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なんだか最近目にする機会が増えた気がする……そんな、“今まさにキテる”フードを紹介する不定期連載。今回は、専門店が登場するなど、ジワジワとブームの加速度を増している注目のカレー「ポークビンダルー」について、カレーおじさん\(^o^)/に教えてもらいました!
【今これがキテる!】~ポークビンダルー編~
「ポークビンダルー」ってどんなカレー?
「ポークビンダルー」とは、インド西海岸のゴア地方の名物料理で、ビネガーに漬け込んだ豚肉を使った、酸味と辛味が特徴のカレー。最近では、スパイスカレーのお店などでよく見かけるメニューで、日本人の味覚にも合う料理です。

日本でも大人気のメニューですが、実際にゴアに行くとおいしいポークビンダルーを食べられるお店が意外と少ないという話や、イギリスでポークビンダルーといえば激辛のじゃがいも入りカレーのことだという話もあり、現代の日本で市民権を得つつあるポークビンダルーという料理は、ゴア地方の調理方法を踏襲した上で独自の発展をしている料理と言えるかもしれません。

元々ゴアがポルトガル領だったこともあり、ポルトガル料理である「カルネ・デ・ヴィーニャ・ダリョシュ」(豚肉をビネガーに漬けこんでから煮込む料理)がインドに伝わり、インド流に香辛料を追加されて進化したものがポークビンダルーの発祥だといわれているのですが、そういう意味でも元々異文化ミックス料理だったわけで、現在日本で流行している異文化ミックスカレーとも言えるスパイスカレーの精神性と近い部分があると言えますね。

日本でポークビンダルーというメニューが注目されるようになったのは、2011年頃が最初だったように記憶しています。東京・八重洲「エリックサウス」の初期メニューにミニ黒パンと一緒に食べるおつまみ的なポークビンダルーがあって、それが常連の間で人気となり、他のお店でも少しずつ増えてきたように思います。
2012年には、まだ間借りカレーブームが来る前から週末間借りスタイルで行列店となっていた、東京・森下「上亀」のレギュラーメニューにポークビンダルーがあり、そこで初めてポークビンダルーと出会ったという方も少なくないでしょう。そして、東京・北千住にポークビンダルー1品勝負のお店「カリーライス山」が登場(現在は無期限休止中)したのが2013年。当時「ポークビンダルーなんて一般にはまだ知られていないメニューだけで勝負するなんて凄い!」と感心したものです。
埼玉から福岡まで! ポークビンダルーがおいしい店7選
今では日本全国そこかしこで見かけるようになったポークビンダルー。専門店も登場し、ちょっと変わった食べ方を楽しむことができるお店も出てきています。ここからは各地のおすすめと、個性的なお店をいくつかご紹介しましょう。
【埼玉】「スパイスカレー モクロミ」

「食べログ カレー 百名店 EAST 2019」にも選出された、埼玉の人気店。こちらのポークビンダルーがまた本当においしいんですよ! 柔らかく煮込まれた豚肉はガツンと大きくて、最高のおいしさ。めちゃめちゃご飯に合います。東京からちょっと遠出してでも、行く価値のあるお店ですよ。
【東京・渋谷】「ポークビンダルー食べる副大統領」

ミシュランのビブグルマンにも選出されたポルトガル料理店「クリスチアノ」などを手掛けるシェフがオープンしたポークビンダルー専門店。酸味と辛味と甘味のバランスの良いポークビンダルーに、彩り豊かな野菜とクスクスを合わせる個性的なスタイル。卓上のトッピングも充実しており、メニューがひとつでも、通って飽きない工夫がなされています。ライスをカリフラワーライスに変えることもできて、ヘルシーなのが嬉しいですね。
【東京・高円寺】「negombo33 高円寺」

埼玉屈指の名店「ネゴンボ33」の支店となる高円寺店。こちらにはレギュラーメニューとしてポークビンダルーがあります。カフェのようなスタイルで気軽にいただけるポークビンダルー。ちなみに、こちらのポークビンダルーはレトルトカレー化もされており、再現度が高すぎてレトルトとは思えないおいしさ。全国で購入可能ですので、なかなかお店に行けないエリアの方はレトルトをどうぞ。
【東京・参宮橋】「ラジャ」

参宮橋駅前の隠れた名店。こちらのメニューは固定ではなく色々なメニューが入れ替わるのですが、ポークビンダルーも人気メニューとして定期的に登場します。スパイスカレーとしてのスタンスではなく、インド料理として作られたポークビンダルーはスッキリしたおいしさで、ご飯にもパロタ(インドのパン)にも合う絶品! ポークビンダルーとは何なのか、理解が深まると思います。
【東京・吉祥寺】「築地スパイス食堂 かぶと」

ラーメンでポークビンダルーが食べられる変わり種といえば、吉祥寺にあるこちらのお店。築地で仕入れたマグロ、「マサラカリー」に「マサララーメン」と、コンセプトが渋滞しているお店なのですが、味は確かです。最近では南インド料理界で名をはせる人気シェフ、マハリンガムさんも招へいし、ますますパワーアップ中の注目店となっています。
【静岡】「ロストコーナー」

静岡のスパイスカレーを牽引する存在とも言えるのが、こちらのお店。看板メニューとしてポークビンダルーが存在します。そもそもこちらのシェフがカレー作りを始めるきっかけとなったカレーがポークビンダルーだそうで、だからこそのポークビンダルー愛を感じるおいしさに仕上がっています。
【福岡】月と亀

最後にご紹介するのは、先述した「上亀」の店主だった小松さんが地元・福岡に戻って開いた「月と亀」。南インド料理に和のエッセンスを加えた「筑前インド定食」は芸術的なおいしさなのですが、選べるカレーの中にポークビンダルーが存在します。こちらのポークビンダルーはとにかく優しくて深い味わい。食べ終わった後に、とてつもない多幸感を得られますよ。
以上、様々な場所で色々なスタイルのポークビンダルーを食べることができます。日々進化しているカレーの中でも、独自の立ち位置を築きつつあるポークビンダルー。どこかのお店で見かけたら、是非食べてみてくださいね。そして気に入ったなら、上記のお店にも行ってみてください。食べ比べていくうちに、その面白さとおいしさに、さらにハマっていくことでしょう。
教えてくれた人

カレーおじさん \(^o^)/
連載「今週のカレー」でお馴染み、2006年から毎日カレーを食べ続けているカレー偏愛家。世界各地約4,500店舗で様々なカレーを食べ歩く。年間平均カレー食数は1,000以上、生涯通算カレー食数は優に15,000を超える。NHK Eテレ「オイコノミア」やTBS「マツコの知らない世界」など、メディア出演の他、小学館「Oggi」やイープラス「SPICE」などでカレー記事を連載。様々な形でカレー情報を発信している。
文:カレーおじさん\(^o^)/