一品料理にアイデアとセンスが光る!

「みつい」で供される27,500円のコースには、つまみが5~6品、握りは12貫前後が登場。江戸前の仕事を踏襲しながら、食べ手の満足度を引き上げる仕掛けが随所に見られる。例えば、季節の魚介を使ったつまみ。沖縄県の古酒に漬けてねっとりとした甘みを引き出したり、脂ノリのよい魚を炭火で焼き上げたり、テンポよく出されるつまみに心が弾む。

お酒好きであれば、ぜひとも7,700円のペアリングを。日本の酒文化を愛する女将の美紀さんと店主が考案した「コースに寄り添う同調マリアージュ」は、泡盛や熟成酒、羽釜で温める“蒸し酒”など、つまみや握りの味の余韻をさらにふくらませてくれる。
職人の目利きと仕事の丁寧さが光る握りが至福の時間を運ぶ!

「寿司職人に不可欠なのは魚の目利き。仲卸さんや生産者の方から素晴らしい魚を仕入れさせていただいているので、その魚体を見極めて適正な仕事を施すことが自分の仕事だと思っています」と三井さん。

握りのシャリに使うコメは、店主の地元・長野県の高地栽培のコシヒカリが中心。羽釜でやや硬めに炊き上げるシャリには、酸がおだやかな白酢を加えており、寿司ネタとの一体感や食べ疲れさせないための工夫も。

中トロ、赤身、大トロの順に3貫続けて供する鮪でも、それぞれの部位の味の変化を楽しませる。中でも白眉は、能登の藻塩を振った中トロ。鮪の甘くて上品な脂とすっきりキレのよいシャリが口中ではらりとほどけ、全身が得も言われぬ幸福感に包まれる。

「日本の食文化を継承したい」という思いが詰まった鯨の握りには熟成させた日本酒を合わせて力強い旨みを、脂がのった鮪には50~60℃に温めた蒸し燗で味の余韻をふくらませるなど、食べ進めるごとに新しい発見や驚きが。高級路線をひた走る寿司店も多い中で、この価格でコースを組み立てる真心にも頭が下がる思いだ。

店主が尊敬する親方のように、近い将来、日本の寿司業界のトップに君臨することは間違いない。うんちくや堅苦しい話は抜きにして、ただただ幸福な時間に身を預ければ、これからの寿司店の在り方を肌身で感じるはずだ。


