定食王が今日も行く! Vol.27

メニュー名が大学名!“元受験生”のファンも多い洋定食店

 

受験生、浪人生の聖地

代々木で45年間、応援しつづける

 

12月は受験生にとっては正念場、街中でも赤本(と今でも呼ぶのだろうか?)をにらめっこしている学生たちを、カフェや電車で見かける。もう数十年前の話になるが、彼らの姿を見ると心の中で応援してしまう。代々木ゼミナールの本社があり、受験生や浪人生の聖地でもある代々木で、学生たちを45年以上応援し続ける洋定食屋が「しょうが亭」だ。

 

 

看板にも「代々木名物 大学定食」とある。丸ゴシックロゴに、昭和の漫画のような懐かしさを感じる。少子化が進んだり選択肢が増えたことで、昭和の「受験戦争」という言葉を耳にすることはなくなったが、学生たちが真剣勝負であることに変わりはない。

 

 

そしてこの店の名物は、志望校にちなんだそれぞれの大学の名前がついた「大学定食」だ。まずは6大学定食。東京大学は6大学の頂点ということ、最上級のヒレカツに煮物、豚のしぐれ煮、おしんこ、サラダ、味付玉子の6品目定食。明治大学はバンカラとかけて、唐揚げ。早稲田大学だけは牛肉メニューだったが、BSE問題の時に“休学”してしまったため。5大学のままになっているそうだ。

 

 

日本大学はエビフライが2本と生姜焼き。女子大にはチキンハンバーグなどヘルシーメニューが採用されている。成績を“上げる”にかけて、揚げ物が多いメニュー構成になっているなど、ちょっとしたダジャレを探すのもおもしろい。

 

 

一口食べたらご飯が止まらない!

創業時からの名物しょうが焼き

 

今でこそ大学定食が名物だが、実は洋食店として創業したそうだ。受験生が多く来店するようになってから、今のメニューを考案して洋定食屋として発展したという。「しょうが亭」の名前からもわかるように、創業当時からの名物は、なんといっても「しょうが焼き」だ。

 

 

食材はすべて国産で、豚肉やしょうが自体も例外ではないそうだ。肩ロースをたっぷりタレにつけこんだ濃厚な味わいは白飯がすすんで仕方がない。しょっぱめの醤油にしょうがを利かせたタレだからこそ、豚肉の脂の甘みをほんのり感じる。

 

タレに使うしょうがも、ただおろしただけではなく、手仕事で細かく刻み、ミキサーにかけて滑らかにしているという。

 

 

お袋の味を懐かしんで

多くの世代がお弁当を求めて集う

 

受験生・浪人生の胃袋を満足させてきた、代々木の食堂といっても過言ではない「しょうが亭」。お弁当でのテイクアウトも可能だ。お客さんは学生だけではなく、近所で働くサラリーマンやご近所の方々など幅広い世代の人たちで賑わっている。丁寧な仕事だけで、家で食べるような洋食に心も胃袋もあったかく、幸せな気分になる。価格も1000円以下のものが多く、財布にも優しいのがまたうれしい。

 

受験生気分を思い出しながら、自分の母校の大学定食や、しょうが焼き定食を味わってみてはいかがだろうか。