〈これが推し麺!〉
ラーメン、そば、うどん、焼きそば、パスタ、ビーフン、冷麺など、日本人は麺類が大好き! そんな麺類の中から、食通が「これぞ!」というお気に入りの“推し麺”をご紹介。そのこだわりの材料や作り方、深い味わいの秘密に迫る。
今回訪れたのは、グルメジャーナリストの東龍さんがおすすめする「ANAインターコンチネンタルホテル東京」内の中国料理店「花梨」。今年登場したばかりの新作冷麺をご紹介します。
教えてくれる人
東龍
1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方や飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。
30年以上続く「ANAインターコンチネンタルホテル東京」の中国料理店「花梨」
世界的ホテルチェーンのIHGが展開するラグジュアリーホテルで、赤坂・六本木・霞が関まで各徒歩圏内に立地する「ANAインターコンチネンタルホテル東京」。このホテルの3階に、前身の「東京全日空ホテル」時代から37年続く中国料理「花梨」はある。医食同源、多種多彩という中国料理の食思想を基本に、日本人の繊細な味覚に合わせた料理を提供する本格的中国料理レストランだ。広東料理を中心に上海、四川、北京、潮州、そして、香港の新しい味覚にも常に目を向け、本場の味をバラエティ豊かに取り揃えている。
創業時から人気の「海鮮と野菜のスパイシーガーリック」は、香港の漁師料理である「避風塘(ベイフォントン)」を日本人の舌に合うようアレンジした「花梨」オリジナルだ。
食材に細かく砕いて揚げた豆豉や、生のチリペッパーをまぶすのが一般的なベイフォントンだが「花梨」ではたっぷりのエシャロットとニンニク、干しエビ、一味で仕上げたスパイシーフライドガーリックをまぶしている。メインとなる食材も現地で一般的なシャコではなく、ズワイガニや特製のエビ団子、メロウという魚に、季節の野菜を用いているのも特徴だ。
食材は食感、味わい、香り、色合いがベストとなるようそれぞれ塩、胡椒、豚の背脂や卵白など異なる下味が施されている。その後片栗粉を軽くまぶして白絞油で揚げ、鍋に戻して紹興酒で余分な油を落としつつ香り付けをして、最後にスパイシーフライドガーリックをまぶす。スパイシーフライドガーリックもニンニクだけだと重く仕上がってしまうというが、ニンニクよりも多くエシャロットを使用することで後味にキレがあり、夏でもくどさを感じずに食べられる。干しエビのうま味や一味のスパイシーさが、ビールを誘う一品料理だ。