モチモチ&ジュンワリな焼き餃子に、上海名物の黒チャーハン

 

山本さん

焼き餃子はうまみがしっかり詰まっていて、餃子好きとしてはやはり外せません。

一般的に上海の焼き餃子の具は肉のみというが、夏シェフは日本人の好みに合わせ野菜をたっぷり配合したオリジナル餃子を作り上げた。餃子の皮は強力粉や小麦粉、水の配合から生地のこね具合や延ばし具合まで細かにオーダーした特注品で、モチモチとした食感が特徴だ。餃子の具は、豚の正肉と脂を7:3の割合で合わせてひき肉にして手作業で刻んだキャベツとニラを合わせ、オイスターソース、醤油、ごま油、自家製調味料と自家製ネギ油、刻んだショウガ少々と自家製のだしスープ・高湯(かおたん)で味付けする。手包みした餃子は油を引かずに鉄板に並べ、水をかけて蓋をして7分強火で蒸し焼きにして、その後蓋を外し、水を捨てて、自家製ネギ油をかけて2分火入れしたら完成だ。

「焼き餃子5個」550円

高湯も入ったジューシーな焼き餃子のため、最初に端を小さくかじり、そこから小籠包のようにスープをすすっていただこう。肉汁だけでなく、野菜の滋味も溶け出たスープがじんわりと口の中に広がる。その後、何も付けずに餃子を頬張る。すると、シャキシャキとしたたっぷりのキャベツとニラ、豚ひき肉のうまみが端正なバランスで混ざり合う。焼き餃子に求める食べ応えやパンチがありつつも、食後感がジャンクではないのは名門ホテル出身シェフゆえだろうか。

 

山本さん

普通にラー油酢醤油で食べてもおいしいのですが、酢こしょうとの相性も良さそうで、まだそれはやったことがないので今度やってみようと思います。

山本さんはラー油や酢醤油につけて食べるのがお好みということだが、先述した「よだれ鶏」のタレを餃子にかけて味変するのもおすすめだ。

飯ものとして必食なのが、黒チャーハンこと「醤油チャーハン」だ。中国には主に6タイプの醤油があるが「醤油チャーハン」ではカラメルを加え濃縮させた塩気が薄く少し甘さのある「老抽」という醤油を使う。主にトンポーローなどの煮込み料理に使われる醤油で、上海ではこの「老抽」を使った黒チャーハンが有名だという。

「醤油チャーハン」1,100円

「中華料理好又香」では炊いた日本米に卵と刻んだネギ、細切れの豚肉を老抽や胡椒で味付けしながら中華鍋で炒め、仕上げに特製ネギ油で香りを立たせて作り上げる。ソース焼きそばのように真っ黒な見た目とは裏腹に塩気は強くなく、油膜を張って一粒一粒パラパラのチャーハンは、芳しい醤油の香りと純朴なうまみでしみじみとおいしい。シンプルな料理だからこそ、真っ当に中華の基礎を積んできた夏シェフの腕の高さを感じられる一品だ。

 

山本さん

パラッと炒められたご飯の食感がおいしい!

住宅街に佇む気さくな中華料理店でありながら、一品一品丹精込めて作られた料理に感嘆してしまう「中華料理好又香」。料理のポーションが大きいので、ぜひ数人で連れ立って団欒を楽しんでほしい。

※価格は税込・サービス料別。

撮影:佐藤潮
文:中森りほ、食べログマガジン編集部