〈食べログ3.5以下のうまい店〉

グルメなあの人にお願いして、本当は教えたくない、とっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。今回は、年間100店以上の焼肉店に通う焼肉作家、小関尚紀さんが、近年再評価されている“経産牛”の専門店として10月にオープンした用賀の店を紹介。
住宅街に佇むこだわり黒毛和牛とワインの店

巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー!
食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。
食べログでは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。
点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。

東急田園都市線用賀駅から徒歩約12分。瀬田交差点から少し歩いた国道466号線(環八通り)沿いに佇む「焼肉KAJIYA」は、種子島で育った注目の黒毛和牛「梶屋牛」を提供する都内初の焼肉店。駅からやや離れた住宅街にあり、今年10月のオープンから日が浅いこともあって、食べログの点数は2025年12月時点で3.07だが、うまみたっぷりな赤身の味わいに魅了されるファンがじわじわと拡大中。「梶屋牛」のポテンシャルの高さにより、今後評価が上がっていきそうな注目の一軒だ。

小関さん
世界的和牛ブランド「尾崎牛」の生産者・尾崎宗春さんが、指導に関わる経産牛。その経産牛専門の焼肉店が世田谷区に誕生するという朗報を肉フレンドから聞きつけ「オモロいがな」と早速、訪問したのが10月。経産牛なので食べるまでは、肉が硬いのでは!?という先入観を持っていましたが、さにあらず、咀嚼するたびにうまみが感じられる、うまみの塊でした。専門店だけあってレバー、センマイなど内臓も梶屋牛。健康に育った牛の内臓は実に美味!

店内はダークブラウンを基調としたカラーに革張りの椅子など、落ち着いた雰囲気。
「用賀という土地柄を意識したのと、私は10年間ワインバルでソムリエをしていたので、ワインとともに梶屋牛を楽しんでいただけるお店にしたいという思いがあって。ゆったりくつろげる雰囲気を目指しました」と話すのは、オーナーシェフの羽鳥聡さん。


小関さん
最寄り駅の用賀駅から少し距離はありますが、2025年10月にオープンしたばかりの新店です。焼肉屋というよりカジュアルなイタリアンの様相で、女性も入店しやすい店です。入口に梶屋牛の肉塊が収められた冷蔵庫があるので、着席前にぜひ見てほしいですね。
「梶屋牛」に魅了され一頭買いで提供する専門店をオープン
オーナーシェフの羽鳥さんは、多国籍料理、フレンチ、へぎそば、沖縄料理、海鮮居酒屋、スペインバルとさまざまなジャンルの調理経験を経て2015年に独立。東京・麹町でワインバル「麹町ボラーチョ」を10年経営し、節目のタイミングで何か新しいことをしたいと考えていた時に常連客から「実家で経産牛の出荷を始めたので使ってみてほしい」と紹介されたのが「梶屋牛」だった。
「試しに使ってみたら非常においしくて。先方もこれから梶屋牛をどんどん広めたいというタイミングだったので、東京初の梶屋牛の店として焼肉店を始めることにしたんです」(羽鳥さん)


小関さん
同店は、梶屋牛を専門に扱う都内初の焼肉店。梶屋牛の知名度はまだ低いですが、鹿児島県の種子島で梶屋拓朗さんが生産する個人名ブランド牛です。ミネラルを豊富に含んだサトウキビと牧草と天然飼料+尾崎宗春さんの指導で、経産牛を食用牛として再肥育した牛です。一口ごとに赤身と脂質の絶妙なバランスと深いうまみ、肉本来のおいしさが味わえます。しかも店主の羽鳥聡さんは、フレンチレストランやスペインバルで腕を振るってきたシェフ。アヒージョなど、焼肉以外のサイドメニューも存分に楽しめます。

経産牛とは出産を経験したことのある雌牛のことで、これまで食肉としては「肉が硬い」などと敬遠されやすく、流通せずに廃棄されることが多かった。しかし近年では、繁殖の役目を終えてから食用牛として飼育しなおすことで、うまみが凝縮された味わい深い赤身牛肉に仕上がるとして、注目を集めている。
そんな経産牛の中でも、種子島の温暖な気候と清潔な環境の中で健やかに育てられた「梶屋牛」は、まだ日の浅い銘柄ながら各所で高い評価を受けており、今後、国内外でさらに注目度が上がりそうな黒毛和牛なのだ。
概念を覆す食感とうまみに驚愕「牛フィレ肉の炭火焼き」

梶屋牛特有の弾力ある食感と豊かなうまみを、よりダイレクトに感じられるのが「牛フィレ肉の炭火焼き」(約100g)。肉本来の味わいを伝えるため、下味は塩のみで炭火で香ばしく焼き上げ、トリュフ塩とわさびを添えて提供される。


小関さん
梶屋牛のフィレを備長炭で焼き上げた一品。炭の香りを纏ったフィレ肉は、薫り高く、驚くほど柔らかい! 経産牛の概念を覆す柔らかい食感と肉本来のうまみを堪能できます。わさび塩で食べてほしいです。
