「食べログ グルメ著名人」で渋谷区初のCEO(Chief Eat Officer)を務める小宮山雄飛さんに、デイリー使いできて満足度も高い、東京の“料理がおいしい酒場”を教えてもらう連載! 第4回は、日本酒と和食の名店「大塚 みや穂」のおいしいポイントを教えてもらいます。
【東京メシうま酒場 vol.4】「大塚 みや穂」
おいしい和食と日本酒を落ち着いた雰囲気で、でもちょっぴり気軽に楽しみたい。そんな欲張りな要求に応えてくれるのが、大塚の名店「大塚 みや穂」。「食べログ 居酒屋 百名店」にも選ばれているお店です。
目の前に都電荒川線が通る風情ある場所で、店先には大きな杉玉。飲兵衛アンテナがピピピッと反応します。
店先・店内のダブル杉玉が表す通り、こちらのお店はお酒のラインアップにこだわった和食屋さん。
日本酒に精通する女将さんが、料理に合う日本酒をおすすめしてくれるので、日本酒初心者でも安心です。料理はもちろんアラカルトでも頼めますが、今回は酒飲みにうれしい「おつまみコース」4,800円を注文。
1品目はサラダから。これ、酒飲みに一番うれしいスタートなんですよ!
酸味が利いたドレッシングが美味。「とりあえず」のビールと合わせて、いわゆる口開きというやつです。ということで、準備万端でスタート。
さっそく、おいしそうな3品。いきなりかっぱ巻きというのも遊び心に満ちています。しかしこのかっぱ巻き、ただのかっぱ巻きではありません。生しらすをたっぷりのせた上から黄身醤油をかけた、ツマミになるかっぱ巻きなのです。
ねっとりとした生しらすにトロッと黄身醤油が絡んで、これはもうお酒が合うに決まっている、大人のカッパ巻き。さっそく日本酒を頼みます。
最初の一杯にと、女将さんが選んでくれたのが、山口県・阿武「鶴酒造」の三女子。山口県産のお米と麹にこだわった限定酒で、旨味があり、優しい口当たり。カッパ巻きと合わせてみると、黄身醤油のまったりとした味わいに、さらに旨味が重なっていく感じ。
うーん、幸せ。ホタテとゴボウの揚げ出しも、ホタテのエキスをたっぷり吸ったゴボウが美味で、1品目のさっぱりしたサラダから、一気に旨味全開のお料理への流れが素敵です。
お造りはその日の新鮮な魚を。本日は、生タコ・タコ吸盤・マツカワガレイ・本鮪・しめ鯖。
愛媛の熟成醤油の他、高知のたまり醤油と岩塩も。
生タコをレモンと岩塩でいただくと、プリプリの弾力で、噛むほどにじんわりと淡白な旨味が出てきます。カレイの王様とも呼ばれるマツガワガレイは白身なのに甘味があり、高知のたまり醤油との相性ぴったり。
しめ鯖は厚めに切られているのに、しっとりした食感で実に良い塩梅。ここはもちろん、さらにお酒をもらわなければなりません。
旨味のあるお刺身に合わせるのは、長野県の辛口特別純米酒・大信州。
お刺身の繊細な味と辛口のお酒が見事にマッチ。『美味しんぼ』の山岡さんだったら絶対「日本人に生まれてよかった〜!」って叫ぶ組み合わせですよ。
ここでちょっと変化球。
トマトとチーズを使った茶碗蒸し。和食店のこういう遊びって、一番うれしいやつです。
茶碗蒸しの上にとろけるチーズと甘いトマト。和風でもあり洋風でもあり、組み合わせの妙です。
ここにももちろんお酒を合わせます。
和洋折衷の一品には、お酒も対抗して力強そうな群馬県「龍神酒造」の龍神を。フルーティな旨味が濃厚なチーズにもよく合います。
おつまみコース最後の一品はお魚。大根おろしに山椒のソースがアクセント。
おつまみとしても成り立ちつつ、ボリュームもあるのでコースの締めとしても満足行く一品。
これにも日本酒を合わせましょう。
福島県「廣木酒造」の飛露喜。旨味がありつつすっきりしていて、ラストのお酒にふさわしい一杯。真っ当においしい和食と、日本中のおいしいお酒。実に贅沢な時間です。
酒飲みにうれしい「おつまみコース」、めちゃくちゃ大満足しつつも、こちらのお店の締めには絶対に外せない一品があるので、追加で注文。
それがこちら。
出たー!
黄金に輝く雲丹とご飯。生雲丹と、卵の黄身だけを混ぜたご飯の、黄金の組み合わせ。おいしくないはずがない。
卵の黄身だけを混ぜた、ねっとりとおいしいご飯の上に、濃厚な雲丹をON! つまりこれは山と海の贅沢TMG(卵まぜご飯)。通常の雲丹ご飯以上に、雲丹の旨味が口の中にまったりしっかりと残る、最高の〆ご飯。
山岡さんに代わって、改めて言いましょう。日本人に生まれて良かったーー!
お酒もつまみも〆ご飯も、日本食のおいしさをしっかり味わえる名店です。
※価格はすべて税込