〈遠くても食べたい味〉

年間の外食は1,500軒以上! 令和のグルメ王、浜崎龍がわざわざ旅をしてでも行く価値があるお店を紹介します。今回は、広島県にある寿司店「鮨 稲穂」です。

教えてくれる人

浜崎龍

グルメメディア「TERIYAKI」や国内最大規模のグルメオンラインサロン「TERIYAKI美食倶楽部」の運営を行う、テリヤキ株式会社の代表を務める。大学生時代から幅広く食べ歩きを行い、ラーメンから高級フレンチまで年間1,500軒以上も飲食店を巡り歩く。ジャンル問わず、日頃全国の「おいしい」を求めており、北海道の端から沖縄、はたまた世界中まで飛び回る。レストランとのイベント企画も手がけ、飲食に対する新たな可能性を日夜見いだす。メディア掲載、マガジンハウス「Hanako」など。

鮨 稲穂

広島随一の繁華街・胡町に店を構える「鮨 稲穂」。カウンター越しに見る大将の手さばきからは、地元・瀬戸内の恵みを余すことなく引き出そうという強いこだわりが伝わってきます。

厳選した仕入れ

広島出身の大将は、素材はもちろんのこと、米・塩・水まですべて地元産を使用。「江戸前の高級ネタを東京から取り寄せるだけでは意味がない」と語り、自ら漁師仲間と連携して、その日の良い魚だけを厳選仕入れ。

広島産タコ

血抜きや締め方を徹底することで、“ここにしかない”ベストな状態の魚を味わわせてくれます。 例えば、表面だけ15秒ほど茹でて軽く炙った広島産タコは、柔らかさと香ばしさを同時に楽しめる絶妙なひと品。

メバル煮付け

また、一度唐揚げにしてから荒炊きするメバルの煮付けは、揚げることで閉じ込めた旨味が煮汁に溶け出し、深いコクを感じさせてくれます。

タケノコの煮付け

さらに、季節の走りのタケノコを取り入れた煮付けなど、旬の味を織り交ぜた料理が随所に登場するのも魅力のひとつです。

インドマグロ漬け

地元醤油で漬け込むインドマグロの漬けや、夏場には塩水ウニを使うなど、細やかなこだわりを積み重ねることで生まれる“広島流”の寿司は、東京や他の地域ではなかなか出会えないものばかり。

塩水ウニ

地元に根ざした食材を丹念に仕上げる大将の姿勢が、「鮨 稲穂」の唯一無二の世界をつくり上げています。 「広島でしか食べられない」という言葉を体現するかのような、一皿ごとに驚きと発見が詰まった寿司の数々。地方都市ならではの味わいを求める方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。きっと、“ここでしか味わえない”という思いを実感できるはずです。


文:浜崎龍、食べログマガジン編集部

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https://www.instagram.com/tabelog/