お菓子の歴史を語らせたら右に出るものはいない! といっても過言ではない、お菓子の歴史研究家・猫井登先生が、現在のトレンドを追いつつ、そのスイーツについて歴史を教えてくれちゃうという、一度で二度おいしいこの連載。第14回後編は、前編に続き、銀座のスイーツスポットから、ワンランク上の手土産をゲットできるお店を紹介。

【猫井登のスイーツ探訪14・後編】〜ワンランク上の銀座の手土産〜

 

猫井先生

後編は、銀座ならではのワンランク上の老舗の手土産スイーツを紹介していきますね。

 

食べログマガジン編集部

“銀座の手土産”、何かと重宝しそうです!

【5軒め】東京かりんとう御三家のひとつ「たちばな」

 

猫井先生

こちらは、1909年(明治42年)創業、110年の歴史がある、かりんとうの専門店です。「食べログ スイーツ 百名店 2019」にも選出されていますね。ちなみに、東京のかりんとう御三家といえば、『上野近辺の和菓子名店巡り』の回でもご紹介した、浅草の「小桜」さん、湯島の「花月」さん、こちらの「たちばな」さんですね。

『上野近辺の和菓子名店巡り』の回はこちら

 

食べログマガジン編集部

なんと、銀座八丁目に、こんな佇まいのお店があるとは!

 

猫井先生

こちらのかりんとうは、細めの「さえだ」と太い「ころ」の2種類があります。「さえだ」は味が染みていて、蜜の甘さがしっかりと感じられます。「ころ」は、太くて蜜が染みにくく、「さえだ」と比べると甘さ控えめな感じですね。

写真左が「ころ」、右が「さえだ」
 

食べログマガジン編集部

形状の違いで、2種類の味わいを楽しめるというのは面白いですね。

辣油は飲み物
「さえだ」   出典:辣油は飲み物さん
 

猫井先生

そうですね。手土産にする場合は、どちらも缶に入れてもらえますよ。和菓子ですが、ブラックコーヒーなどとも、なかなか合うので、万人受けする味わいだと思います。

 

食べログマガジン編集部

そう聞くと、コーヒーが飲みたくなってきました。

 

猫井先生

ちょうど近くに良いコーヒースタンドがありますよ(笑)。

【6軒め】上質なコーヒーが100円で味わえる! 銀座のオアシスとして覚えておきたい「トリバコーヒー 銀座本店」

 

猫井先生

こちらは、立ち飲みになりますが、1杯100円(税抜)で質の高いコーヒーをテイスティングすることができます。2階には3台のロースターを設置し、世界中から届くコーヒー豆を最適な焙煎で1階におろすため、コーヒー豆はいつも新鮮で、香り高いコーヒーを楽しめます。「ドトールコーヒー」の創業者の次男の方が手がけたコーヒー専門店なんですよ。

 

食べログマガジン編集部

銀座でこの価格はありがたいですね! 内装も豪華だし、休憩スポットとして覚えておきたいです。

yumachi
出典:yumachiさん
 

猫井先生

レジの脇に置いてあるお菓子も東京の有名店のものが多く、また過去には期間限定で台湾スイーツも販売していたり、こちらも要チェックですよ!

 

食べログマガジン編集部

コーヒーを飲んだら、また甘いものが食べたくなりました(笑)。コーヒーに合う和菓子ってほかにはどんなものがありますか?

 

猫井先生

では次は、銀座で有名な「もなか」のお店に行きましょう。

【7軒め】予約してでも買いたい、美しきもなか「空也」

 

猫井先生

空也さんも、「食べログ スイーツ 百名店 TOKYO 2019」に選ばれている有名店ですね。1884年(明治17年)に上野・池之端で創業、135年の歴史のあるお店です。戦災に遭い、1949年(昭和24年)に銀座に移転し、現在に至ります。

「食べログ スイーツ 百名店 TOKYO 2019」はこちら

みそせんべい
出典:みそせんべいさん
 

食べログマガジン編集部

この美しいもなか、何度かお土産でもらったことがあります。銀座土産として有名ですよね!

 

猫井先生

予約しないと買えないことでも有名ですね(笑)。「空也もなか」は、焦し皮に小豆の自家製のつぶし餡。甘さ控えめで、甘い物が苦手な方でも大丈夫でしょう。充分火を入れた餡で、1週間ほど持ちます。初めのうちは皮がパリッとしていて、2〜3日目くらいからは、しっとりとした味わいになってきますね。

毎日外食グルメ豚さん
出典:毎日外食グルメ豚さんさん
 

食べログマガジン編集部

予約しないと買えないというのはハードルが高いですが、その分、受け取った方からは感謝されそうですね!

 

猫井先生

それでは最後に、手軽に買えて、日持ちもして、持ち運びにも便利という三拍子揃った手土産を紹介しましょう!

【8軒め】缶の中に小さなお菓子がびっしり!「銀座 菊廼舎 本店」

 

猫井先生

菊廼舎(きくのや)さんは、1890年(明治23年)創業、129年の歴史を誇る和菓子屋さんです。店頭販売限定の「揚げまんじゅう」や「くず餅」なども有名ですが、今日は、お土産に最適な「冨貴寄(ふきよせ)」をご紹介しましょう!

 

食べログマガジン編集部

うわ〜、これは可愛いですね。女子ウケ良さそう!

 

猫井先生

「ふきよせ」というのは「吹き寄せ」とも書いて、もともとは風で吹き寄せられたという意味で、小さなお菓子を寄せ集めたものをいいます。こちらでは、小さなクッキーに落がん、金平糖などの干菓子が詰め合わせになっていますね。大きさ、内容などバリエーションが豊富で、用途に応じて選べるのが嬉しいですね。

ゆっきょし
出典:ゆっきょしさん
 

食べログマガジン編集部

手土産ってワンパターンになりがちだから、和菓子のバリエーションも知っておくと便利ですね!

 

写真・文:猫井登