こなから
北海道を訪れた際にふらりと行きたくなる店は?
そうマッキー牧元さんに問いかけると開口一番に出たのが、札幌市にある「こなから」。
マッキー牧元さんの心をつかんだ、心温まる居酒屋メニューを紹介していこう。
「こなから」に来ると、いつも悩む。品書きを眺めながら「むむう」と、悩む。品書きの一つ一つが「おいしいよ。食べてごらん」と、誘ってくる。
優れた居酒屋とはこうでなくてはいけない。
ご主人・小割さんは、根っからの料理人なのであろう。コロナ前の2人でやってらっしゃった時は、本日のおすすめを含む料理が、ざっと50種類あった。それを2人で仕込み、調理されていた。今はお一人でやられているため、30くらいの料理数になったが、それでも多い。しかもすべての料理が、もう料理名だけで魅了するのだから困っちゃう。
「もう少し皿数を絞った方がいいのかなと思うんですが、こんなの入ったよと電話がかかってくると、人にとられたくなくて、料理がしたくて、つい買っちゃうんです。市場だけでなく、浜も行くので、寝る暇なくなっちゃうんです」と、小割さんは嘆くが、どこかうれしそうだった。
しかもどれも季節感と個性に富んでいて、酒飲みと食いしん坊のツボをちくちく刺激する。
さらに酒の揃えもいい、燗のつけ具合もいいと、大変危険な店なのである。5月に行った際も、数々の料理に目を丸くし、相好を崩した。同席した連れと「うまいねえ、ちきしょう」と言い合いながら、銘酒を何杯もかわした。
冒頭の突き出しで心をつかまれる
突き出しからしていい。「なすの煮浸しのやまいもがけ」は、汁がしみたなすの甘みと山芋の優しい甘みが共鳴する。
店の心意気を感じたいなら、この品をオーダーせよ
まず頼んだのは「葉わさび醤油漬け」「カブときゅうりの浅漬け」「自家製ぬか漬け」である。野菜料理、特にぬか漬けを頼むと、その店の姿勢がわかる。
うむ。今夜もいい。
古漬けのキュウリやみずみずしいカブで、口をリフレッシュさせる。
新鮮なお造りはオーダー必須!
続いて、遠くまで買い付けに行ったという、カワハギやシャコのお造りで、一合は飲める。
つい酒が進んでしまう、逸品料理たち
「自家製ホタテかまぼこ」という珍しいものを見つけた。聞けば、自分ですり身にして揚げたのだという。さつま揚げ風のそれは、ホタテの自然な甘みが生きていて、何もつけずとも酒が恋しくなる。
さらに「石狩かずのこ旨出汁漬け」に惹かれて頼めば、焼き海苔と鰹節が一緒にのせられている。出汁漬けになったかずのこを、海苔で巻いて食べろというのだな。これまた酒が進んで困るなあ。
さらに「鰯の梅煮」を頼めば、これが上出来で、パサつくことなく、しっとりと、濃く煮えているではないか!