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食通が見いだした今月の新店
新型コロナウイルスの流行により苦戦を強いられていた飲食店は、少しずつ元の活気を取り戻し始めています。私たちも我慢の連続から少し解放され、おいしいものを食べて明日への活力に、そして、飲食店をより盛り上げて行きたいですね。
そこで、グルメ情報に精通している方々に、最近訪れた新店に関するアンケートを実施。特に注目している「今月の新店」について教えていただきました。
今回は、フードパブリシストの高橋綾子さんにお答えいただきます。
教えてくれる人
高橋 綾子
フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレスとして従事した中で肥えた“食”へのこだわりは、その後の素晴らしい人々との出会いと相まっていつしか人生そのものに。その間に培った食のデータと人脈を武器に“喜ばれるレストラン”の発掘に勤しむ日々。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。
今月のベストワン
Q. 直近で行った新店の中で、特におすすめしたいお店を教えてください
A. 「リストランテ エボルタ -ウニコ ポーロ-」です
5月16日開業の「三井ガーデンホテル横浜みなとみらいプレミア」のロビー階である20階に誕生したのが「リストランテ エボルタ -ウニコ ポーロ-」。なんといってもロケーションが素晴らしいのです。ランチやアフタヌーンティーには青い海と空、ディナーではみなとみらいのキラキラした夜景が目の前に広がり、席に着いた瞬間からワクワクが止まりません。
そんな素敵な空間でいただく9皿のディナーコースは地元の食材を世界各国のスパイスで味付けしたイタリアン! 言葉で聞くと奇をてらっただけの料理かと思われるかもしれませんが、イタリアの星つきリストランテで修業し、帰国後はサローネグループで統括料理長、オープン間も無く人気店となった神宮外苑「リストランテ&バー エボルタ」で料理長を務めた高見博史さんが腕を振るうとなれば味は保証されたも同然、むしろ期待感しかありません。始まってみればアミューズから期待以上! 見た目はれっきとしたイタリアンなのに味の膨らみや香りに異国を感じる斬新さに頬は緩みっぱなしでした。
圧巻は和食のように〆ごはんとして登場したスペシャリテの「ラビオローネ 赤牛のパルミジャーノ」。ナイフを入れたとたん溢れ出した卵黄がバターソースと混ざり合ったところに、リコッタチーズとほうれん草が入ったラビオローネをたっぷりと絡ませるのです。さらに赤牛のパルミジャーノチーズが濃厚さに拍車をかけ、最上級レベルの“こってりうまい味わい”にお腹も心もとろけてしまいました。このディナーコースがなんと8,470円という破格のプライス。ホテルなのでランチもアフタヌーンティーも楽しめ、同じフロアーには「バー ベッロ ガッティ」も併設。花火は目の前にあがると言うし、もうリピート決定ですね。
Q. そのお店でおすすめしたいメニューを教えてください。また、おすすめの理由を教えてください
A. 「ピーチ 兵庫産ホタルイカのラグー つるむらさき 五香粉」(8,470円のコース内)です
スペシャリテの「ラビオローネ」に匹敵するおいしさだったのが「ピーチ」でした。高見シェフのパスタ料理は定評がありますが、蛍烏賊と五香粉を組み合わせてイタリアンに昇華させたのは見事。イメージソースはモダンチャイニーズだったとのことですが五香粉の複雑で後を引く香りがこんなにもパスタと合うなんて新発見でした。有田焼の器に盛り付けるセンスも好きです。