TOKYO HIP BAR Vol.23

オープン直後からベストバー入りした若きバーテンダーの新しいネグローニ

伝説のドイツ人バーテンダーが

認めた新宿の天才バーテンダー

 

伝説のバーテンダーと呼ばれる、現在76歳の現役ドイツ人バーテンダー、チャールズ・シューマン。ヨーロッパではホテル以外にバーがなかった1982年、ミュンヘンのマキシミリアン広場にバーを開き、格式あるバーはホテルにあるものという既成概念を打ち破った革命児として知られています。氏の独創的な視点が盛り込まれたカクテル本は世界のバーでバイブルとなり、世界中のバーテンダーから慕われる存在に。4月21日には「シューマンズ バー ブック」というドキュメンタリー映画の公開も迫っています。映画の中でシューマン氏は世界のベストバーを巡り、その足は日本にも向かいます。銀座のオーセンティックなバーで熟練のバーテンダーの店を行くシューマンですが、唯一30代の若きバーテンダーの店も訪れます。それが新宿のとあるビルの中にある「バー ベンフィディック」です。

出典:kanzanさん

 

オーナーの鹿山博康氏は2013年に独立してお店をオープン。自らが持つ農園から摘んだハーブを使用したカクテルや、古典をひもといて作成するカクテルなど、独創的なスタイルが話題となり、瞬く間に世界のベストバー入りを果たした若き天才のバーです。その鹿山氏がバーテンダーを始めたときに書店で手に取った本も「シューマンズ バー ブック」だったそうです。

出典:kanzanさん

 

そして3年前、あるドイツ人バーテンダーが「ベンフィディック」を訪れ、シューマン氏にこのお店のことを伝えたのがきっかけで、ある日ふらりとシューマン氏本人が現れ、以降親交を深めているといいます。そんな伝説のバーテンダーをも魅了するカクテルの中でも、鹿山さんらしさが表れているのが「グリーンネグローニ」です。


一般的なネグローニはジンにヴェルモット、カンパリが入った赤いものですが、グリーンネグローニは半透明のカクテル。中にはジンとリレ ブランというフルーツリキュールをブレンドして熟成したワイン、そこに“黄色いカンパリ”と呼ばれる「スーズ」というリキュールを合わせ、モミのエッセンスを加えた爽やかなネグローニです。

グラスの淵にはカモミールとミント、シュガーを合わせたものをつけ、デコレーションには鹿山さんの農園から持ってきたモミが飾られます。カクテルを口に運んだ瞬間に圧倒的な緑の香りに包まれ、感覚を遠い場所に運びます。飲みやすいだけでないすこしクセのある味わいが鹿山さんのカクテルならではです。海外のゲストバーテンディングでも提供されたというこのカクテル。日本人バーテンダーの創作したカクテルが海外の人々も驚かせたことを思うと誇らしい気持ちになります。世界のバーラバーを虜にする味わいは、ぜひ新宿でご体験ください。