポルトガルから伝わったという経緯とも関係あるのかなんて考えてみる。

卓上のスパイスは卵にのせて食べるのも◎。店主・多田さんのオススメは、常連さんが発見したという「フィッシャーマンズヴィネガー」との組み合わせ。

メニューはひとつだけど、卓上の4種類の調味料と無料のゆで卵・パパドなど自由に組み合わせることで味変を楽しめるので何度行っても飽きがこなそうなのも良い。

 

ちなみにこちらの場所、以前は「パッポンキッチン」という、やはり日替わりで1種類のタイ料理の定食を出すお店だったし、同じビル1階の「瑞兆」は、卵でとじないカツ丼だけの専門店。今渋谷はメニュー1本で勝負するお店が熱いのです!

 

文:小宮山雄飛

写真:外山温子