〈これが推し麺!〉

ラーメン、そば、うどん、焼きそば、パスタ、ビーフン、冷麺など、日本人は麺類が大好き! そんな麺類の中から、「これぞ!」というお気に入りの“推し麺”をご紹介。そのこだわりの材料や作り方、深い味わいの秘密に迫る。

今回訪れたのは、ライター大石智子さんがおすすめする「チャイナルーム」。暑い日に食べたくなる、ピリ辛麺をご紹介。

教えてくれる人

大石智子

出版社勤務後、フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、毎月海外に渡航。バー巡りも欠かさない。スペインに行く頻度が高く、南米も好き。拠点は東京だが地元である静岡にも毎月滞在し、主に中部エリアを食べ歩く。柴犬愛好家。Instagram(@tomoko.oishi)

きめ細かなサービスとエキゾチックさが融合したホテル中華

今年、開業20周年を迎えた「グランド ハイアット 東京」。その開業時から長く親しまれている中国料理店が「チャイナルーム」だ。ホテル内のレストランが4軒集まる6階に位置し、入口前は風の通る解放的なテラス。入店前から外の喧騒を忘れられる。

テラスの突き当たりにある大きなゲートをくぐって入店する
 

大石さん

1階のレセプション裏のエレベーターから6階に上がると、和食店に寿司店、ステーキハウスを横目に見ながらテラスを歩くことになります。どのお店もガラス張りだから店内の雰囲気が伝わってきます。20年変わらないホテルの賑わいを感じながら入店するので、自然と気分が上がりますね。楽しそうにしている人が多いから、それが伝播します。

内装を手がけたのは世界的に活躍するインテリアデザイナー、トニー・チー。深紅をテーマにした中洋ミックスの造りで、邸宅のような寛ぎ感もあり。93席と広く個室も充実しているので、あらゆるシーンに対応する。デートなら半個室がおすすめだ。

全93席。半個室3室、個室3室を用意する

アイデア豊富なシェフが生みだす「季節限定メニュー」が見逃せない

料理長の小池克昌さんは中国料理歴25年。物心が付いた頃から中国料理が一番好きで、高校卒業後に横浜中華街の「聘珍樓」で働き出した。2007年に「チャイナルーム」に加わり、2015年に料理長に就任。「チャイナルーム」では中国各地域の要素が入り混じるが、小池さんによるとハイアットの料理人だからこその経験が生きているとか。

「中華圏のさまざまな地域にホテルが展開されているので、グループ内のシェフとのコラボレーションを通してアイデアを得ることもあれば、レシピや食材を教えてもらうこともあります。コロナ前は毎年1回コラボを行っていて、これまでは香港、北京、台北など。いま再開して来年3月にパーク ハイアット 上海のシェフが来日予定です。うちで出している四川麻婆豆腐は、グランド ハイアット 深圳の四川料理のシェフに教えてもらったレシピなんですよ」

1971年神奈川県生まれの小池克昌さん。世界のハイアットで気になる中華のシェフに自らコラボのリクエストを出し、現地に赴くこともある

外からの刺激を受けながら料理を続ける小池さん。シーズンごとに季節限定メニューを考案するのもホテルシェフの仕事だが「僕はすごくやりがいを感じていますし、楽しんでいますね」と、軽やかな雰囲気だ。

 

大石さん

夏季限定メニューは、これおいしいから来年も食べたいな〜と思っても本当に1シーズンで終わってしまうから、気になったら行った方がいいです。私はいまだに2019年の唐辛子を練り込んだ麺を使った“担々冷麺”を食べたいと思っています(笑)。そんな夏のヒット作を生み出す小池さんは、大手ホテルというスタンダードに落ち着くこともある場所で、ちょっと攻めたユニークな料理を生み出し続けています。海外のシェフとの交流もあって好奇心の強さを感じますし、本当に中国料理が好きなんだろうなということが伝わってきます。