注目したい、すき焼き、フレンチ、タイ料理

続いては行きたかったのに、オープン月に行けなかったお店です。

ふわふわ卵で食べるすき焼き

カフェモカ男
「あさい」   出典:カフェモカ男さん

3月1日、虎ノ門ヒルズ駅と神谷町駅の間にオープンしたのはすき焼きの「あさい」です。2016年に閉店した名店「よしはし」のスタッフが中心なだけに、名物だった卵白をメレンゲ状にする卵や、たっぷり炒ることで鍋に残ったうまみを存分に吸ったしらたきは健在。一方で、料理長には西麻布にあった 「臼杵ふぐ山田屋」出身の廣瀬和也さんを迎え、肉はサカエヤさんの近江牛にするなど、おいしくなるための変革に抜かりはありません。肉の間に供される野菜のアクセントもよく、最後まで胃が重くなることなく、それでいて素晴らしい満腹感を味わえます。訪れた日は女将の篠崎由美さんが調理を担当してくれましたが、仲居さんが目の前で作ってくれる贅沢感はすき焼きならでは。カウンターと個室カウンターのみで、おひとりさまもOKです。

センスあふれる内装のフレンチ

2月14日、麻布十番にオープンしたのはフレンチ「OLINA(オリナ)」。まずシェフの若きフランス人、オリヴィエ・ガルシアさんの誠実なキャラクターがとても魅力的です。オープンキッチンなので、これは大事です。サービスはパートナーで元ファッションデザイナーの高遠菜都子さん。彼女のセンスなのでしょう。内装から器に至るまで、シンプルながら柔らかな温かさがあり、気持ちのいい時間が過ごせます。ワインの監修とサービスのサポートは「ラス」のシェフソムリエだった常盤努さん。彼の提案するワインも抜群です。

川井 潤
「OLINA」炭火で炙ったグリーンピースを使ったエスプーマ   出典:川井 潤さん

フレンチの技法に和の食材や発酵を自然に取り入れ、美しい一皿に仕上げる料理は、まさにモダン。新しい春のコースでしたが、旬の野菜がたっぷりで季節を堪能できました。

ハレの日のエスニック

お肉モンスター
「Modern Thai CIEL 北参道」   出典:お肉モンスターさん

そして同じく2月14日、北参道にオープンしたのがタイ料理の「Modern Thai CIEL 北参道」です。2020年に大阪・新福島にオープンした人気店が、念願だったという東京進出を果たしました。おすすめされた8,800円9品のコースは、オールスターと言いたくなる品揃えでテンポよく提供されます。お腹を落ち着かせるお粥でスタートし、イチゴをポイントにした生春巻き、しらすと菜の花のグリーンカレーなど、一皿一皿が旬を感じられる美しい仕上がり。スパイスに合うナチュラルワインも豊富に揃っています。ハレの日のエスニックとして重宝できそうな一軒です。

大分の名物焼きそばとハワイのヴィーガンレストランが都内に

熱々の鉄板で食べる焼きそば

3月23日、原宿の通称“とんちゃん通り”にオープンしたのが焼きそばの「来々軒」です。

「来々軒」

本店は大分県日田市にあって、日田焼きそばの名店&大分県で最初のラーメン店として知られています。その来々軒ののれん分けとして、お店の正面にある老舗古着店「ベルベルジン」がこちらを開業しました。日田焼きそばの特徴はパリッと焼き上げて、さらにシャキシャキのもやしが入っていること。熱々の鉄板で提供されるので、最後は麺がベビースターのように。これはクセになる味です。焼きそば好きの方はぜひ。

渋谷のヴィーガンレストラン

「LOTUS CAFE TOKYO」ハノイサンドイッチ

「渋谷サクラステージ」の開業で注目を集める渋谷・桜が丘エリアにはヴィーガンレストラン「LOTUS CAFE TOKYO」が4月4日にオープンしました。昨年まで同じくヴィーガンで有名な「なぎ食堂」があった場所です。ちなみになぎ食堂は、5月に鎌倉でオープン予定のようです。こちらの特徴は、ハワイで有名な「Peace Cafe」のメニューもいただけること。ランチで名物というハノイサンドイッチをオーダーしましたが、 まろやかなコクに驚きました。ピーナッツソースとアイオリソースなのですが、バターもチーズも使わず、この味が出るとは。デリのメニューも充実です。

