間も無くバレンタインデー本番がやってきます! 日本各地のデパートなどでは、チョコレートに関するイベントが行われるなど、毎年盛り上がりを見せていますが、結局どこのチョコレートを買えばいいのか分からず、ひとつもゲット出来ていない……という人も多いのでは?

 

そんな時こそ頼りにしたいのが、スイーツの専門家の確かな知識と情報! というわけで、お菓子の歴史研究家・猫井登先生に、バレンタイン直前だからこそ知りたいプロが選ぶバレンタインチョコレート、略して“プロチョコ”を教えてもらいました!

《スイーツ探訪・特別編》直前だからこそハズしたくない!スイーツのプロが買うバレンタインチョコレートとは?

編集(以下、編):いよいよバレンタインデー間近ですね! とか言いつつ、今年のバレンタインチョコレートをまだひとつも買っておらず……。だからこそ絶対ハズしたくないんですが、先生はどんなチョコレートを買っているんですか?

 

猫井(以下、猫):一般的にオススメのチョコレートではなく、私が個人的に買いたいと思っているものでいいんですか? 女性から男性に贈るとか、友チョコとか、じゃなくていいわけですね? 期間限定で売り切れのものや、マニアックなものが多くなりますが、よろしいですか??

 

編:は、はい! 結構です!

【プロチョコ1】ビーントゥバーの先駆者「ベルナシオン」

猫:それでは、私の好みで、独断と偏見で申し上げます(笑)。まずは、「ベルナシオン」のタブレット「パータ タルティネ ノワール」ですかね。

 

ピエモンテ産のヘーゼルナッツと同店のチョコレートに使われている10種のカカオ豆を合わせて挽いた「ベルナショック」という新作ペーストがあるんですが、こちらはそれを包み込んだタブレットですね。ベルナシオンのノワールが好きなので、ノワールバージョンを購入しました。

 

 

あと、毎年買っているのはタブレット「マンディアン」ですかね。こちらは、ナッツやドライフルーツなどの素材が宝石のように散りばめられていて綺麗だし、食べる度にトッピングによって味が変化するのが楽しいタブレットですね。

 

ベルナシオンは、フランスのリヨンで創業当時からカカオ豆を自ら仕入れ、自家製クーベルチュールでチョコレートを製造する、まさにビーントゥバーの先駆者で好きなお店なのですが、日本に店舗がないんですよね。

 

編:店舗がないということは、どこで購入されているんですか?

 

猫:「サロン・デュ・ショコラ」(東京会場は1月23日〜29日で終了。その他都市では、提携百貨店にて2月14日まで販売)ですね。「マンディアン」は、銀座三越の地下「ジャン=ポール・エヴァン」横のタブレットショコラ売場でも、不定期ですが取扱いがあります。その他のオンラインストアでも販売されているので、ネットで検索してみてください。

 

編:ほかには、どんなチョコレートを?

【プロチョコ2】オーガニックショコラの第一人者「ジャン=ミッシェル・モルトロー」

 

猫:ここ何年か続けて購入しているのが「ジャン=ミッシェル・モルトロー」のボンボンショコラですね。有機農法の認証機関が承認したカカオや食材のみ使用するオーガニックショコラの第一人者です。オーガニックということだけでなく、ショコラはまったりとしながらも、しつこくない味わいが気に入っています。

 

サロン・デュ・ショコラ出店ブランドは、1粒500円以上するものも多い中、お値段も良心的です。こちらも、サロン・デュ・ショコラで販売されますが、オンラインストアでも販売されているようです。

 

編:私のように駆け込みタイプの人も多いと思うので、実店舗があるブランドも知りたいです!

【プロチョコ3】2019年赤坂に実店舗をオープン!「パスカル・ル・ガック」

猫:そうですね。今年1月19日に赤坂にオープンした「パスカル・ル・ガック」もずっと好きなブランドですね。パスカル・ル・ガック氏は2009年以来、C.C.C.(クラブ・デ・クロクール・ドゥ・ショコラ=チョコレートをかじる人たちのクラブ)により“Award”および“欠かせないメゾン”に選ばれているブランドですから、とりあえずひと通り味わってみたいですね。

 

 

ル・ガック氏 は、どんな素材を使っても、非常にバランス良く上品な味わいにまとめるので、どのボンボンも安心して選ぶことができます。「スペキュロス」「スパイス」「グリュエと塩のプラリネ」などが気に入っています。チョコレートを使ったパティスリー(ケーキ類)もあるので試してみたいと思っています。

 

編:なるほど。フランス勢が多いようですが、日本人のブランドで注目しているのはどちらですか?

【プロチョコ4】カカオを求めてジャングルへカカオハンターズ」

猫:「カカオハンターズ」も気に入っていますね。代表の小方氏が2013年に南米コロンビアのチームと立ち上げたビーントゥバーブランドです。小方さんは珍しいカカオを求めてジャングルの奥深くまで入って行かれるカカオハンターで、 現在はコロンビアに移住し、カカオ豆の輸出入、チョコレート工場建設、ビーントゥバー市場用機械の共同開発等を行いながら、カカオ市場の価値向上に取り組まれています。

 

 

今までも数多くの賞を受賞されていますが、2018年のインターナショナル・チョコレート・アワード世界大会でも3品が受賞されていますね。赤い箱の「シエラネバダ」がフルーティーな味わいで好きなので今年も買いたいと思っていますが、カカオにコーヒーを合わせた「カフェ・ドゥ・エディ」や、コロンビアとベネズエラの国境沿いの山奥で見つけられた珍しいカカオで作られた「ディスカバリー」も味わってみたいところです。

 

 

カカオハンターズのチョコレートは、種類にもよりますが、代々木八幡駅近くの「カカオストア」でも購入することが出来ますよ。

【プロチョコ・番外編】「ルビーチョコレート」ってどうですか?

編:今年は、「ルビーチョコレート」が話題になっていますが、先生的にどうですか?

 

猫:着色料もフレーバーも入っていなくて、ピンク色でベリー系の味わいがするのは興味深いと思います。ルビーチョコレートを使ったボンボンショコラなども販売されていますが、商品になってしまうと本来の味わいがわかりづらい面もあります。

 

元々は、「カレボー」という会社が作っているクーベルチュールチョコレートなので、まずはそのまま味わってみてはいかがでしょうか。製菓材料店の「富澤商店」などでは、小分けしたものを購入可能ですよ。

 

文・撮影:猫井登