和の心を感じるコースの逸品をご紹介
コースは月替わりで内容が変わるが、茶懐石になぞらえてご飯の「煮えばな」を出すところからスタートする。食事やデザートまでの13~14品のコースは44,000円~。食材や料理の良さもさることながら、石田さんの料理は盛りつけの美しさも必見だ。流れるような模様が美しい雪月花の器に盛られたお造りは、サザエの形の醤油皿も印象的だった。
脂がのった大きなさばを使った「焼き鯖棒寿司」はコースの一品としても定番。酢飯にごまを加え、大葉を挟んで巻いているので噛めば爽やかな香りが広がる。寒くなると益々さばが太っておいしくなるという今が旬だ。予約すれば持ち帰りも可能だという。
圧巻の美しさの八寸!
懐石料理の八寸は、最近は前菜としてコースの初めに出されることも多いが、こちらでは茶懐石の形式で食事の前に提供される。季節の走りから名残りを表すストーリーを盛り込んだダイナミックな八寸が目の前に登場すると、その細かな造り込みの美しさに驚かされる。晩秋のこの日は、錦秋・五穀豊穣がテーマで、彩り美しい秋の気配が見事に再現されていた。
〆のご飯まで贅沢に
八寸の後に続く食事は、白飯と、〆のご飯の2種類を用意している。この日は自家製のからすみをたっぷりとのせたからすみご飯が登場した。このときに自家製のご飯のお供も6種類がずらりと並び最後まで楽しませてくれる。
絶対に喜ばれるお土産も用意
ご飯の友として提供される、珍味類6種類は瓶詰をお土産で買うことが可能だ。京田辺市の一休寺で作られる「一休寺納豆」2,200円のほか、「桜えび茶漬けふりかけ」3,300円、「黒毛和牛しぐれ煮」3,850円、「北海いくら醤油漬け」4,400円、「山椒ちりめんじゃこ」2,750円、「自家製からすみパウダー」5,500円など、どれも逸品ばかりで目移り必須だ。
移転して、店の設えにも益々の気品が加わった「膳司 水光庵」は、料理と共に日本文化を教えてくれる唯一無二の貴重な一軒。ここでは料理をただ味わうのではなく、日本料理の心を知り、日本人としての奥行きを磨く時間を過ごすことができる。和食好きならずとも、一度は足を運んでみたい名店である。
※価格はすべて税込