コラーゲンたっぷりで油不使用! 地鶏のコクが染み出た完飲必至のラーメン

 

秋山さん

焼鳥も料理もどれもおいしくて満足した後に、〆のラーメンを食べてそのおいしさに、焼鳥店で出てくるラーメンのレベルじゃない!と驚いたのを覚えています。今まで食べた〆のラーメンは「かけそば」「鶏中華そば」「冷やしかけそば」「鮎と鶏の冷やしそば」など、その時々で違うラーメンのそれぞれのスープに合った麺になっています。

「やきとり まさ吉」時代から15年以上、ラーメンを作り続けている児玉さん。実は以前、有名ラーメン店で醤油ダレの仕組みや使い方など、ラーメン作りの手ほどきを受けたこともある。東洋水産主催のマルちゃん「Ramenグランプリ」異業種部門で、ファイナリストに残ったことからもその腕の高さがうかがえるだろう。そんな児玉さんが今特に情熱を注いで作り上げているラーメンが、冬季限定の「にごり中華そば」(単品880円)だ。

まずは「にいがた地鶏」のガラ6羽分をゆっくりと炊いた透明なスープを作る。そして別鍋で瀬戸内産の煮干しと羅臼昆布を85℃の低温で炊き、途中で鰹節を足したスープを作り、先ほどのガラスープと合わせる。このスープは、通年人気の「〆のラーメン」(単品690円)のベースだ。

「にごり中華そば」はさらに一手間かけている。「にいがた地鶏」の鶏皮を使い4時間ほどかけてスープを炊き、鶏油を取り除いてから冷まし、フードプロセッサーでかき回したコラーゲンの塊をベースのスープに投入し、ホイッパーで溶かしている。「にいがた地鶏」の鶏皮で出汁を取った博多豚骨ラーメンのような見た目をしたスープなど、ここ以外に存在しないだろう。

 

秋山さん

鶏出汁がベースで、具材に合わせたスープで、温かくても冷たくてもらーめん専門店顔負けのおいしさです。

麺は京都「麺屋 棣鄂(ていがく)」の、しなやかでやわらかい細麺ストレートを1人前で40グラム使用する。特注の小さなラーメン丼にスープと麺を合わせたら、鶏のチャーシューと鶏そぼろ、九条ネギ、柴漬け、姫なるとをトッピングし、胡椒を回しかけ、有明海産の海苔をのせ完成だ。

スープはトロッとしていて、鶏白湯と博多豚骨ラーメンを足したような食べ応えがある一方で、油不使用のためかくどさや重たさがなく体にスッと染み入っていく。「にいがた地鶏」の皮のコクで食べさせにくるポタージュのようなスープだ。コラーゲンたっぷりで滋養豊富、地鶏の滋味深い味わいに、ラーメン好きならずとも完飲してしまうはず。

トッピングの鶏チャーシューと鶏そぼろは「越の鶏」で作っている。鶏チャーシューはモモ肉を焼鳥ダレに2、3回漬けながら網を使い炭火で焼いているため、香ばしく甘い味わいでやわらかい。鶏そぼろはシンプルな作り方だが、モモ肉だけでなくヤゲン軟骨も使い食感と味わいにリズムがある。柴漬けの酸味とコリコリ食感、九条ネギの清涼感もいいアクセントだ。

 

秋山さん

具材も中華そば的に鶏チャーシューやうずらの味玉や海苔やなるとがのっているときもあれば、「羅臼昆布と伊吹産煮干しの冷やし塩ラーメン夏野菜添え」の時は鶏チャーシューと夏野菜が別皿にきれいに盛り付けられていたり、「鮎と鶏の冷やしそば」の時は鮎の頭がドーンとのっていたり、目にも楽しく、おいしいです。

コースの最後に登場する「自家製プリン」(単品590円)も専門店顔負けの本格派だ。山形県産の紅花たまごと砂糖、タカナシの乳脂肪分47%の生クリームと牛乳をミックスして作り上げたオレンジがかったプリンは、しっかりビターなカラメルソースが濃厚な卵の味わいを引き立たせている。レトロ可愛い見た目と上質な味わいで、手土産として買って帰る人も少なくない。

食べて数日後も思い出してしまうほど、唯一無二の地鶏ラーメン。この冬に何度もお世話になりたい匠の一杯だ。

※価格は税込。

文:中森りほ、食べログマガジン編集部
撮影:佐藤潮