【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#173】「表面張力」
2024年4月20日に目黒区鷹番の地にオープンした「表面張力」。何とも興味深い店名ですが、インド南西部のゴア地方の料理をベースとしつつも独自に表現したカレーを中心としたスパイス料理のお店であり、元々は下高井戸で間借りカレー店としてスタートし、東池袋の公園内に移転した「プラマーナスパイス」が名を変えて現在の地に移転、再スタートを切ったという形になります。
開放感ある雰囲気でカウンターメインの店内にはレトロで趣のある音響設備もあり、BGMにもこだわりを感じる空間。
まずは前菜として「イワシのオイルマリネ」480円を。文字通りのシンプルな料理ですが、だからこそお店の個性や主義を感じるものとなっていました。塩気は控えめに、素材の味を感じさせる引き算の味付け。青唐辛子の爽やかな辛さが意外性も感じさせて、前菜から楽しいです。
また、こちらとは別にカレーにはそれぞれ前菜盛り合わせ的な一皿がつく形。この日は茄子のアチャール(スパイス漬物)、じゃがいものサブジ(スパイス炒め煮)、ししとうのパコラ(インドの天ぷら的な料理)の3種。やはりこちらもそれぞれ絶妙な引き算の味付けだからこそ、この後に待ち構えるメインのカレーへの期待度がさらに高まるという仕上がり。
メインのカレーは基本的に3種類で、ポークシャクティカレー、旬の魚のカレー、チキンビンダルー(それぞれ前菜付き1,760円)。ゴアの三大名物料理と言えば、ポークビンダルー、チキンシャクティ、フィッシュカレーと言えますが、ポークとチキンを入れ替えてあるのが面白いです。
ポークシャクティはトマトの柔らかな酸味と程よいココナッツ感が印象的。スプーンでホロッと崩れる豚肉は、強くない味付けだからこそ豚本来のおいしさをダイレクトに感じます。
旬の魚のカレー、この日は鯖でした。こちらはレモンの酸味が程よく、鯖の臭味はスパイスとレモンでマスキングされ、鯖のフワッとした食感と奥深いうまみがじわじわ広がってくる仕上がり。ご飯少なめで頼むとパコラをサービスしてくれる心遣いもうれしいです。
チキンビンダルーはモルトビネガーとココナッツビネガーのミックスでやはり酸味が程よく、それぞれのカレーがベクトルの違う酸味を感じるのもとても楽しいです。
食後に「チャイ」460円でしめくくり。これがまた独特の風味を感じるもので、他にない仕上がりかつ個性あるおいしさのチャイ。チャイ好きならマストで頼むべき逸品でした。
店名の通りギリギリを攻めつつ破綻することない絶妙な味付けが印象的。さまざまなカレーを食べている人ほど楽しめる味ではないでしょうか。また、カレー初心者にとってもおしゃれな空間で他にないカレーを楽しめるということで行って損なし。
ちなみに店名の由来を聞いてみると「特に意味はないんです。語感が良くてみんなが知ってる言葉で、自然現象であるという3つから選びました」と実に自然体。センスを感じますし、その自然体のセンスが料理にも活きていると言えるでしょう。
ここのところ学芸大学駅エリアのカレー界隈も盛り上がりを見せてきています。こちらも要注目の新店舗ですよ。
※価格はすべて税込