アメリカンダイナーらしいメニューが続々

なにもかもちょうどいいオールドファッション

夏にみんなをサーフィンに連れ出したアメリカのロックバンド「ザ・ビーチ・ボーイズ」は、冬には上質なクリスマスソングを歌っていた、なんてことを思い出しつつドーナツを頬張る

チョコレートやシナモンなど定番のオールドファッションも展開しているが、ちょっとめずらしい味のものをおすすめしたい。
「SNOW」350円は、ココナッツパウダーのまろやかな甘みに、ほんのりと塩が利いたオールドファッション。見た目は真っ白に雪が積もった姿だが、頬張ればココナッツと塩が夏のバケーションを感じさせてくれる。甘みと塩気の絶妙なバランスが素晴らしい。

チェリーの紅茶「Dark cherry tea」と一緒に食べるものいい。個性的なドリンクメニューも試してみよう

オールドファッションは、しっとりした食感を大切にしているそうだ。口の中でモゴモゴせずに食べやすいため、これもまた「もう一つ」と手が伸びてしまう。

 

溝呂木さん

オールドファッションにアイスクリームをトッピングしたら、もっと幸せなのでは? アイスクリームとの組み合わせや、やってみたいトッピングなども相談してみよう。

崩れていく姿も愛おしい、UGLYなサンデー

目の前にこれがやってきたらうれしくなっちゃうよ。スプーンでざっくり、どこからでも、パクッと

魅惑的なサンデーがメニュー表に並ぶ。ひとつ選ぶことが、こんなに悩ましいとは。迷いに迷って選んだのが「UGLY BROWNIE」1,200円だ。オプション(110円〜)でカラフルなスプリンクルをかけてもらった。

「UGLY BROWNIE」

「好きに食べてくれ!」と言わんばかりの無骨な姿がかえってチャーミング。ブラウニーは中がねっとりしているのが理想だと思う。しかし、ねっとり系ブラウニーは、市販品では滅多にお目にかかれない。それがここにあった! チョコレートが濃厚なブラウニーに、たっぷりのアイスクリームが最高に合う。ボリューム満点だ。ひとりで完食する客もいれば、何人かでワイワイ食べる客もいるとか。ひとりでも誰かと一緒でも、このワクワク感をぜひ味わってほしい。

 

溝呂木さん

三上さんにおすすめを聞いたら、結果的に全部おすすめされました。創業当初から大事にしてきたメニューですもの、そりゃそうだ。オプションが用意されているので、自分好みにカスタマイズして食べるのも楽しいですよ。

季節ごとにパイが登場! 定期的に通わないと

飾らず気楽に楽しめる雰囲気を醸すアルミ皿がいいね

アメリカ人にとってのパイは格別なものらしい。さまざまな映画やドラマに印象的に登場するし、「アメリカン・パイ」という1971年の大ヒット曲もある。「GRANDPA」でもパイは欠かせないもで、季節ごとにさまざまなパイが登場する。今回あったのは「KEY LIME PIE」800円だった。

ボトムはサクサク

スッキリとキーライムの酸味が利いていて、ボトムがサクッとして、ホイップした生クリームが華やかだ。私は日本で生まれ育ったのに「私のママもこんなパイを焼いていたわ」と、洋画の吹き替え特有の話し方でありもしない昔話をしそうになる。ホームメイドの優しさを感じる名作だ。

 

溝呂木さん

今度はチェリーパイを食べてみたい! もちろんアイスクリームを添えて。過去にアップルパイやピーカンパイなども登場しているので、私を含め“アメリカンパイ”が大好物な人は、季節ごとのチェックを忘れずに。

みんなの“思い出の味”になる

一見“いかつい”雰囲気の二人だが、実はとってもフレンドリー! 話すとファンになっちゃう。写真左が田渕さん、右が三上さん

さて、お店にあふれる幸せな空気の正体とは……。三上さんと田渕さんの「おじいちゃん、おばあちゃんが作るようなおいしいものを表現したい」という気持ちや「ただおいしいものを作るというだけでなく、食べ物の見た目や味、食べた場所の記憶が幸福な思い出として残るような空間を生み出したい」という思いの表れだ。

「sweetie shop GRANDPA」

「sweetie shop GRANDPA」の「グランパ」とは、「おじいちゃんになるまでお店をやっていこう」という思いで付けられた店名だそう。

自転車でやってきて、ドーナツを食べながら帰る常連の子どもがいるという。その子が大きくなりやがて巣立ち、久しぶりにまた「GRANDPA」を訪れる。あの時のお兄さんたちが、おじいちゃんになってドーナツを揚げてお菓子を焼いている。そんな光景を思い浮かべた。

店名の「sweetie」とは、親しい人や愛しい人を表現するスラングだ。彼らはきっと、この街の“sweetieなおじいちゃん”になるだろう。

※価格はすべて税込

教えてくれた人

溝呂木一美(みぞろぎひとみ)
ドーナツ探求家・イラストレーター・グラフィックデザイナー・手芸愛好家。国内外で年間500種類以上のドーナツを食べ、自身のブログや各種SNS、テレビやラジオ、雑誌、Webメディア等でも情報を発信。著書に『私のてきとうなお菓子作り』(ワニブックス)、『ドーナツのしあわせ』(イースト・プレス)、『ドーナツの旅』(グラフィック社)。いろいろ制作ユニット「スタジオ・ソラリス」所属。

食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!
https://www.instagram.com/tabelog/

文:溝呂木一美、食べログマガジン編集部 撮影:ジェイムス・オザワ