「食べログ グルメ著名人」で渋谷区初のCEO(Chief Eat Officer)を務める小宮山雄飛さんに、デイリー使いできて満足度も高い、東京の“料理がおいしい酒場”を教えてもらう連載! 第5回は、数々の飲食店が軒を連ねる新橋で人気の焼鳥店「地鶏屋」のおいしいポイントを教えてもらいます。
【東京メシうま酒場 vol.5】「地鶏屋」
会社員の聖地、居酒屋の激戦区でもある新橋で、もうすぐ30年という焼鳥屋さんが地鶏屋。
「食べログ 焼鳥 百名店」にも2度選ばれている人気のお店です。15時オープンというのも、酒飲みにはうれしいかぎり!
特筆すべきは1階2階、両方にある焼き場。2階建て以上のお店でも、一つの焼き場で焼いたものを別の階に運ぶ店がほとんどですが、こちらでは焼鳥をできるだけ焼き立てで提供したいと、2階には2階専用の焼き場を作ったというから、焼鳥への愛を感じます。
元々、ご主人のご実家が砂町銀座の鶏肉屋さんだったそうで、今でも砂町銀座の作業場と新橋の店舗で、鶏を一羽の状態からさばいているから、これだけ豊富な種類と希少部位がそろうのだそう。焼鳥好きなら、見ているだけでワクワクするメニューです。
肉厚の鶏肉がゴロゴロ入っているシーザーサラダは、言うならば酒のツマミにもなるサラダ。お肉と一緒に野菜もしっかりとれるのがうれしいです。
焼鳥は、初めての人には「地鶏屋特製6本盛り合わせ」2,288円がおすすめ。タレ・塩もお店にお任せするのが良いでしょう。
まずは、いわゆる正肉から。
写真では伝わりづらいかもしれませんが、一本のサイズがすごく大きいんです!
千葉県産の「房総地どり」を使用していて、とにかく旨味が強いのが特徴。まずは塩だけのシンプルな味付けで、そのおいしさを堪能します。
続いてタレも。甘めの昔ながらのタレに、わずかな脂肪を含みつつあっさりした味わいのむね肉が合います。
大ぶりの肉で、この2本だけでもすでに「おいしい焼鳥食べた〜!」っていう満足感がめっちゃあります。
お店で一羽丸々さばいているからこその、こちらの名物がもつ煮込み。鶏肉の部位を余すところなく堪能できます。
甘めの味付けで、もつの臭みもなく、こんにゃくや大根など具材のバランスも絶妙です。
続いて、タレが香ばしいつくねとレバー。
合わせるのは赤ワイン! ビールもいいですが、僕は個人的にタレの焼鳥には赤ワインが一番合うと思っているのです。
レバー、おいしい!!
絶妙なトロトロの食感に濃厚な旨味。甘辛なタレと相まって、これは絶品です。そして、赤ワインとの相性もやっぱりバッチリ!
なんと、後で調べたら分かったのですが、このワイン、フランスの有名な醸造家のアラン・パレ氏(現在は息子のアントニー・パレ氏が受け継いでいる)が、来日した際に焼鳥のおいしさに感動して、焼鳥に合うワインをと造ったものだったのです!
なーんだ、そりゃー合うはずだ!(笑) タレとワインのマリアージュ、皆さんもぜひ。
6本盛り合わせ、最後はうずらたまごに手羽塩焼き。
この手羽がまたすごい大きさなので、比較対象として後ろに醤油を置いてみましたが、伝わるでしょうか?(いまいち分からなそうだな……)
とにかく香ばしくてジューシーな手羽を口いっぱいに思いっきり頬張れます。
ここで日本酒へ。おいしい日本酒を各種取りそろえている中でも、福井の蔵元から直接仕入れているという越前府中正宗は常時サービス価格で提供してくれているのでおすすめ!
6本盛り合わせを堪能したら、さらに食べたい部位を個別で追加注文。
僕がずっと狙っていたのはソリ。ソリとは、ももの付け根近くの筋肉で、皮と脂と肉の旨味のバランスが良い希少部位です。
その皮はカリッと香ばしく、間の脂はジューシー、さらに肉はしっかりした弾力と旨味があって、ほんとに美味。この一本に、焼鳥のおいしさがすべて詰まってると言ってもいいくらい。
日本酒にも合う合う。は〜、満足。
ということで、焼鳥のおいしさをしっかり堪能したところで、最後に大事なのは“おみや”、そうお土産です。新橋の会社員諸君、家に帰って「自分だけずるい!」と言われないためにも、しっかりお土産を買っていくというのが、焼鳥道の一部ですよ。
お土産には冷めてもおいしいそぼろめしがおすすめ。鶏肉の旨味のぎゅっと詰まったそぼろに温泉たまごをかけると、さらに味が濃厚になって最高です。
ちなみにこの日は、新橋には人が少ない土曜日だったにもかかわらず、15時のオープンと同時にお客さんがどんどん入ってきて、すぐに満席状態。新橋で愛され続けて、もうすぐ30年の名店です。
※価格はすべて税込