鈴木 俊男氏のおすすめ4軒

いつも奥様と連れだって外食を楽しむという鈴木氏のお気に入りは、すべて和食店。その多くは下町にあり、どこか懐かしく、ほっとくつろげるのが共通点。店主との世間話を楽しむ店もある。

ディナーのおすすめ①光寿司 東向島店

「素材が良いのに良心的な値段とお客様から紹介されて、実際行ってみたらとてもおいしくて」と鈴木氏が教えてくれたのは「うなぎ魚政」と荒川を挟んで位置する人気の町寿司「光寿司 東向島店」。東向島店とあるのは、店主が修業した浅草の店(閉店)からのれん分けしたためだ。

Hitoshi N
店は東武伊勢崎線 東向島駅から徒歩4分の住宅街に   出典:Hitoshi Nさん

鈴木氏が奥様と初めて足を運んだのは、浅草で行われた昭和歌謡の音楽コンサートの帰り。「大将が音楽好きで、私と世代が少し近かったようで、グループサウンズとか懐かしい音楽の話で気が合って会話が弾みまして」と鈴木氏。店内にギターが置いてあり、弾き語りをしてくれることもあるという。

生レモン
気さくな大将との会話も楽しいカウンター   出典:生レモンさん

カウンター10席のほか1階・2階の座敷席、個室を含めて55席、キャパシティーの大きな店だ。店は夫婦2人で切り盛り、気軽に行かれるまさに町寿司といった雰囲気だ。「熟成とか今風のお寿司ではなく、昔ながらのお寿司屋さんという感じですが、そういうお寿司もいいなと思います」と鈴木氏。

おぼうちゃま
特上にぎり(写真は2人前)。鈴木氏が特に好きなのはマグロ中トロや車エビ   出典:おぼうちゃまさん

鈴木氏が座るのはカウンター席。「その場でネタを見て食べたいものを頼んで、せがれのお土産に持ち帰り用の特上寿司も頼みます。魚の煮付けなど、日替わりの居酒屋さんのようなメニューもあって、どれもおいしいですよ」

実は鈴木氏、店の大将に自身の素性は明かしておらず「きっと今も知らないのでは」という。ほっとくつろいで、気さくな会話を楽しめる時間を大切にしているからかもしれない。

・にぎり、一品料理、お土産 予算~10,000円以下

ディナーのおすすめ②鳥しき

鈴木氏がディナーの2軒目に挙げてくれたのは「The Tabelog Award」や「食べログ 焼き鳥 EAST 百名店」の常連店、目黒の「鳥しき」。「この串は一生に一度だけのもの」を意味する“一串一生”を掲げ、日本の焼き鳥界をリードする「鳥しきICHIMON」の代表・池川義輝氏が店主を務める予約困難な店である。

Rajah
いなせな佇まいで焼き場に立つ店主の池川氏   出典:Rajahさん

「うちによく来られるお客様が『鳥しき』さんの常連さんで、それがご縁で予約して伺いました。周りの人に細かく気遣いしてくれる大将です」と鈴木氏。店内はコの字形のカウンター12席。「世間話をしながら目の前で焼いてくれます。煙を吸い取っているのか店内はもくもくではありません」

komug710
歯ごたえしっかり、肉の旨みが濃いヒザ   出典:komug710さん

専用農家が育てた銘柄鶏・伊達鶏を紀州備長炭で直火の強火で焼き上げ提供、くさみのないジューシーな味わいが特徴だ。焼き鳥はお任せコースのストップ制。「大将がいろいろな部位を焼いて出してくれますが、とにかく種類が多くて、いつも15本は食べますね。ヒザなどの珍しい部位も楽しめるんです」

カフェモカ男
焼鳥弁当   出典:カフェモカ男さん

「せがれもいるし、うちに帰ってからも楽しめますから」とお持ち帰りでお願いするのは「焼鳥弁当」。ご飯の上には鶏そぼろ、かしわ、せせり、つくね、白玉(ウズラの卵)、オクラ、椎茸が盛りつけてあり、追いタレも。注文する人が多いのもうなずける。

・お任せコース、焼鳥弁当 予算:10,000~30,000円

ランチのおすすめ③上野藪そば

ランチの行きつけ1軒目に教えてくれたのは、明治25(1892)年創業の老舗「上野藪そば」。「更科蕎麦」「砂場蕎麦」と並ぶ「藪蕎麦」は江戸のそばを代表する三大系統の一つで、本家である「かんだやぶそば」からのれん分けされた店だ。

h.flo311
JR上野駅、京成上野駅からすぐ、行列ができていることも珍しくない   出典:h.flo311さん

「有名な老舗そば店の中には、大盛りはない(たくさん食べたい場合は追加注文が推奨のため)、お茶は出さない(そばが打ちあがるまで酒を飲んで待つ慣習があったため)という“通向き”なお店もありますが、ここはそんなこともなく、一般的なおそば屋さんのように楽しめます」

日々泥酔
満足度の高い「天せいろう大盛り」   出典:日々泥酔さん

1階はカウンター席、2階はテーブル席。鈴木氏のお気に入りは「天せいろう」の大盛り。「そばは食べなれているような昔風のそばで食べやすく、天ぷらは大きめの車海老2本とししとう、谷中生姜とすだちの皮が添えられています」

けろたん55
「玉子厚焼き」や「板わさ」などの一品料理も充実している   出典:けろたん55さん

「上野に散策に出かけて、ここでそばを食べて、近くの『みはし』でクリームあんみつを食べるのがお決まりのコース」と鈴木氏。お気に入りルーティンがあるのもいいものだ。

・コース料理 予算:~2,000円台

ランチのおすすめ④丸五(まるご)

ランチ2軒目のおすすめは「食べログ とんかつ 百名店」の常連店でミシュランのビブグルマンに選ばれている「丸五」。秋葉原電気街のはずれにあり、遠方から多くの客が押し寄せる予約不可の人気店だ。

けいこ52108
渋みのある木製のメニュー看板などなかなか味わいのある店構え   出典:けいこ52108さん

「お客様からとにかく行列がすごいと聞いていたので、昼の営業が終わるちょっと前に行くようにしています。そんなに並ばずに入れます」と鈴木氏。

SAO☆
2階には昔懐かしい自在鉤が吊るされたテーブル席も   出典:SAO☆さん

ごま油の香りが漂う店内、1階はオープンキッチンのカウンター席、落ち着いて過ごせる2階には相席で座るようなテーブル席もある。「2階に上がる階段が少し急で、全体にどこか懐かしい感じがする造りです」

YamaNe79
分厚く、みずみずしい断面の「特ロースかつ」   出典:YamaNe79さん

肉質のやわらかさと脂の甘みを吟味した豚肉はジューシーで、脂のしつこさもなし。ご飯やキャベツが少なくなると、スタッフがお代わりの確認をしてくれるのもありがたい。

鈴木氏がよく注文するのは「特ロースかつ」。450円プラスでご飯、赤だし、お新香が付いた定食になる。「かつがとにかく分厚くて、食感も絶妙、クセもなくとても食べやすいんです。妻は『天然バナナ海老フライ』がお気に入りです」

・おまかせコース 予算:2,000円台~3,000円

※価格はすべて税込です。

取材・文:池田実香(フリート)