ビールのうまさを堪能できるホールと、新業態?カレーワインバー

楽しくお酒を飲めるスポットも誕生です。

夏に行きたいビールの飲み比べ

「YEBISU BREWERY TOKYO」ビール4種飲み比べ

4月3日、恵比寿ガーデンプレイスにオープンした「YEBISU BREWERY TOKYO」は早くも入場制限が出るほどの人気です。目視する限り、9割の人がオーダーしているのがビール4種飲み比べ。なんといっても、もともとは伝統のサッポロビール恵比寿工場があった場所ですから、同社のプライドをかけておいしいビールが提供されるはずで、実際うまいです。

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「YEBISU BREWERY TOKYO」   出典:uchino_nekoさん

開放感のある高い天井、銅色に輝く仕込釜などの素敵な空間もおいしさを増幅させている気がします。GWは大混雑だと思いますが、今年の夏はぜひこちらで乾杯を。

2軒目におすすめカレー&ワインバー

ムラージャ
「Mine」   出典:ムラージャさん

3月27日、北参道にオープンした「Mine」はなんと、"カレーワインバー"です。店主は元「ドミニク・ブシェ・トーキョー」ソムリエの山本佳英さん。六本木の「ケンゾーエステイトワイナリー」時代の同僚とタッグを組み、“カレーとワインは合わない”という定説に挑戦です。米はジャスミンライスと白米の混合。辛みの強いスパイスは使わず、まろやかな痺れのフレンチカレーで、独特のフォルムも食欲をそそります。もちろんこのカレーに合う赤白のグラスも。他にも魚醤とバターを塗ったベビーコーンやカレーペーストのウフマヨなどもあり、何より店主のサービスがしっかりしているので、2軒目需要が急増している今、覚えておきたい一軒でしょう。

毎日通いたくなるカフェと大人のホットドッグ

8時からオープンの落ち着くカフェ

「CHIHYE COFFEE」キャロットケーキとアップルアメリカ―ノ 

麻生十番大通りには素敵なカフェが誕生しました。4月8日にオープンした「CHIHYE COFFEE(チヘ コーヒー)」です。人通りの多い商店街の路面店なのですが、そんなメジャーな場所にあるとは思えない、白い壁のキュートな外観。ほっこりできる2階はテーブルとWi-Fi、電源完備のカウンター。朝8時からの営業で、美しいラテアートのカフェラテはもちろん、100%ジュースにエスプレッソを注いだ「アップルアメリカ―ノ」「オレンジアメリカーノ」といった逸品も。たっぷりのクリームチーズがのった、スパイスのアクセントも絶妙のキャロットケーキなども充実。個人店ならではのこだわりと丁寧さにあふれています。オープンすぐに訪れましたが、早くもインターナショナルな客層で賑わっていました。絶対人気店になるだろうけれど、入りやすい店であってほしい……そんな勝手な気持ちが湧いてしまうお店です。

大人のためのファストフード

「HOTDOGGY」

表参道の空きスペースを利用し、キッチンカーなどが並ぶB-Flat COMMUNEに4月7日にオープンしたのは「HOTDOGGY」です。虎ノ門横丁「TAMA」出身の坂本允之さんと小倉大輝さんの独立店で、目指すのは“大人のためのファストフード”。メインのホットドッグは個性的なソーセージで人気の広島「.comm」と共同開発したオリジナル。このままでもおいしいんですが、プラス250円でオリジナルディップをオーダーし、たっぷり付けて食べると気分はアメリカン。ナチュラルワインと共にどうぞ。そしてふと隣のキッチンカーを見たら、なんと「東京最高のレストラン2024」の注目店「草原の料理スヨリト」が。ラムの串焼き、おすすめです。

※価格は税込。

写真:大木淳夫
文:大木淳夫、食べログマガジン編集部