〈New Open News〉
毎日、たくさんの新しいお店が登録されている「食べログ」。そんな「食べログ」のデータベースの中でも、オープン早々、高い評価の口コミがあったり、多くの「保存」をされたりしている『注目のお店』を食いしん坊ライターが紹介します。
songbook(東京・世田谷代田)
2022年11月12日、世田谷代田駅から徒歩4分ほどの場所に「薪火」をテーマとしたレストラン「songbook」がオープンしました。腕を振るうのは、ミシュランガイド東京でビブグルマンを獲得した日本橋兜町のイノベーティブフレンチ「Neki」のシェフ、西 恭平氏です。
西氏は、父も祖父も、父の兄弟も料理人という家系に育ち、京都調理師専門学校製菓部を卒業後、ホテルグランヴィア京都にて5年勤務。フランス地方料理を学ぶために渡仏し、帰国後、京都のビストロ、ホテルを経て、12年連続でミシュランガイド東京で二つ星を獲得し続けたグランメゾン「キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ」にて3年間勤務。2014年より渋谷「ビストロロジウラ」シェフに就任、ミシュランガイド東京で、5年連続ビブグルマンを獲得。2020年7月、日本橋兜町にイノベーティブフレンチ「Neki」をオープンし、同店にてミシュランガイド東京2022でビブグルマンを獲得しました。
今回オープンした「songbook」という店名は、アメリカの現代写真を牽引するフォトグラファー、アレック・ソス氏による写真集のタイトルから名付けたそう。写真集には写真と共にアメリカンミュージックの歌詞がテキストとして添えられ、被写体とテキストからくる音楽感が織りなすシュールな雰囲気が、今回目指すレストランの姿のインスピレーションとなったそうです。そこから、レストランでありながら食だけではなく、音楽やファッションなどの様々なカルチャーの要素を取り入れた「リミックスされた空間」が生まれました。
店内は白を基調とし、ナチュラルで落ち着いた雰囲気。アールを描いたカウンターなど、こだわり抜いてデザインされ、窯の中でゆらめき燃える薪火が、ゆったりとした時間を演出しています。お店の顔となる薪火のための窯をメインとした内装は「wineshop flow」や「Kabi」など数々の有名飲食店を手がける長田篤氏が担当。ファッションシーンとの関わりも強い新鋭音楽レーベルSound SportsがスタッフTシャツのデザインを担当。お店のロゴデザインは、音楽インスピレーションを軸に数々のグラフィックデザインを手がけるMASATOO HIRANO氏が担当。そしてエプロンはファッションブランドMARU TOが手がけるなど、ジャンルを超えたプレーヤーたちが、それぞれが思うsongbookを奏でています。そしてこれらのジャンルレスなプレイヤーたちが織りなすsongbookの雰囲気が「もし1枚のアルバムだったら」をテーマに、グラフィックデザイナーのYUSUKE MURAKAMI氏がキービジュアルを作成。今後もsongbookのクリエイティブデザインを担っていきます。
料理は、薪火で調理した季節野菜や肉料理、そしてピッツァイオーロが焼き上げるピッツァを、国内外から厳選したナチュラルワインと共に楽しめます。薪火でゆっくりと火入れをした魚や肉の味わいは格別です。薪火の料理を優しく包むのは、西氏が自らセレクトした器作家たちの美しい器。河合竜彦氏、田中直純氏、村上祐仁氏、そしてEva Kengen Ceramicsなどの、こだわりの器が料理をさらに光らせています。
食後のデザートには、あえて“焦がし”を利かせて甘みが増した、旬の果物を使ったドルチェも用意していて、特に窯で丸ごと焼いた果物の香ばしさと優しい甘味にはうっとりすることでしょう。
休日にはレコード店を訪れるという音楽好きの西氏がセレクトした音楽が流れる空間で、仲間やパートナーと語らいながら親密な時間を、はたまた一人の豊かな時間を過ごしてみては。これまで数々の土地でシェフとして活躍してきた西氏の新たな魅力溢れるレストランで、革新的な薪火料理をぜひ堪能してください。